かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

2020年6月の読書

6月の読書メーター

読んだ本の数:10
読んだページ数:2816
ナイス数:446

わたしに無害なひと (となりの国のものがたり5)わたしに無害なひと (となりの国のものがたり5)感想
7つの物語に描かれているのは、恋人、親子、姉妹、友人……あらがうことが出来ないほど惹きつけられる出会いもあれば、断ち切ることが出来ない縁もある。どうしようもないさびしさに包まれた時に頭に浮かぶのはなぜか、忘れてしまいたいことだったり、ずっと忘れてしまいたいと思っていたことが、本当はどうしても忘れたくないことだったのだと気づいたり。物語たちは、読み手がすっかり忘れていたあれこれや、忘れたふりをして生きてきたあれこれを、ひりひりとした痛みとともに鮮やかによみがえらせる。いいなあ。これ、すごく好き。
読了日:06月04日 著者:チェ・ウニョン


通俗作家 荷風 ——『問はず語り』を中心として——通俗作家 荷風 ——『問はず語り』を中心として——感想
ひゃー。安吾、そこまで言っちゃう!?批評とか批判とか……いろんなことを考えさせられもした。
読了日:06月07日 著者:坂口 安吾

 


最後の竜殺し (竹書房文庫)最後の竜殺し (竹書房文庫)感想
世界は欺瞞に満ちていて、人もドラゴンもそれぞれの思惑で行動する。キミはドラゴンスレイヤー、自分の存在理由がわかっている者など滅多にいないのだから、目的がこの上なくはっきりしていることに感謝するがいい。そんなこと言われても、1分間の速習コースでスレイヤーになってしまったジェニファーにとっては、あの人もこの人もうさんくさく、頼れるのは自分の直感とペットで相棒のクォークビーストだけ!?いやーこれは面白かった。めちゃくちゃ面白かった。絶対買うので続編も是非翻訳刊行して欲しい!!クォーク!!


読了日:06月09日 著者:ジャスパー フォード
崖っぷちパラダイス崖っぷちパラダイス感想
「アラフォー・シングル・フリーランス」の女性達の物語。とあるレビューに触発されて、普段はあまり読まないジャンルの本を手に取ってみたのだが、ツッコミどころもいろいろあってなかなか面白かった。「やりがい搾取」という言葉があるけれど、本人たちがどれほど自覚しているかは別として、仕事においてもプライベートにおいても、やる気も、才能も、若さやプライドさえも、周囲に搾取し続けられてきた彼女たちの起死回生を図る今後に、幸多かれと願わずにはいられない。
読了日:06月12日 著者:谷口 桂子


フラッシュ:或る伝記 (白水Uブックス)フラッシュ:或る伝記 (白水Uブックス)感想
コッカー・スパニエルのフラッシュからみた詩人エリザベス・バレットの半生であると同時に、フラッシュ自身の伝記でもあるユニークで可愛くてどこか切ない物語。犬のフラッシュ自身も様々な経験を積んで視野を広げていくところも興味深い。なるほどこれは、フラッシュのことを描いているようにみせてエリザベスの、エリザベスのことを描いているようでフラッシュのことを描いていたりするんだな。きっと。それにしてもウルフ、こんな物語も書いていたんだなあ。
読了日:06月14日 著者:ヴァージニア・ウルフ


魔女たちは眠りを守る魔女たちは眠りを守る感想
大人になるにつれ人の子が忘れてしまった記憶や、世を去った人が残した思いを、拾ったり抱えたりしながら、魔女たちは人よりずっと長い年月を生きている。そんな魔女たちと人間との交わりを描いた連作短篇集。書店員の仕事はとても好きなのに、疲れ果てて身も心も弱り切っていた叶絵の、そのくたびれ果てた姿に自分を映して、ああ私、自分が思っていたよりもずっと疲れが溜まっていたんだなあ~などと思いながら、私も物語に慰められる。だが、なんといっても一番のお気に入りは「雨のおとぎ話」だ。やっぱりおばあちゃんと魔女は相性抜群!
読了日:06月15日 著者:村山 早紀


きみが、この本、読んだなら ざわめく教室 編きみが、この本、読んだなら ざわめく教室 編感想
小学生を主人公に、4つの物語を収めたアンソロジー。いずれの物語も、それぞれの物語自体がおもしろいだけでなく、この物語に惹かれたあなたは、ぜひあの本も読んでみたら?とごく自然に、あの本この本の魅力を紹介してくれる。紹介されている本の題名と、その本の魅力はしっかり伝わってくるが、ネタバレはしておらず、それだけに好奇心を刺激され、すぐにでも話題の本を読んでみたくなる。 図書館などで、この本と本の中で紹介されている本を並べて展示する企画なんかがあったらいいかも。
読了日:06月20日 著者:戸森 しるこ,おおぎやなぎ ちか,赤羽 じゅんこ,池田 ゆみる


世界文学と日本近代文学世界文学と日本近代文学感想
難しそうだと思いながらも読み始めた論文集。世界文学の中の漱石や谷崎、という視点が興味深い。とりわけ面白かったのはソフィア大学のダリン・テネフ氏の書かれたもの。「猫との会話と文学の可能態」なんて“文学ネコ”研究だもの!物言う猫と沈黙を守る猫、語る猫と無口な猫。19世紀初頭以来、文学作品の中で増加した話す猫。彼らの多くは雄でおしなべて大変聡明で雄弁!?いやー面白い、ここからはじまる一連の考察。紹介されている猫に片っ端から会いに行きたくなってきた。もしダリン・テネフ氏の単著が翻訳されたら絶対買ってしまうな。
読了日:06月23日 著者: 


嵐の守り手1.闇の目覚め嵐の守り手1.闇の目覚め感想
アイルランド出身の作者がアイルランドを舞台に、アイルランド神話をモチーフに書いたアイルランドファンタジー” 面白い!面白すぎるシリーズの幕開けだ!久しぶりにど真ん中!ハートを射貫くファンタジーに出逢ったのでとにかく薦めまくります!!ファンタジー好き、アイルランド好きはもちろん、ロウジンスキーにも!乾石智子さんがお好きな方にもいいと思うな!!
読了日:06月24日 著者:キャサリン・ドイル


トリスタン・イズー物語 (岩波文庫)トリスタン・イズー物語 (岩波文庫)感想
とても面白かったが、やはりここはケルト伝承の原型に近いとされるものと読み比べてみたいところ。
読了日:06月28日 著者: 

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