かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

本が好き!

『終わりの始まり』

終わりの始まり (韓国女性文学シリーズ) 作者:ソ・ユミ 書肆侃侃房 Amazon 桜のつぼみがほころびはじめ、やがて見頃を迎え、そして散っていく、そんな短い季節の物語だ。末期癌でもってあと2か月と言われている母の看病をするヨンム。幼い頃、父の死を目の…

『無のまなざし』

無のまなざし (現代ポルトガル文学選集) 作者:ジョセ・ルイス・ペイショット 現代企画室 Amazon 以前読んだ『ガルヴェイアスの犬』の訳者あとがきで、同作で第5回日本翻訳大賞を受賞された木下眞穗さんが、作家の長編第一作として紹介されていた“Nenhum Olh…

『明日は遠すぎて』

明日は遠すぎて 作者:チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ 河出書房新社 Amazon 献本に応募したのは、著者がナイジェリア出身だと知ったからだ。既に3冊目の邦訳本だというが、私はこれが初めての出会いだった。自分がよく知らない国を舞台に繰り広げられる…

『14歳から考えたい アメリカの奴隷制度』

14歳から考えたい アメリカの奴隷制度 (A Very Short Introduction) 作者:ヘザー・アンドレア・ウィリアムズ すばる舎 Amazon オックスフォード大学出版局(Oxford University Press)の"Very Short Introductions" (VSI) は、歴史や政治、宗教、哲学、科学、…

『フランスの高校生が学んでいる10人の哲学者』

フランスの高校生が学んでいる10人の哲学者 作者:シャルル・ペパン 草思社 Amazon いわゆる“哲学の本”を読むのはいつ以来だろうか。ヨースタイン・ゴルデルの『ソフィーの世界』を入れて良ければ、25年ぶりぐらい?いやいや、そのテの“哲学的”な作品ならば…

『春の宵』

春の宵 (韓国女性文学シリーズ4) 作者:クォン・ヨソン 書肆侃侃房 Amazon 書肆侃侃房の韓国女性文学シリーズは全部読もうと決めているので事前に内容をチェックすることなく本を手にした。読み始めたらなんだか無性にお酒が飲みたくなってなんだろうこの気持…

『君の顔では泣けない』

君の顔では泣けない (角川書店単行本) 作者:君嶋 彼方 KADOKAWA Amazon 30という小見出しの後に年に一度だけ会う人がいる。夫の知らない人だと、思わせぶりな書き出しで始まる物語。叶わなかった昔の恋の相手かなにか?不倫ものではないでしょうね?と、構え…

『我らが願いは戦争』

我らが願いは戦争 (韓国文学セレクション) 作者:チャン・ガンミョン,張康明 新泉社 Amazon 黄色地に黒があしらわれた危険物を思わせる装丁に過激なタイトル。朝鮮半島を舞台にした近未来ディストピア小説だときけば、少々厄介な物語であろうことは想像に難く…

『オリオンと林檎』

オリオンと林檎​ (韓国文学の源流 短編選2) 作者:朴泰遠,李孝石,金裕貞,李箕永,朴栄濬,朴泰遠,玄徳,李泰俊 書肆侃侃房 Amazon 書肆侃侃房の「韓国文学の源流 短編選」は、古典作品から現代まで、その時代を代表する短篇の名作をセレクトする全10巻刊行予定…

『私のおばあちゃんへ』

私のおばあちゃんへ (韓国女性文学シリーズ) 作者:ユン・ソンヒ,ペク・スリン,カン・ファギル,ソン・ボミ,チェ・ウンミ,ソン・ウォンピョン 書肆侃侃房 Amazon 思えば私も子どもの頃は、自分も大人になったら、結婚し子どもを産んで母になり、やがては祖母に…

『フレデリック・ショパン──その情熱と悲哀』

フレデリック・ショパン──その情熱と悲哀 作者:フランツ・リスト 彩流社 Amazon 新刊情報を知ったとき、あのショパンの生涯を、あのリストが書き残す!そんな本があるの!?と、一瞬、耳も目も疑った。だがしかし私が知らなかっただけで、どうやらこれ、世界…

『立ちどまらない少女たち: 〈少女マンガ〉的想像力のゆくえ』

立ちどまらない少女たち: 〈少女マンガ〉的想像力のゆくえ 作者:大串尚代 松柏社 Amazon “<少女漫画>的想像力のゆくえ”という副題と帯にある「少女文化」と「外国文学」の文字に惹かれて手をのばした本はアメリカ女性文学を専門とする慶應義塾大学文学部教…

『骸骨』

骸骨:ジェローム・K・ジェローム幻想奇譚 作者:ジェローム・K・ジェローム 国書刊行会 Amazon この装丁だし、てっきりおどろおどろしく怖い話が沢山詰まっているに違いないと思い込んでいて、(寝る前には読めそうにないけれど、さていつ読もうか?)などと…

『キリンが小説を読んだら』

キリンが小説を読んだら 書肆侃侃房 Amazon 大きな声では言えないが、私は本当に現代日本文学にうとい。いろいろ面倒なことが起きかねないので「趣味は読書」などとは、極力言わないようにしているのだが、そういう情報はどこからともなく漏れてしまうもので…

『エルサレム〈以前〉のアイヒマン』

エルサレム〈以前〉のアイヒマン 作者:ベッティーナ・シュタングネト みすず書房 Amazon 1961年にアメリカ・エール大学のミルグラム博士によって行われた実験は、権威者による命令が個人を従属させ、他人に電気ショックを与えるといった残酷な行為さえも…

『レースの村』

レースの村 作者:片島麦子 書肆侃侃房 Amazon ひょんなことから、大学の友人サクマの帰省につきあうことになったぼく。特別仲が良いわけでもなく、学部が同じだけの大勢いる友人の一人でしかなかったサクマの実家は、田舎だとは聞いていたが公共交通機関網か…

『四月のミ、七月のソ』

四月のミ、七月のソ 作者:キム・ヨンス 発売日: 2021/04/05 メディア: 単行本(ソフトカバー) 慶州南山の四季を撮影する写真集を依頼されるまで、ソンジンはそこにこれほど多くの仏像が、しかも首を切られたまま残っているなんて知る由もなかった。そんな書…

『とにかく、トッポッキ』

とにかく、トッポッキ (K-BOOK PASS 3) 作者:ヨジョ 発売日: 2021/03/20 メディア: 単行本 ヨジョ(요조)さんというアーティストは「期待を裏切らない」というかいつも予想の斜め上をいく感じが新鮮。彼女のことを知ったのは「K-BOOKフェスティバル 2020 in…

『あるヴァイオリンの旅路: 移民たちのヨーロッパ文化史』

あるヴァイオリンの旅路: 移民たちのヨーロッパ文化史 作者:フィリップ・ブローム 発売日: 2021/02/26 メディア: 単行本(ソフトカバー) “一度は音楽家を志し、若いころはそれにすべてを賭けたものだったが、どんなに意志が強くても努力しても自分にその才…

『評伝 九津見房子 ~凛として生きて~』

評伝 九津見房子 ~凛として生きて~ 作者:堀 和恵 発売日: 2021/01/14 メディア: 単行本 2020年は、九津見房子生誕130年、没後40年の年だった。それに合わせたのかどうかはわからないが、みすず書房から刊行された本を読み、そこからの派生で学生時…

『オビー』

オビー (韓国女性文学シリーズ9) 作者:キム・ヘジン 発売日: 2020/11/29 メディア: 単行本(ソフトカバー) 『中央駅』を読んだときにも思ったことだがキム・ヘジンという作家は、常にまっすぐ社会を見つめている。それも、ゴミが散乱する細くて暗い路地裏や…

中央駅

中央駅 作者:キム・ヘジン 発売日: 2019/11/12 メディア: 単行本(ソフトカバー) 先日、久々に上京する機会があってこれまた久々にビルの高層階から窓の下を眺めた。所狭しと立ち並ぶ建物行き交う車駅に吸い込まれていく人々に地下道から掃き出されてきたよ…

『ダフォディルの花』

ダフォディルの花:ケネス・モリス幻想小説集 作者:ケネス・モリス 発売日: 2020/09/18 メディア: 単行本 翻訳家の中野善夫さんが飯野浩美さんと共訳した新刊が、例によって例のごとく国書刊行会から出て、装画も林由紀子さんだと知った時、これもまたきっと…

『第九の波』

第九の波 (韓国女性文学シリーズ8) 作者:チェ・ウンミ 発売日: 2020/09/13 メディア: 単行本(ソフトカバー) 初めから厳しい話だとわかってはいた。なにしろこのタイトル、19世紀ロシアの海洋画家イヴァン・アイヴァゾフスキーの代表作『第九の波』( Дев…

『魔宴』

魔宴 作者:モーリス・サックス 発売日: 2020/09/08 メディア: 単行本 人生の瑣末な出来事を記録することに何らかの価値があるなどと考えるのは、取るに足らない虚栄心の表れでしかない。それでも人はそれを書きとめて、内なる宇宙の法則を他者に伝えるのであ…

『夜の舞・解毒草』

夜の舞・解毒草 (新しいマヤの文学) 作者:カン,イサアク・エサウ・カリージョ,フチン,アナ・パトリシア・マルティネス 発売日: 2020/08/23 メディア: 単行本 夜の闇が忍び込み、すでに私たちを包み込んでいる。コウモリは静寂に耳を澄まし、私が夢を見始める…

言葉の守り人(新しいマヤの文学)

言葉の守り人(新しいマヤの文学) 作者:ホルヘ・ミゲル・ココム・ペッチ 発売日: 2020/06/19 メディア: Kindle版 あの頃、おじいさんたちが話してくれる昔話や小話を聞くのが、ぼくたち子供にとって楽しい時間の過ごし方だった。 物語はそんな回想から語り起こ…

女であるだけで(新しいマヤの文学)

女であるだけで (新しいマヤの文学) 作者:ソル・ケー・モオ,フェリペ・エルナンデス・デ・ラ・クルス 発売日: 2020/02/29 メディア: Kindle版 夫殺しの罪に問われて禁固20年の判決をうけ収監されていたオノリーナは、恩赦を求める世論の高まりを受け、放免…