かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』

 

びっくりするほどものすごく、実践的な本なのです。
ある意味、ハウツーものと言えるかもしれません。
例えば、こんな風に言われたことありませんか?
あるいは相手にこんな言葉を返したことは?

「なんでそんなにピリピリするんだ」
「ごく一部の話でさわぐな」
「被害妄想じゃないか」
「極端すぎるだろう」
「おおげさだな」
「キミがそう思ったからって、なにが変わる?」
「こっちから見たらちがうけどな」
「あんまり極端な考え方をしない方がいいと思うよ」
「男がみんなそうだってわけじゃないだろ」

思い出すのは、2021年8月 小田急線の電車内で、乗客が刃物で切られるなどして重軽傷を負った事件のことです。
「誰でもよかった」「6年前から、幸せそうな女性を見ると殺したいと思っていた。」
捕まった容疑者が口にした言葉に、凍り付いた女性は多かったと思います。
あの事件の後「電車に乗るのが怖い」という女性たちに、「またそんな大げさな…」と、SNS上で心ない言葉が投げつけられるのをみて、愕然とした方もおられたのでは。


あるいは、先頃電通総研行った「男らしさ」をめぐる男性の意識調査。
約半数が「最近は男性の方が女性よりも生きづらい」と回答したという記事。

「口下手なんだから、キミが理解してあげて」
「いいように取ればいいのに、なんでそんなに怒るんだよ」
「そこまでしないと気がすまないわけ?」
「男も同じように大変なんだよ。なんでこっちの事情はわかろうとしないの?」
「男には男の苦労があるのに、ひどい偏見じゃないか」
「いまや男の方が弱者」

そんな言葉が聞こえてきそうです。


そういえば、どこかの政治家が「ジェンダー平等の優先順位は経済、福祉に比べて低い。ジェンダー平等は、余裕のある人の趣味。」と言って、炎上していましたね。

「両性の平等も大事だけど、今は女性問題よりも…」
「いまやフェミニズムよりもヒューマニズムといった包括的な価値を追求すべき」
「両性の平等は追求すべきだが『フェミニズム』ということばは偏向している。だから『男女平等』を使おう」
「中東やアフリカで生まれてみろ。そうじゃないと、自分がどれだけ恵まれているかわからないだろう」

こんな意見、聞いたことはありませんか?


こうしたあれこれについて一生懸命、相手に説明したのに、ちっともわかってもらえなくて、思わず声が大きくなったところで「またそんな感情的になって…」といわれたり、「わかるように説明して貰わないと…」「でもやっぱり考えすぎなんじゃ?」等と言われたことは?


著者自身も明らかにしているとおり、この本は必要としている人に届くようにと書かれた本で、多くの読者の共感を得ようとして書かれた本ではありません。

もしあなたが、今まであげたあれこれを読んで、もやもやした気分になったなら、ぜひこの本を読んでみてください。
もやもやには理由があって、そのもやもやはあなただけが抱えているものではありません。
そしてそんなときの処方箋は……と、元気が出ます。

そしてもしあなたが、周囲の女性に、こんな言葉を返したことがあるならば……。
余計なことかもしれませんが、取り返しのつかないことになる前に、考え直した方がいいかもしれませんね。