かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

『プエルトリコ行き477便』

 

“誰からも敬愛された進歩主義上院議員マージョリー・クックのカリスマ性あふれる息子”
“資産家のクック家が運営する財団を束ねるやり手”
“近々、母親の後を継ぐべく、上院議員に立候補するつもりの男”
「完璧」な外面を持つローリー・クックは、クレアの夫だ。

その実態は、妻を殴り、首をしめ、脅して支配するDV夫。
夫から逃げ出すために、綿密な失踪計画を立てたクレア。
出張先のデトロイトで行方をくらますはずが、当日になって夫が勝手に行き先を変更。
デトロイトには彼が、クレアはプエルトリコへと向かう羽目に。
クレアにとってそれは破滅を意味した。

混乱する頭で途方に暮れて空港にいた彼女は、見知らぬ女性エヴァに声をかけられる。
エヴァはクレアに自分もまた逃げ出さなければならない理由があるのだと、航空券と身分証の交換を持ちかけるのだった。

こうしてクレアはエヴァの航空券でカリフォルニアへ。
エヴァはクレアの乗るはずだったプエルトリコ行き477便に。
ところが477便はフロリダで墜落、“クレア”は死亡したことになってしまうのだった。

空港でほんの短い間接触しただけの二人の女性。
どちらも追っ手から逃れようとしているという共通点はあるものの、人生が交差するのはほんのひととき。
その二人が、二人とも物語の主人公になる。

エヴァの章、クレアの章と視点を変えながら語られる物語は、クレアの章が一人称の現在進行形、エヴァの章は2つの章を除いて基本三人称で過去から現在に向かって進んでいく。

最初のうちは(DV案件はちょっとなあ~。楽しめないかも…)などと思っていたのに、巧みな構成がハラハラドキドキのスリリングな展開に拍車をかけ、とにもかくにもページをめくる手が止まらない。

気がつけばすっかり寝不足に!?

それにしても、まさかあんな展開が待ち受けていようとは!!

スリルあり、スピード感あり、一気読みせずにはいられない!?
それでもやはり、結末についても、他のしかけについても、話したいが話せない。
はっきり言ってこういう作品は、他人のレビューを読むよりも、まずは本を読むのがお薦め!?