人にはそれぞれ、空の上に自分だけの星がある。
その星になにかあって、光が届かなくなっなら、人は病気になってしまう。
もしも長い間、星が暗いままだったなら、命を落とす病気に。
その若者が世界の果てにある小島までやってきたのは、死に瀕した恋人の病を治すためだった。
島に火守がたった一人で暮らしている。
彼は大きな本を持っていて、その本には全ての星の位置が印されているのだという。
火守なら、空に上がって星を治すことができると聞いて、若者は自分の命と引き替えに、愛する娘を助けて欲しいと願い出る。
年老いた火守は、若者の申し出を聞いて笑い、なにも死ぬことはなかろう、代わりにわしの仕事を引き継げと言うのだった。
中国SF『三体』のヒットで日本でもすっかりおなじみになった劉慈欣が書いた物語を、新書サイズの絵本にしたのがこの本。
翻訳は声優、エッセイストなど多彩な才能を持ち、第20代日本SF作家クラブ会長でもある池澤春菜氏。
挿絵を担当するのは漫画家でイラストレーターでもある西村ツチカ氏。
大人も子どもも楽しめる、絵も物語も美しい本だ。
ちなみに、原書『烧火工』のイラストを担当するのはBUTU氏、ネットで紹介されている画像をいくつか見ただけだが、こちらのイラストもなかなか印象的だった。