かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

2021年6月の読書

6月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:4938
ナイス数:490

エルサレムのアイヒマン――悪の陳腐さについての報告【新版】エルサレムのアイヒマン――悪の陳腐さについての報告【新版】感想
大昔に読んだ旧版とくらべるとかなり読みやすくなっているのではないかと思う。ここから『エルサレム<以前>のアイヒマン』に進むのだけれど……。
読了日:06月28日 著者:ハンナ・アーレント
マイ・シスター、シリアルキラー (ハヤカワ・ミステリ 1963)マイ・シスター、シリアルキラー (ハヤカワ・ミステリ 1963)感想
タイトル通り妹が連続殺人犯だというのだが、姉の視点で語られているため、真偽の程も含めてあれこれと想像するしかない。姉妹の間の共依存、姉妹とその母親と間に存在するもう一つの依存関係の裏に透けて見える、消すことの出来ない「父」の記憶など設定がしんどいにもかかわらず、吸引力は抜群で、ぐいぐい読めてしまうのは、場面の切り替えが絶妙で語りのテンポがいいからか。シリアスになりすぎることもなく、救いもないのに後味は悪くない。但し、物語の性格上、自身の「お姉ちゃん気質」にお悩みの方は要注意。
読了日:06月24日 著者:オインカン・ブレイスウェイト
小さな心の同好会 (となりの国のものがたり8)小さな心の同好会 (となりの国のものがたり8)感想
お気に入りは「スンヘとミオ」「ピクルス」「四十三」。読んでいてしんどくないと言ったら嘘になる。でもこれ本当に読んで良かった。作家が言うように“共にあることを夢見る人たちは、私たちが最後ではないはずだから。”
読了日:06月21日 著者:ユン・イヒョン
黒百合黒百合感想
明治三十二年夏に「読売新聞」で連載された長編小説。流域の村々をたびたび襲ってきた神通川流域の洪水と、立山に伝わる「黒百合伝説」を結びつけ、さらには当時、文壇で流行しはじめていた“冒険小説”の流れにのったこの作品。発表当時から構成上の欠陥が指摘されるなど、作品の完成度には色々批判もあったらしいが、でもこれ、私が新聞購読者だったなら、きっと毎回楽しみに読んでしまったに違いない。
読了日:06月16日 著者:泉鏡花
地中のディナー (海外文学セレクション)地中のディナー (海外文学セレクション)感想
ユダヤ教正統派のコミュニティに生まれ、敬虔なユダヤ教徒として育つも、学生時代にイスラエルを訪問したことがきっかけで信仰を捨てたという著者が、和平への願いを託しつつ描くのは、ネゲブ砂漠にあるイスラエルの秘密軍事施設でたった一人、長期間収監されている囚人Zの物語。悲劇を描きながらも愛と信頼を失わない物語は美しい。だが現実はどうだ。ガザはリフタは…。いつかあの地中のトンネルが、平和の尊さと歴史を語り継ぐ遺跡として人々に紹介される日がくるならば。そう思いはするけれど。いろいろ考えさせられる物語であることは確か。
読了日:06月14日 著者:ネイサン・イングランダー
レースの村レースの村感想
書評サイト本が好き!を通じての頂き物。4つの作品を収録した短編集。学生たちの希薄な関係と、田舎の村の人たちの奇妙な連帯感。女たちが女であるが故に直面する様々な問題。夫婦の微妙なすれ違いなど、ありがちな、ありふれた世界を描いているようでいて、故意に軸をずらして、物事を斜め横からも眺めてみたらと薦めるような、ちょっと変わった読み心地。作者が見据えるこの先に、どんな世界が広がっていくのかも気になるところ。今後の作品が楽しみな作家に出会った。
読了日:06月10日 著者:片島麦子
ほんとうのことしかいえない真実の妖精ほんとうのことしかいえない真実の妖精感想
『クリスマスをとりもどせ!』を読んで以来、ずーと、気になっていた真実の妖精。真実しか口にすることができないだけでなく、いかなる場面でも問われれば、真実を口にせずにはいられないが為に、周囲とうまくやっていくことができない彼女の孤独と苦労は報われるのか!?どうか今度こそ幸せになってね。(真実の妖精ファンクラブ会員より)
読了日:06月09日 著者:マット・ヘイグ
イタリア世界遺産の旅 (KanKanTrip25)イタリア世界遺産の旅 (KanKanTrip25)感想
書評サイト本が好き!を通じてのいただきもの。イタリアは何度か訪れている大好きな国だから、「世界遺産」が山ほどありその数は世界一だといわれても驚きはしなかったが、あちこちから記事を集めるのではなく、ある年の夏、北から南へ、文化遺産50個、自然遺産5個、無形文化遺産12個、記憶遺産8個の全75個の世界遺産を巡りにめぐって、1冊の本にしてしまうという猛者がいたことには驚いた。ふんだんな写真に魅入り、旅のルートを頭に描く。著者と同じように旅することは出来ないけれど、あそこやここだけは、いつかきっとと夢を見ている。
読了日:06月08日 著者:奥本美香
暗がりで本を読む暗がりで本を読む感想
タイトルと装丁に偽りなし!靜かで落ち着きがあって、それでいてどこかあたたかみのある心地よい筆運びが印象的な1冊だった。
読了日:06月07日 著者:徳永圭子
宇宙の春 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)宇宙の春 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)感想
総じて“重い”テーマが多いが、それをこれだけ読ませるケン・リュウはもちろん、訳者兼編者の凄腕にも、思わずうなる。お気に入りは「ブックセイヴァ」。中華風冒険ファンタジー「灰色の兎、深紅の牝馬、漆黒の豹」も面白い。第二次世界大戦中、日系アメリカ人の科学者を主役にした「マクスウェルの悪魔」、七三一部隊満州でおこなった残虐行為をめぐる歴史認識をシビアに問う時間SF「歴史を終わらせた男」もすごいが、「思いと祈り」のきわめて今日的な痛みも心に響いた。
読了日:06月02日 著者:ケン リュウ
風と光と二十の私と風と光と二十の私と
読了日:06月01日 著者:坂口 安吾

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