かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

海外文学

『ジーキル博士とハイド氏』

ジーキル博士とハイド氏 (光文社古典新訳文庫) 作者:スティーヴンスン 光文社 Amazon 原題は“The Strange Case of Dr. Jekyll and Mr. Hyde”映画は観たことがある。子ども向けに書き直された簡易ヴァーションなら読んだこともあるかもしれない。けれども作品…

『白い汽船』

『白い汽船』Ch.アイトマートフ (著), 岡林 茱萸 (翻訳)/理論社 (1984/12/1) 先日読んだユン・フミョンの『白い船』の中にこんな一節があった。 キルギスタンの小説家アイトマートフが書いた『白い汽船』という小説のことも教えてくれた。両親が離婚したた…

『目で見ることばで話をさせて』

目で見ることばで話をさせて 作者:アン・クレア・レゾット 岩波書店 Amazon 無音。耳が聞こえない人のことをよく知らない、耳が聞こえる人は、そう思うにちがいない。わたしたちの生活は静寂に包まれているって。でも、ちがう。気持ちも心も元気で楽しいとき…

『土台穴』

土台穴 (文学の冒険シリーズ) 作者:アンドレイ プラトーノフ 国書刊行会 Amazon アンドレイ・プラトーノフは1899年生まれのロシアの作家。10代前半から詩作をはじめるも、家計のために鉄道技師となる。20代後半に本格的な執筆活動を始めたが、ソ連政権下では…

『帰りたい』

帰りたい 作者:カミーラ・シャムジー 白水社 Amazon このままだと、予約した飛行機に乗り遅れるだろうとイスマは思った。大学を卒業した直ぐ後に母親が亡くなって、自分だけでなく、まだ12歳だった双子の妹弟の生活も支えなければならなかった。ようやく二…

『住所,不定』

住所,不定 (STAMP BOOKS) 作者:スーザン・ニールセン 岩波書店 Amazon 主人公はもうすぐ13歳になる少年フィーリックス。彼はママと呼ばれたくない母親アストリッドと二人でバンクーバーで暮らしている。バンクーバーのどのあたりか…、○×の近くとか、誰それ…

『血を分けた子ども』

血を分けた子ども 作者:オクテイヴィア・E・バトラー 河出書房新社 Amazon トリクは人間の男に卵を産みつける。男は自分の体内でトリクの卵を温め育て、やがて出産する。一方人間の子どもは、人間が地球で生活していたときと同じように女の腹から生まれ出る…

『列車探偵ハル 王室列車の宝石どろぼうを追え!: 王室列車の宝石どろぼうを追え!』

列車探偵ハル 王室列車の宝石どろぼうを追え!: 王室列車の宝石どろぼうを追え! (ハヤカワ・ジュニア・ミステリ) 作者:レナード,M.G.,セッジマン,サム 早川書房 Amazon ハヤカワ・ジュニア・ブックス(HJB)は、小・中学生のためのミステリ、SF、ファン…

『言の葉の森——日本の恋の歌』

言の葉の森——日本の恋の歌 作者:チョン・スユン 亜紀書房 Amazon 海外文学をこよなく愛す私にとって、翻訳家の存在は欠かせない。だが改めて考えてみると、日本の文学を海外に紹介する翻訳家さんたちの仕事について、思いを馳せることはあまりなかった。この…

『アイギ詩集』

アイギ詩集 (りぶるどるしおる) 作者:ゲンナジイ アイギ 書肆山田 Amazon ゲンナジイ・アイギは、疑いもなく、現代ロシア語詩の頂点の一つをなす詩人である。などと言えば、「日本ではまだ無名の、しかもロシア人でもないこの《辺境》出身者がどうしてまた……

『リャマサーレス短篇集』

リャマサーレス短篇集 作者:フリオ・リャマサーレス 河出書房新社 Amazon 短篇小説を読んでいると、(えっ?そこで終わり?)(それから?)と、置いてけぼりになって途方に暮れてしまうということがしばしばある。中にはそこからあれこれ想像を巡らすのが楽…

『無声映画のシーン』

無声映画のシーン 作者:フリオ・リャマサーレス ヴィレッジブックス Amazon 彼には、リスボンを訪れるときには必ず立ち寄るカフェがある。そこではポルトガルの多くの居酒屋や商店と同じように、時間は止まっているだけでなく、逆方向に流れていると彼は言う…

『狼たちの月』

狼たちの月 作者:フリオ リャマサーレス ヴィレッジブックス Amazon 「どうしてそんなに眉間にしわを寄せているの?」と尋ねられて、そんなつもりはなかったから、少し驚いて本から顔を上げた。私はただただ、本の世界に浸っていたのだ。難しい言い回しがあ…

『スモモの木の啓示』

スモモの木の啓示 (EXLIBRIS) 作者:ショクーフェ・アーザル 白水社 Amazon ビーターによると、母さんは一九八八年八月十八日午後二時三十五分ちょうどに、五十三軒から成る村を見下ろす丘にあるいちばん背の高いスモモの木の上で啓示を受けた。それは日々、…

『百年の孤独』

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez) 作者:ガルシア=マルケス,ガブリエル 新潮社 Amazon 長い歳月が流れて銃殺隊の前に立つはめになったとき、恐らくアウレリャノ・ブエンディア大佐は、父親のお供をして初めて氷というものを見た、あの遠い日の午後を思…

『黄色い雨』

黄色い雨 作者:フリオ・リャマサーレス ウイーヴ Amazon これは小説なのだろか?それとも詩?それとも、「私」の追憶?頭の中で何度も何度も繰り返される「過去」と「未来」どこからが記憶でどこからが妄想か今はもう、それを確かめるすべもない。なぜなら「…

『嵐の守り手』ついに完結!

“アイルランド出身の作者がアイルランドを舞台に、アイルランド神話をモチーフに書いたアイルランドファンタジー” 嵐の守り手 1.闇の目覚め 作者:キャサリン・ドイル 評論社 Amazon 『嵐の守り手1.闇の目覚め』 両親の故郷であるアランモア島を訪れたフィ…

『いずれすべては海の中に』

いずれすべては海の中に (竹書房文庫) 作者:サラ・ピンスカー 竹書房 Amazon タイトルと装丁に惹かれて手を伸ばしたSF短篇集。少し長めの中篇を含めて全部で13篇の作品が収録されている。文体も好みで、どれもこれも設定もなかなかいい感じなのだが、ラ…

『(033)月(百年文庫)』

(033)月 (百年文庫) 作者:ルナアル,リルケ,プラトーノフ ポプラ社 Amazon 1冊に3人の文豪の傑作を集めた、ポプラ社の短編シリーズ『百年文庫』。帯にひとすじの光が胸の底に射しこむときというキャッチフレーズが添えられているこの『月』篇の収録作品は、…

『月光色のチマ』

月光色のチマ (韓国文学の源流シリーズ) 作者:ハン・スンウォン 書肆侃侃房 Amazon 作者の韓勝源(ハン・スンウォン)は1939年生まれ。故郷の海辺に生きる人々の姿を中心に、土俗的な香りのある文体で描くことで知られ、現代文学賞、韓国文学作家賞、李…

『なにかが首のまわりに』

なにかが首のまわりに (河出文庫) 作者:アディーチェ,チママンダ・ンゴズィ 河出書房新社 Amazon 短篇「なにかが首のまわりに」が「アメリカにいる、きみ」の改題だということは以前読んだ短篇集 『アメリカにいる、きみ』の巻末に収録されている訳者あとが…

『アメリカにいる、きみ (Modern&Classic)』

アメリカにいる、きみ (Modern&Classic) 作者:C・N・アディーチェ 河出書房新社 Amazon はじめてアディーチェに出逢ったのはサイト献本でいただいた短篇集 『明日は遠すぎて』だった。 明日は遠すぎて 作者:チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ 河出書房新社…

『中国女性SF作家アンソロジー-走る赤』

中国女性SF作家アンソロジー-走る赤 (単行本) 作者: 中央公論新社 Amazon 最初にお断りしておくが、私はSFにうとい。だから読んでいて「この作品には誰それの影響が」とか「これはきっとあの作品のオマージュ」などというようなことは全く思い浮かばない。…

『半分のぼった黄色い太陽』

半分のぼった黄色い太陽 作者:チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ 河出書房新社 Amazon ナイジェリア出身の作家チママンダ・ンゴズィ・アディーチェが描いたこの長編小説が読み応え十分の文句なしに素晴らしい作品であることは、この本を読む前から知ってい…

『驟雨』

驟雨 (韓国文学の源流シリーズ) 作者:廉想渉 書肆侃侃房 Amazon 美しく趣きのある装丁と“韓国文学の源流”という言葉に惹かれて手にしたのは、“朝鮮自然主義文学の祖”とも言われる1897年生まれの作家、廉想渉(ヨム・サンソプ)の後期代表作。1952年…

『明日は遠すぎて』

明日は遠すぎて 作者:チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ 河出書房新社 Amazon 献本に応募したのは、著者がナイジェリア出身だと知ったからだ。既に3冊目の邦訳本だというが、私はこれが初めての出会いだった。自分がよく知らない国を舞台に繰り広げられる…

『パープル・ハイビスカス』

パープル・ハイビスカス 作者:チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ 河出書房新社 Amazon アディーチェのデビュー作がついに翻訳された。特別お気に入りの作品に巡り会ったあとに、その作家の昔の作品を読むと、ちょっと見劣りしてしまって…ということは、仕…

『スローターハウス5』

スローターハウス5 作者:カート ヴォネガットジュニア,伊藤 典夫 早川書房 Amazon 人生について知るべきことは、すべてフョードル・ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』の中にある、と彼はいうのだった。そしてこうつけ加えた。「だけどもう、それだ…

『崩れゆく絆』

崩れゆく絆 (光文社古典新訳文庫) 作者:チヌア アチェベ 光文社 Amazon 舞台はアフリカ・ナイジェリア。ウムオファイア(森の人びと)と呼ばれる架空の村だ。オコンクウォは親から受け継ぐ財産がないどころか、幼いころから働いて家族を養わなくてはならなか…

『シェニヤル村の子どもたち』

シェニヤル村の子どもたち 作者:エヴァ・リーシナ 群像社 Amazon “わたしは1940年生まれなのに、あなたは1935年生まれでしょ。だからわたしの方が年上なのよ”マリネは大まじめです。だってそうでしょ?1935よりも1940の方が大きいに決まって…