かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

『とにかく、トッポッキ』

 

とにかく、トッポッキ (K-BOOK PASS 3)

とにかく、トッポッキ (K-BOOK PASS 3)

  • 作者:ヨジョ
  • 発売日: 2021/03/20
  • メディア: 単行本
 

 ヨジョ(요조)さんというアーティストは
「期待を裏切らない」というか
いつも予想の斜め上をいく感じが新鮮。

彼女のことを知ったのは
「K-BOOKフェスティバル 2020 in Japan」のトーク&ライブの レポート記事

この記事の中で彼女の芸名が
太宰治の小説『人間失格』の主人公、大庭“葉蔵”に由来するものだと知って
俄然興味を持ったのだった。

なんといっても 『人間失格』だ。
若い頃から愛読してきた私ではあるが、
まさかあの“葉蔵”にちなんだ芸名をつけるアーティストがいるなんて
想像したこともなかったし!

それで彼女の配信する YouTubeチャンネルを覗いてみると、
(韓国語がわからないのであくまで印象にすぎないが)
切なく響くギターの音色と甘く優しい歌声があり、
とても楽しげに本を片手に語るトークありで、
(これは波長が合いそうだな。)と何だかうれしくなったのだった。

そんな彼女のエッセー『とにかく、トッポッキ
なんでもいろんな人がいろんなテーマで書いている
『とにかく、○○』シリーズの1冊なのだそうだけれど、
(いったいなぜトッポッキなのか!?)と思いつつ、
読み始めてみて驚いた。
韓国にはそんなにたくさんトッポッキ屋があったのか!?

昔、韓国フリークの姉の案内でソウルに遊びに行ったとき
ツアーなどではいかないようなところにもあちこち連れて行ってもらったのだけれど
トッポッキ屋には寄らなかったなあ、などと思いつつ、
あの店、この店のトッポッキをのぞき込む。
そこでチーズをトッピングするのか!
それは絶対美味しいぞ!などと、ゴクンとつばを飲み込む。
だがしかし、甘い辛いはある程度想像できても、
小麦餅と米餅の違いや切り方によって食感がどうかわるのかなんてことは
やはり、実際に食べ比べてみなければぴんとこない。
今度行ったら絶対に食べてみるぞ!と、硬く心に誓うのだった。

そういう悔しさ(?)はありつつも、
トッポッキの向こうに、共に味わう彼氏や友だちや仕事仲間の顔があったり、
誰にも気兼ねすることなく、一人で味わうときの心持ちであったり、
見え隠れす様々なものがあってこそのトッポッキエッセイ。

隅々まで味わって、お腹いっぱい!といいたいところだが、
トッポッキ食べたさに、やたらとお腹がすいてしまうのだった。