最初のページを開くと
真ん中にぽつんと
誰も座っていない小さな椅子が現れる。
そこには
この本を、
すべてを失い、ひとり取り残された子どもたちと、
そんな子どもたちを支援する人びとに捧げます
と書かれている。
せんそうと椅子がどのような関係にあるのか
それは本を読んでいくうちにあきらかになっていくはずだ。
ある日のこと。
午前の授業が終わってランチタイムのすぐあとに
せんそうがやってきた。
生き残った少女はたったひとり、
やっとの思いで難民キャンプにたどりつくが…。
2016年の春、イギリス政府は3000人の孤児の難民の避難所収容を拒否。
同じ頃「座る椅子がない」という理由で
難民の女の子が入学を断られた。
そのことを聞いたニコラ・デイビスさんはこの詩を綴ったのだという。
当初、ガーディアン紙のウェブサイトに掲載された詩は
大きな反響を呼んで
多くの人たちが #3000chairs というハッシュタグをつけて
誰も座っていない椅子の画像をTwitterに投稿した。
そうした世論の高まりの中で
この絵本がうまれ、
イギリスでは版元のウォーカーが
この本が1冊売れる毎に
難民支援団体Help Refugeesに1ポンド寄付することになっているのだとか。
一篇の詩にこめられた思いと
一篇の詩がもつ力に心打たれれる。
だがもちろん、
世界を変えるにはまだまだパワーが足りない。
ぜひ多くの人に手にとって貰いたい1冊だ。