かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

『ジーキル博士とハイド氏』

ジーキル博士とハイド氏 (光文社古典新訳文庫) 作者:スティーヴンスン 光文社 Amazon 原題は“The Strange Case of Dr. Jekyll and Mr. Hyde”映画は観たことがある。子ども向けに書き直された簡易ヴァーションなら読んだこともあるかもしれない。けれども作品…

『白い汽船』

『白い汽船』Ch.アイトマートフ (著), 岡林 茱萸 (翻訳)/理論社 (1984/12/1) 先日読んだユン・フミョンの『白い船』の中にこんな一節があった。 キルギスタンの小説家アイトマートフが書いた『白い汽船』という小説のことも教えてくれた。両親が離婚したた…

『白い船』

白い船 (韓国文学ショートショートきむふなセレクション) 作者:ユン・フミョン CUON Amazon 1946年生まれの作家、ユン・フミョンが1995年に発表した本作は、同年李箱文学賞を受賞している作品だ。“韓国の小説文学が新しい技法、主題、言語、構造によ…

『椿姫』

椿姫 (光文社古典新訳文庫) 作者:デュマ・フィス,アレクサンドル 光文社 Amazon 津村記久子さんの『やりなおし世界文学』をきっかけにはじめて『椿姫』を読んだ。 やりなおし世界文学 作者:津村 記久子 新潮社 Amazon ・舞台がパリであること・「椿姫」が高…

『目で見ることばで話をさせて』

目で見ることばで話をさせて 作者:アン・クレア・レゾット 岩波書店 Amazon 無音。耳が聞こえない人のことをよく知らない、耳が聞こえる人は、そう思うにちがいない。わたしたちの生活は静寂に包まれているって。でも、ちがう。気持ちも心も元気で楽しいとき…

『ニューヨーク製菓店』

ニューヨーク製菓店 (韓国文学ショートショートきむふなセレクション 15) 作者:キム・ヨンス(金衍洙) CUON Amazon 私が生まれた時、そこにニューヨーク製菓店はあった。ニューヨーク製菓店は私が生まれる前からそこにあったから、死んだ後にもしこにあるもの…

2022年7月の読書

7月の読書メーター読んだ本の数:21読んだページ数:5980ナイス数:465アンティゴネ (光文社古典新訳文庫)の感想とある本からの派生で読んだギリシャ神話を題材にした戯曲。昔読んだソポクレースのものとはだいぶ印象が違う気がして、読み比べしたくなってき…

『土台穴』

土台穴 (文学の冒険シリーズ) 作者:アンドレイ プラトーノフ 国書刊行会 Amazon アンドレイ・プラトーノフは1899年生まれのロシアの作家。10代前半から詩作をはじめるも、家計のために鉄道技師となる。20代後半に本格的な執筆活動を始めたが、ソ連政権下では…

『帰りたい』

帰りたい 作者:カミーラ・シャムジー 白水社 Amazon このままだと、予約した飛行機に乗り遅れるだろうとイスマは思った。大学を卒業した直ぐ後に母親が亡くなって、自分だけでなく、まだ12歳だった双子の妹弟の生活も支えなければならなかった。ようやく二…

『やりなおし世界文学』

やりなおし世界文学 作者:津村 記久子 新潮社 Amazon 芥川賞作家が語る世界文学と聞いてまず思い浮かべるのは、池澤夏樹さんの 『世界文学をよみほどく』。作者紹介や小説のあらすじに加え、作品の時代背景や文学史上の位置などにも言及するような、教養(う…

『住所,不定』

住所,不定 (STAMP BOOKS) 作者:スーザン・ニールセン 岩波書店 Amazon 主人公はもうすぐ13歳になる少年フィーリックス。彼はママと呼ばれたくない母親アストリッドと二人でバンクーバーで暮らしている。バンクーバーのどのあたりか…、○×の近くとか、誰それ…

『血を分けた子ども』

血を分けた子ども 作者:オクテイヴィア・E・バトラー 河出書房新社 Amazon トリクは人間の男に卵を産みつける。男は自分の体内でトリクの卵を温め育て、やがて出産する。一方人間の子どもは、人間が地球で生活していたときと同じように女の腹から生まれ出る…

『列車探偵ハル 王室列車の宝石どろぼうを追え!: 王室列車の宝石どろぼうを追え!』

列車探偵ハル 王室列車の宝石どろぼうを追え!: 王室列車の宝石どろぼうを追え! (ハヤカワ・ジュニア・ミステリ) 作者:レナード,M.G.,セッジマン,サム 早川書房 Amazon ハヤカワ・ジュニア・ブックス(HJB)は、小・中学生のためのミステリ、SF、ファン…

『言の葉の森——日本の恋の歌』

言の葉の森——日本の恋の歌 作者:チョン・スユン 亜紀書房 Amazon 海外文学をこよなく愛す私にとって、翻訳家の存在は欠かせない。だが改めて考えてみると、日本の文学を海外に紹介する翻訳家さんたちの仕事について、思いを馳せることはあまりなかった。この…

『ル・クレジオ、文学と書物への愛を語る』

ル・クレジオ、文学と書物への愛を語る 作者:ル・クレジオ 作品社 Amazon Quinze causeries en Chine. Aventure poétique et échanges littéraires (2019)の全訳。2011年から2017年にかけて作家が、中国で行った15の講演をまとめたものだ。巻頭には20数ペ…

『アイギ詩集』

アイギ詩集 (りぶるどるしおる) 作者:ゲンナジイ アイギ 書肆山田 Amazon ゲンナジイ・アイギは、疑いもなく、現代ロシア語詩の頂点の一つをなす詩人である。などと言えば、「日本ではまだ無名の、しかもロシア人でもないこの《辺境》出身者がどうしてまた……

『リャマサーレス短篇集』

リャマサーレス短篇集 作者:フリオ・リャマサーレス 河出書房新社 Amazon 短篇小説を読んでいると、(えっ?そこで終わり?)(それから?)と、置いてけぼりになって途方に暮れてしまうということがしばしばある。中にはそこからあれこれ想像を巡らすのが楽…

『無声映画のシーン』

無声映画のシーン 作者:フリオ・リャマサーレス ヴィレッジブックス Amazon 彼には、リスボンを訪れるときには必ず立ち寄るカフェがある。そこではポルトガルの多くの居酒屋や商店と同じように、時間は止まっているだけでなく、逆方向に流れていると彼は言う…

『狼たちの月』

狼たちの月 作者:フリオ リャマサーレス ヴィレッジブックス Amazon 「どうしてそんなに眉間にしわを寄せているの?」と尋ねられて、そんなつもりはなかったから、少し驚いて本から顔を上げた。私はただただ、本の世界に浸っていたのだ。難しい言い回しがあ…

『スモモの木の啓示』

スモモの木の啓示 (EXLIBRIS) 作者:ショクーフェ・アーザル 白水社 Amazon ビーターによると、母さんは一九八八年八月十八日午後二時三十五分ちょうどに、五十三軒から成る村を見下ろす丘にあるいちばん背の高いスモモの木の上で啓示を受けた。それは日々、…

『百年の孤独』

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez) 作者:ガルシア=マルケス,ガブリエル 新潮社 Amazon 長い歳月が流れて銃殺隊の前に立つはめになったとき、恐らくアウレリャノ・ブエンディア大佐は、父親のお供をして初めて氷というものを見た、あの遠い日の午後を思…

『黄色い雨』

黄色い雨 作者:フリオ・リャマサーレス ウイーヴ Amazon これは小説なのだろか?それとも詩?それとも、「私」の追憶?頭の中で何度も何度も繰り返される「過去」と「未来」どこからが記憶でどこからが妄想か今はもう、それを確かめるすべもない。なぜなら「…

『嵐の守り手』ついに完結!

“アイルランド出身の作者がアイルランドを舞台に、アイルランド神話をモチーフに書いたアイルランドファンタジー” 嵐の守り手 1.闇の目覚め 作者:キャサリン・ドイル 評論社 Amazon 『嵐の守り手1.闇の目覚め』 両親の故郷であるアランモア島を訪れたフィ…

2022年6月の読書

6月の読書メーター読んだ本の数:23読んだページ数:6470ナイス数:542左川ちか全集の感想まずは通読。この先何度も戻ってくる本ではあろうが、とりあえず初読の感想を。印象深かったのは、都会にあって故郷を思う「冬の日記」。オルダス・ハクスリーの「イ…

『左川ちか全集』

左川ちか全集 作者:左川ちか 書肆侃侃房 Amazon 左川ちかは1911(明治44)年、北海道に生まれ。小樽の女子校に通っていた頃、兄の親友伊藤整と知りあう。学校を卒業後、兄を頼って上京し、貯金局に非常勤で勤めながら、詩人たちと交流。18歳で翻訳小…

『いずれすべては海の中に』

いずれすべては海の中に (竹書房文庫) 作者:サラ・ピンスカー 竹書房 Amazon タイトルと装丁に惹かれて手を伸ばしたSF短篇集。少し長めの中篇を含めて全部で13篇の作品が収録されている。文体も好みで、どれもこれも設定もなかなかいい感じなのだが、ラ…

『(033)月(百年文庫)』

(033)月 (百年文庫) 作者:ルナアル,リルケ,プラトーノフ ポプラ社 Amazon 1冊に3人の文豪の傑作を集めた、ポプラ社の短編シリーズ『百年文庫』。帯にひとすじの光が胸の底に射しこむときというキャッチフレーズが添えられているこの『月』篇の収録作品は、…

『月光色のチマ』

月光色のチマ (韓国文学の源流シリーズ) 作者:ハン・スンウォン 書肆侃侃房 Amazon 作者の韓勝源(ハン・スンウォン)は1939年生まれ。故郷の海辺に生きる人々の姿を中心に、土俗的な香りのある文体で描くことで知られ、現代文学賞、韓国文学作家賞、李…

『なにかが首のまわりに』

なにかが首のまわりに (河出文庫) 作者:アディーチェ,チママンダ・ンゴズィ 河出書房新社 Amazon 短篇「なにかが首のまわりに」が「アメリカにいる、きみ」の改題だということは以前読んだ短篇集 『アメリカにいる、きみ』の巻末に収録されている訳者あとが…

『アメリカにいる、きみ (Modern&Classic)』

アメリカにいる、きみ (Modern&Classic) 作者:C・N・アディーチェ 河出書房新社 Amazon はじめてアディーチェに出逢ったのはサイト献本でいただいた短篇集 『明日は遠すぎて』だった。 明日は遠すぎて 作者:チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ 河出書房新社…