もしかしたらお若い方はご存じないかもしれないが
三原順(みはらじゅん)は1970年~80年代に活躍した漫画家だ。
代表作に『はみだしっ子』や『ルーとソロモン』などがあるのだが、
とても残念なことに1995年に42歳という若さで亡くなられた。
三原順の作品の中でもとりわけ私の思い入れが強い『はみだしっ子』は
それぞれ複雑な事情で、親に見捨てられたり、親を見限って家出したりした
思春期前の少年4人が、様々な問題にぶつかり
もがきながらもなんとか共に暮らしていこうとする物語だ。
…………という具合に、当初はレビューを書こうと思ったのだが
これだと全面展開しすぎて収拾がつかなくなりそうな上に
語っても語っても語りきれない気もするので、やめておくことにした。
目次は書誌詳細情報にのせておいたので、収録内容はそちらをみていただきたい。
この本は、三原順初心者向けの本ではない。
大なり小なり三原順に思い入れのある人向けの本だ。
値段からして購入する人は、思い入れ「大」の方の人だと思うが、
そういう人にとっては、あまり目新しさはないかもしれない。
とりわけ『はみだしっ子』関連に割かれているページが多いので
著者の他の作品に関する情報に過大な期待をすると
ちょっと肩すかしにあうかもしれない。
けれども、かつて『はみだしっ子』に夢中になったあなたなら
懐かしさでいっぱいいっぱいになることは保証できる。
切り取られたワンシーンだけでも、いろいろなことが思い出されてくる。
全文掲載されているはみだしっ子番外編「音楽教室」なんて
コマ割まで覚えている自分にびっくり?!
すっかり忘れていたけれど
漫画家がモーリス・ルブランのルパンを(それもおそらく堀口大學訳の新潮版を!)
愛読していたことを思い出して胸が熱くなった。
そうしていまさならながら自分がいかに
この漫画家に影響を受けていたかを認識したという次第。
今は妹宅にあるという古~いコミック、
今度送って貰おうかと真剣に考えはじめている。
そうそう、図書館本ではできないだろうから購入した人のみの特典?!
カヴァーは一度外してみることをお忘れなく!!
(2015.4.16 本が好き!投稿)