かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

2020年12月の読書

12月の読書メーター
読んだ本の数:10
読んだページ数:2669
ナイス数:306

ニッケル・ボーイズニッケル・ボーイズ感想
前作『地下鉄道』同様フィクションではあるが、今回の物語はフロリダ州のドジアー男子学校で実際におこった事件が元になっているのだという。(こんなことが、本当に?)と読みながら何度も自問する。いや、こんなことが当たり前のようにあったことは想像に難くないのだ。ないのだけれど、そうと認めるのがつらすぎて、ページをめくる手が何度か止まる。それでもやはり、読みふけらずにはいられない筆力があって、最後まで読まねばわからぬ衝撃があった。
読了日:12月28日 著者:コルソン ホワイトヘッド
地の告発 (創元推理文庫)地の告発 (創元推理文庫)感想
シリーズも7作目。すっかりお馴染みとなったシェトランドを久々に訪れた。未だ心の傷を癒やすことが出来ないペレス警部はもちろん、ついついハッパをかけたくなってしまうサンディ刑事に、どんな現場からも何か見つけ出すヒューイット検査官が登場すれば、いつもながらのミスリードにも、安心して身を任せ真犯人を追いかけられる。次回はいよいよ最終章。ペレス警部の幸せを願ってはいるけれど、幸せって必ずしも人生を異性と共に歩むことではないような気も。だがしかしこれからもシェトランドと共に歩んでいくというならまあ、野暮はいうまい。
読了日:12月26日 著者:アン・クリーヴス
舎弟たちの世界史 (韓国文学セレクション)舎弟たちの世界史 (韓国文学セレクション)感想
軍事政権下における社会の、そして人々の、様々な矛盾を描き出すというシリアスなテーマを扱いながらも、小難しさとは無縁で、こういうテーマをこんなにも読みやすくわかりやすく書き上げることが出来るのかと驚くほどの軽妙さ。ユーモラスな語り口で笑いを誘い、読み手に「ふーと長く息をして」「肩を回して」「ここでちょっとトイレ休憩を」などと肩の力を抜くよう促しつつ語りあげるのは、不条理な時代に翻弄される平凡な一市民の人生を描いた物語。とにかく一度読んでみてくれたまえ。きっとその魅力がわかるから!
読了日:12月17日 著者:イ・ギホ,李起昊
ノーザン・ライツノーザン・ライツ感想
凍てつく北の大地では、大きく息を吸うことはお薦めできない。肺が凍り付かないよう静かにそっと息をする。その静けさがもたらす、寂しさや悲しみや優しさやぬくもりをゆっくりとかみしめる。これはそんな物語。
読了日:12月14日 著者:ハワード・ノーマン
家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった感想
Twitterで流れてきたボルボ購入の記事を読んで思わず泣き笑いし、これは読んでおかなければと手にした本。期待通り面白くたくましく愛に溢れた本だった。
読了日:12月13日 著者:岸田 奈美
平安あや解き草紙 ~その姫、後宮にて宿敵を得る~ (集英社オレンジ文庫)平安あや解き草紙 ~その姫、後宮にて宿敵を得る~ (集英社オレンジ文庫)感想
ただ単に結婚がゴールになっては面白くないなあと思っていたのでこの展開は歓迎だ。伊子さん、仕事にやりがいを見出してますます魅力的になってきた。なかなか手強い宿敵も登場し続きが楽しみ!
読了日:12月12日 著者:小田菜摘
エルビス、こっちにおいでエルビス、こっちにおいで感想
語り手はひとりぼっちの“ぼく”。実は小犬だ。メキシコの作家と日本の画家がタッグを組んだ、犬のエルビスがかたる犬と人間と家族の物語。ふんだんに描かれたエルビスの姿を目で追うだけでもたのしい作品なのだが、中身はこれ、びっくりするほどシリアスで、おもわず目からしょっぱい水がポトリと……。それでもやっぱりやさしい気持ちになれる1冊だ。
読了日:12月10日 著者:ロドリゴ モルレシン
サンソン回想録:フランス革命を生きた死刑執行人の物語サンソン回想録:フランス革命を生きた死刑執行人の物語感想
パリの死刑執行人サンソン家の4代目当主シャルル‐アンリ・サンソン。ルイ16世やマリー・アントワネットをはじめ手にかけた数は三千人余、一族の中でもひときわ有名な彼のことを、サンソン家に伝わる資料や自ら手がけた取材を基にバルザックが描いたのが本作。本邦初翻訳なのには訳があり、それ故起承転結1冊丸ごとすっきりきれいにまとまっているとは言いがたいが、サンソン家だけでなく、他の地域の死刑執行人たちのエピソードもあり、回想風の一人称作品から、登場人物が入り乱れて織りなすドラマティックな作品までバラエティに富んでいた。
読了日:12月07日 著者:オノレ・ド・バルザック
ハッピーライフハッピーライフ感想
北の大地が生んだ(?)ユニークな文筆家北大路公子さんが手がけた連作短編で、タイトルが『ハッピーライフ』とくればこれはもう、ズッコケネタににやりとさせられつつも、思わずほっこりしてしまうような読み心地を連想してしまうのも無理はないと思わない?そんな勝手な思い込みを持ったまま本を開いて、思わず目を見張る。なんと“人が入れ替わる話”なかなかシリアスな話なのだ!心が妙にざわつくが、嫌な後味は残らない。むしろちょっとクセになって、もっともっとと読みたくなった。
読了日:12月04日 著者:北大路公子
地球にステイ!: 多国籍アンソロジー詩集地球にステイ!: 多国籍アンソロジー詩集感想
コロナ禍をめぐるアンソロジー詩集。編者は世界を舞台に活躍する詩人の四元康祐さん、出版社は主に韓国文学の出版を手がけるクオンだから、日本と韓国の詩人の割合は高いが、約20ヶ国、56人の詩人が収録されている。どこから読んでもいいし、ちょっとした隙間時間に読むのもいい。そしてこれを読んだら、たぶん きっと あなたもなにか書きたくなる。
読了日:12月02日 著者: 

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