かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

『韓国文学を旅する60章』

 

韓国の文学や文化に関心をもつ人に向けた、文学を手掛かりに韓国に旅立つための案内書

49人ものそうそうたる執筆陣が、古典から現代までの作家と作品について「場所」をキーワードに語りあげ、文学周辺の事情の理解を助けるコラムも収録しているといううたい文句のとおり、びっしりも字が詰まっていて、白黒ながら参考になる写真もあり、巻末の読書案内(書籍リスト)も充実している。

読み始める前は、巻頭に掲げられている地図を手がかりに、あの土地この土地と旅をする気満々だったのだが、作家の名前も地名も知らないことだらけなので、とりあえず今回は、最初からページを追って年代順に読んでいくことにした。


古典世界にはちょっと歯が立たない気がしたが、ここでも出てきた『王になった男』
やっぱりあのドラマは観ておく必要がありそうだ。

続く近代文学のあれこれを理解する上では、書肆侃侃房の「韓国文学の源流 短編選」と、その巻末に収録された年表が非常に役だった。
当該の作品そのものは知らなくても、その作家の作品なら読んだことがある!というだけで、とても親近感が湧いてくる。

その一方で、解放後、朝鮮戦争独裁政権時代の作家やその作品には馴染みがなく、私にとってはここが空白部分なのだと改めて気づく。

さらに進んで今日の韓国文学に向かえば、ここはもうそれ読んだ!あれ読みたい!!と、いつものノリで楽しめる。
それにしてもキム・ヨンスの『ニューヨーク製菓店』にあんな背景があったとは…。

ところどころに挟み込まれているコラムもまた興味深い。
“韓国の「ノラ」”もぜひ読んで見たいものだ。

これまたお約束通り、読みたい本のリストを盛大に伸ばしてしまった。