かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

2021年10月の読書

10月の読書メーター
読んだ本の数:16
読んだページ数:3323
ナイス数:490

ビアトリクス・ポターの物語 -キノコの研究からピーターラビットの世界へ-ビアトリクス・ポターの物語 -キノコの研究からピーターラビットの世界へ-感想
あのピーター・ラビットの作者が実は、“担子菌類の胞子を発芽させた最初のイギリス人のひとり”だった!いきいきと描かれる好奇心旺盛な少女時代に感嘆しつつも、愛らしいピーターラビットを描いたというだけでなく、女に生まれたが故に、学ぶことにも、仕事を持つことにも、多くの制約が設けられ、どれだけ努力しても認められなかった時代に、いろいろなことをあきらめながらも、できることをみつけ、牧羊業を営み、自然保護の活動をおこなったビアトリクス・ポターという作家の生き方そのものにも興味がわいてくる1冊。
読了日:10月31日 著者:リンゼイ・H・メトカーフ
ハートに火をつけないで 〈ワニの町へ来たスパイ〉シリーズ (創元推理文庫)ハートに火をつけないで 〈ワニの町へ来たスパイ〉シリーズ (創元推理文庫)感想
シリーズ第4弾。今回も期待通りの面白さ。たっぷりのユーモアと、高カロリーの美味しい誘惑、巻を重ねる毎にますます魅力を増すすっかり顔なじみになった面々。フォーチュンはもちろん、読者もまた当分 #ワニ町 から離れられそうにない。
読了日:10月28日 著者:ジャナ・デリオン
平安あや解き草紙 ~この惑い、散る桜花のごとく~ (集英社オレンジ文庫)平安あや解き草紙 ~この惑い、散る桜花のごとく~ (集英社オレンジ文庫)感想
いやはやまったく,このシリーズからは目が離せない。次巻もなるはやでお待ちしております!
読了日:10月27日 著者:小田菜摘
だれも死なない日だれも死なない日感想
80歳を越えた作家が、確実に迫りくる死期と正面から向き合う作品と思いきや、まさかのラブストーリーでもあって、そうした展開がどこか、ドキュメンタリー映画「ジョゼとピラール」で観た晩年のサラマーゴの暮らしぶりとも重なって、人はいつか必ず死ぬものだという当たり前のことを、なかなか当たり前のこととして受け止められない人間の性を描きながらも作家は、幸せな晩年をおくったんだななどと思い、なんだかジーンときてしまったのだった。
読了日:10月25日 著者:ジョゼ・サラマーゴ
シロクマが嵐をこえてきた!シロクマが嵐をこえてきた!感想
いつだって苦悩を抱えた子どもたちの元へと旅するシロクマ、ミスターP。シリーズ第4弾の本作では、嵐の夜、ボートに乗って海辺の町にやってきた。ひと言も言葉を発しないにもかかわらず、いつもいつでも、悩める子どもたちに寄り添って周囲の大人たちの心まで解きほぐしていくミスターP。いつもいつだって大好きだったけれど、今までのお話の中で一番、私はこの話が好きかも!シロクマファンはもちろん、ロウジンスキーにもお薦めだ。
読了日:10月22日 著者:マリア・ファラー
我らが願いは戦争 (韓国文学セレクション)我らが願いは戦争 (韓国文学セレクション)感想
黄色地に黒の危険物を思わせる装丁に過激なタイトルで、朝鮮半島を舞台にした近未来ディストピア小説!?既に映画化が決定しているというが、原作に忠実に映像化するならば、R指定もやむなしかというノワール作品になる気も。エンタメ的に盛られた中にも、国や民族や人権や……と、様々な問題を投げかけるこの物語をどう映像化するのか、出来るのか、そのあたりもとても気になるところ。それにしてもこの作家の幅の広さ!『韓国が嫌いで』とは全く違うテイストでありながら、先の作品と同様に、生きづらさを抱えた人たちの描き方は絶妙だ。
読了日:10月20日 著者:チャン・ガンミョン,張康明
最後の挨拶 His Last Bow最後の挨拶 His Last Bow感想
小林司東山あかねという共にホームズ物の翻訳家で、筋金入りのシャーロキアンでもある2人を両親にもち、4人姉妹の末っ子でもある著者による私小説シャーロック・ホームズを知らなくても味わえるが、ホームズを知っていた方がより深く味わえる。なにしろこの一家にとって、ホームズその人は、かけがえのない家族の一員であるようだから。
読了日:10月18日 著者:小林 エリカ
オリオンと林檎​ (韓国文学の源流 短編選2)オリオンと林檎​ (韓国文学の源流 短編選2)感想
書肆侃侃房の「韓国文学の源流 短編選」は、古典作品から現代まで、その時代を代表する短篇の名作をセレクトする全10巻刊行予定のシリーズ。本書にはシリーズでいうところの第2期、1930年代(1932年~1938年)の作品、8篇が収録されている。日本が国際連盟を脱退し、盧溝橋事件がおきて……という時代のことでもあるし、人々の暮らしぶりや、日本に対する感情がどう描かれているのか、そもそもそういうことを描くことが許されているのかも含めて、興味があった。読んでみたらこれ期待以上の読み応え。このシリーズ追いかけよう。
読了日:10月14日 著者:朴泰遠,李孝石,金裕貞,李箕永,朴栄濬,朴泰遠,玄徳,李泰俊
ぼくのがっかりした話 (シリーズ再生の文学)ぼくのがっかりした話 (シリーズ再生の文学)感想
小学校の卒業試験に3回も落第したベンヴェヌートに手を焼いた両親は、家庭教師をつけて勉強させようとするのだが、来る人来る人すぐに根を上げて辞めてしまう。父親が探してきた13番目の家庭教師は、勉強をそっちのけでおとぎ話を語り出すちょっと変わった人だった。ところがベンヴェヌートときたら、こともあろうにその家庭教師から魔法の7リーグ靴を奪い、一人勝手におとぎ話の世界に探検に出てしまうのだ。しかしそこでベンヴェヌートが目にしたのは、おとぎ話に登場する有名人たちのがっかりな姿で……。
読了日:10月12日 著者:セルジョ・トーファノ
イェレナ、いない女 他十三篇 (ルリユール叢書)イェレナ、いない女 他十三篇 (ルリユール叢書)感想
1962年にユーゴスラビア(当時)の作家として、ノーベル文学賞を受賞している20世紀の南スラブ文学を代表する作家イボ・アンドリッチ。冒頭の『橋』の他に、短編小説を8篇、散文詩は『エクス・ポント(黒海より)』と『不安』の2篇、エッセイが3篇と、充実した内容の作品集。ルリユール叢書ならではの、作家の人生と共に作家の生きた時代の文学史をたどることも出来る年譜に、それだけでも読み応え十分の訳者解題がつき。
読了日:10月11日 著者:イボ アンドリッチ
蝶として死す: 平家物語推理抄 (ミステリ・フロンティア 108)蝶として死す: 平家物語推理抄 (ミステリ・フロンティア 108)感想
異母兄で平家一門の頭領である清盛に疎まれ、やがて平家と決別し、都で生きのびることになる平頼盛を探偵役に、平清盛木曽義仲源頼朝北条時政ら、毎回豪華大物ゲストを迎えて語りあげる連作短篇集。推理物としては突っ込みどころが多いが、時にはずるがしこく、時に汚名をきせられても歯を食いしばって、自分の家族と一門の命を守り抜くために頭を働かせて立ち回る主人公頼盛が魅力的で、読者をぐいぐい引き寄せる。
読了日:10月07日 著者:羽生 飛鳥
国語辞典を食べ歩く国語辞典を食べ歩く感想
読みながらことばだけで明快に説明することの難しさを思う。辞書によっていろいろと違いがあることはなんとなく知ってはいたけれど、読み比べしようと思ったことはなかったので新鮮な驚きも。そろそろ辞書を買い換えなくては。古いものも取っておこう。
読了日:10月06日 著者:サンキュータツオ
私のおばあちゃんへ (韓国女性文学シリーズ)私のおばあちゃんへ (韓国女性文学シリーズ)感想
ロウジンスキーとしては絶対に読み逃せない!と、すごく読みたかった本を、書評サイト本が好き!を通じていただいた。読んで見たら「おばあちゃん」と聞いて思い浮かべるあれこれだけでなく、ロマンスもミステリもホラーもSFもあって、さらには女の一生について、あるいは現在過去未来の私自身について深く考えさせられる物語たちでもあった。 ★★★★★
読了日:10月05日 著者:ユン・ソンヒ,ペク・スリン,カン・ファギル,ソン・ボミ,チェ・ウンミ,ソン・ウォンピョン
おばけと友だちになる方法 (世界傑作絵本シリーズ)おばけと友だちになる方法 (世界傑作絵本シリーズ)感想
かわいくて、おもしろくて、最高だった!
読了日:10月04日 著者:レベッカ・グリーン
きみの声がききたくて (文研ブックランド)きみの声がききたくて (文研ブックランド)感想
#文研出版よんだよ ブリーダーと最初の飼い主から虐待をうけ、ゴミ捨て場に捨てられていたところを保護された子犬は、夏休みの間、母さんと二人で、おじいちゃんの家で過ごすことになった少年パトリックに引き取られることに。子犬と少年、それぞれの視点で描かれた物語。濃淡を黒鉛筆1本で描き分けているようなモノトーンの挿絵が素晴らしい。
読了日:10月03日 著者:オーエン・コルファー
ぼくは幽霊作家です (韓国文学セレクション)ぼくは幽霊作家です (韓国文学セレクション)感想
面白かった!解説にもあるとおり、一人称の語りに徹した作家が自らを物語ることばを持てなかった者たちの語りえない声に耳を澄まして書き上げた物語であることはまちがいなく、その意味において“幽霊作家”なのだろう。もう一つ、9つそれぞれが違った個性を持って語りあげられていることからして、おそらくこれキム・ヨンスは、ハルキや『春香伝』以外にも、いろいろな作家や作品から特徴的なエッセンスを拾い上げ、その作家になりきったつもりで書いているのではないか、その意味でも優れた“ゴーストライター”と言えるのではないかな。
読了日:10月01日 著者:キム・ヨンス,金 衍洙

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