かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

2022年4月の読書

4月の読書メーター
読んだ本の数:18
読んだページ数:4723
ナイス数:441

サリー・ジョーンズの伝説 (世界傑作童話シリーズ)サリー・ジョーンズの伝説 (世界傑作童話シリーズ)感想
#福音館70周年 彼女の名はサリー・ジョーンズ。それは関税の支払いをけちった商人が、生まれたばかりの赤ん坊にみせかけて乳母車ごと客船に乗せたその時の、偽造パスポートに書かれた名前だった!? スウェーデンの作家が波瀾万丈のゴリラの半生を描いた絵本。
読了日:04月28日 著者:ヤコブ・ヴェゲリウス
ファシズムとロシアファシズムとロシア感想
原題は“Is Russia Fascist?: Unraveling Propaganda East and West” フランス出身の国際政治・政治思想研究者で、ジョージ・ワシントン大学ヨーロッパ・ロシア・ユーラシア研究所所長、同大学の教授でもある著者によって2021年に書かれた比較的新しい本。そもそもファシズムとはなにか、という考察もさることながら、「記憶のヨーロッパ化は、法のヨーロッパ化よりもはるかに達成困難だ(p125)」とする第4章の「記憶をめぐる戦争」が心に残る。
読了日:04月25日 著者:マルレーヌ・ラリュエル
堅物侯爵の理想の花嫁 (ラズベリーブックス)堅物侯爵の理想の花嫁 (ラズベリーブックス)感想
kindle unlimited:旧態依然の保守派侯爵が社会改革派の先頭を行くような田舎郷士の娘に一目惚れ。彼女と知り合ううちにいろいろなことに目覚めていく…。表紙の装丁からはちょっと想像ができないような展開でびっくり。そろそろロマンス系の本の表紙にも改革が必要なのでは…。
読了日:04月23日 著者:エラ・クイン
永遠のファシズム (岩波現代文庫)永遠のファシズム (岩波現代文庫)感想
ウンベルト・エーコの政治的・社会的発言集。湾岸戦争、ネオナチの台頭、難民問題など、執筆当時の時事問題を取り上げつつ、ファシズムの危険性を説き、メディアのかかえる問題を指摘し、知識人の有り様などを取り上げた、論文や講演録が5篇収録されている。手にとっては見たものの、数ページめくって、やっぱりエーコは小難しくて、とても読み切れそうにないとあきらめかけた。ところがふと思いついて声に出して読んでみると、これが意外といけてびっくり!?
読了日:04月23日 著者:ウンベルト・エーコ
ほんやく日和 19-20世紀女性作家作品集 vol.3ほんやく日和 19-20世紀女性作家作品集 vol.3感想
関西圏で活動する翻訳者が集まって結成された『同人倶楽部 ほんやく日和』による同人誌の第3弾。すっかりお馴染みになった面々による翻訳で、全部で7作が収録された短篇集だが、3冊続けて読んでも飽きがきそうにないぐらいバラエティに富んでいる。そしてもし3冊続けて読んだなら、訳者の腕がぐんぐんあがっていることが、実感できるに違いない。
読了日:04月22日 著者:同人倶楽部 ほんやく日和
妻に恋した放蕩伯爵 (ラズベリーブックス)妻に恋した放蕩伯爵 (ラズベリーブックス)感想
またもやKindle Unlimitedの期間限定キャンペーンに手を出してしまった。
読了日:04月22日 著者:キャリー・ハットン
山羊と水葬山羊と水葬感想
翻訳家であり、詩人であるくぼたのぞみさんのエッセイ集なのだが、読み心地はまるで一篇の長編小説のよう。母から娘へ、著者から読者へ、確実に引き継がれていくもの、引き継がれる度に補強され補完されていくものが確かにある。そのことを思うと、郷愁とともに、安心にも似たあたたかな気持ちが心に広がっていく。
読了日:04月21日 著者:くぼたのぞみ
春 (新潮クレスト・ブックス)春 (新潮クレスト・ブックス)感想
『秋』、『冬』につづく、四季四部作の三作目、待望の『春』。この物語の魅力を、私は今回もまた上手く説明することが出来ない。けれども、とても好きなのだ。四部作全てを読み通し、さらには全て通して読み返さなければならないと、固く心に誓わずにはいられないほどに。
読了日:04月19日 著者:アリ・スミス
世界からバナナがなくなるまえに: 食糧危機に立ち向かう科学者たち世界からバナナがなくなるまえに: 食糧危機に立ち向かう科学者たち感想
農業が画一化されると、栽培作物は天敵などに対してきわめて脆弱になってしまう。本書はそのことに警笛をならしているのだが、それは同時に、利益優先の大規模農業に対する警笛でもある。そうではあるのだけれど、アイルランドがなぜジャガイモ飢餓に陥ったのか、キャッサバの被害はどのようにして広がったのかなど、歴史や慣習にまつわるあれこれが非常に興味ぶかく思わず読みふけってしまった。
読了日:04月18日 著者:ロブ・ダン
[ヴィジュアル版]歴史を動かした重要文書:ハムラビ法典から宇宙の地図まで[ヴィジュアル版]歴史を動かした重要文書:ハムラビ法典から宇宙の地図まで感想
図版が豊富でなかなか見応えのある1冊だった。
読了日:04月15日 著者:ピーター・スノウ,アン・マクミラン
少女が見た1945年のベルリン ――ナチス政権崩壊から敗戦、そして復興へ (フェニックスシリーズ No. 132 graphic novel)少女が見た1945年のベルリン ――ナチス政権崩壊から敗戦、そして復興へ (フェニックスシリーズ No. 132 graphic novel)感想
書評サイト本が好き!を通じての頂き物。クラウスゴルドンのベルリン三部作の最終章、『 ベルリン1945』を原作とし、第二次世界大戦末期から終戦直後にかけての荒廃したベルリンを、一人の少女の目を通して描くグラフィックノベル。大人たちのそれぞれの食い違う言い分ですら、ありのまま見つめつづけるしかない、少女の視点がいきている。クラウスゴルドンを知らない方にこそお薦めしたい作品。
読了日:04月14日 著者:クラウス・コルドン,ゲルリンデ・アルトホフ,クリストフ・ホイヤー
きんいろのしか バングラデシュの昔話 (日本傑作絵本シリーズ)きんいろのしか バングラデシュの昔話 (日本傑作絵本シリーズ)感想
#福音館70周年 のお祝い読書会に参加すべく、昔懐かしい絵本を読んでみた。インドに魅せられた日本画家、秋野不矩さんの絵が本当に素敵。不思議な響きの「まんごうのみ」の正体を、昔の私に教えてあげたいw
読了日:04月13日 著者:アーメド ジャラール
生まれつき翻訳: 世界文学時代の現代小説生まれつき翻訳: 世界文学時代の現代小説感想
レベッカ・L・ウォルコウィッツの『生まれつき翻訳--世界文学時代の現代小説』(2015)の日本語版。「邦訳」ではなく「日本語版」であることが“味噌”で、その意味はこの本を読んでいくとだんだんと分かっていくようになる。難解な部分もあったがとにかく面白かった。どんなところが面白かったかは↓で。
読了日:04月11日 著者:レベッカ・L・ウォルコウィッツ
ぼくはただ、物語を書きたかった。ぼくはただ、物語を書きたかった。感想
シリアからの亡命作家ラフィク・シャミが2017年にドイツで出版した自伝的エッセイの翻訳版。 1971年3月、3分の1がぎっしり書き込まれたノートで占められているスーツケースを持って、作家はフランクフルトの空港に降り立った。もう二度と祖国には戻れないと覚悟して。 一つ一つの文章は短く、難しい言い回しもないが、とても読み応えがあって、あれこれ考えずにはいられない、素晴らしいエッセイ集だった。
読了日:04月07日 著者:ラフィク・シャミ
ぼくたちに翼があったころ (世界傑作童話シリーズ)ぼくたちに翼があったころ (世界傑作童話シリーズ)感想
ヤヌシュ・コルチャック(Janusz Korczak)は、ユダヤポーランド人。小児科医で児童文学作家で教育者であり、ユダヤ人の孤児たちのための孤児院の院長をつとめ、著作と実践の両面から、子どもの権利を全面に打ち出した児童教育に取り組んだ人。自らは助かるチャンスがあったにもかかわらず、200名もの子どもたちと共にトレブリンカ収容所に向かった人。このヘブライ語で書かれたYA小説、副題に「コルチャック先生と107人の子どもたち」とあったので、この本にはきっとそういういきさつが書いてあるのだろうと思っていたが…
読了日:04月06日 著者:タミ・シェム=トヴ
「その他の外国文学」の翻訳者「その他の外国文学」の翻訳者感想
面白かった!面白かったけれど、またまた読みたい本がどっさり増えてしまって、もうどうしたらいいのやら!?うれしい悲鳴を上げてしまった。それにしても、「マイナー言語」の辞書や教材の不足を補うための皆さんの苦労といったら、いつも楽しませて貰っている読者としては、ただただ感謝。
読了日:04月04日 著者: 
甦れ、わがロシアよ―私なりの改革への提言甦れ、わがロシアよ―私なりの改革への提言感想
「私自身、半分近くはウクライナ人であり、子どもの頃はウクライナ語の響きのなかで育った。一方、悲壮さにみちた白ロシアで、私は戦争体験の大半を過ごし、その悲しい貧しさと柔和な民族性を心から愛したものだ。」というソルジェニーツィンが1990年に書いたこの本、何度も読んでいるはずなのに、なぜだかその都度驚いてしまう。ある意味予言の書のような?いやいや、私が認識していなかっただけで、あれこれの火種も問題もずっとそこにあったんだよね。
読了日:04月03日 著者:アレクサンドル ソルジェニーツィン
私が本からもらったもの 翻訳者の読書論私が本からもらったもの 翻訳者の読書論感想
光文社古典新訳文庫」の創刊編集長の駒井稔氏を聞き手に、8人の翻訳者が本にまつわる数々の思い出を語った「WATERRAS BOOK FES」の「翻訳者×駒井稔による台本のないラジオ」。面白そうな企画だとは思いつつも、若い頃耳の病気をしたせいか、どうも耳で聞くのが苦手なもので視聴を諦めた企画が、書籍化されるときいて楽しみにしていた。本書には8つの対談の他に、ロシア文学貝澤哉氏による「最も原始的なタイムマシン、あるいは書物の危険な匂い」とフランス文学の永田千奈氏による「本箱の家」の2つのエッセイも収録。
読了日:04月02日 著者:駒井稔,鈴木芳子,貝澤哉,永田千奈,木村政則,土屋京子,高遠弘美,酒寄進一,蜂飼耳

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