かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

2022年6月の読書

6月の読書メーター
読んだ本の数:23
読んだページ数:6470
ナイス数:542

左川ちか全集左川ちか全集感想
まずは通読。この先何度も戻ってくる本ではあろうが、とりあえず初読の感想を。印象深かったのは、都会にあって故郷を思う「冬の日記」。オルダス・ハクスリーの「イソップなほし書き」もとても面白く、ヴァージニア・ウルフの「いかにそれは現代人を撃つか」(評論)は、書いたウルフもこれを訳そうと思ったちかも最高!だ。ちかの兄が、伊藤整に彼女との交際を勧めた話や、萩原朔太郎とちかとの縁談を断った話など、当時の文士たちの交友関係が垣間見られる点もまた興味深かった。
読了日:06月29日 著者:左川ちか
龍に恋う 贄の乙女の幸福な身の上 (富士見L文庫)龍に恋う 贄の乙女の幸福な身の上 (富士見L文庫)感想
#カドブン夏フェア2022 またあらたに、シリーズ物に手を出してしまった……。
読了日:06月28日 著者:道草 家守
いずれすべては海の中に (竹書房文庫)いずれすべては海の中に (竹書房文庫)感想
タイトルと装丁に惹かれて手を伸ばしたSF短篇集。少し長めの中篇を含めて全部で13篇の作品が収録されている。文体も好みで、どれもこれも設定もなかなかいい感じなのだが、ラストがなあ!という作品がとりわけ前半収録作品に多かった。まあこれは好みの問題か。お気に入りは『深淵をあとに歓喜して』『孤独な船乗りはだれ一人』『風はさまよう』あたり。
読了日:06月27日 著者:サラ・ピンスカー
『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機感想
松里公孝氏の“未完の国民、コンテスタブルな国家”は、テリーマーチンの『アファーマティヴ・アクションの帝国』との関連でなかなか興味深く、橋本伸也氏の“「紛争化させられる過去」再論”は、マルレーヌ・ラリュエル氏の『ファシズムとロシア』に通じるものが。とはいえ一番関心のあった第Ⅲ部は少々肩透かしの感が。まあそれも現時点では仕方が無いことか。
読了日:06月25日 著者: 
後宮の検屍女官3 (角川文庫)後宮の検屍女官3 (角川文庫)感想
一難去って、なるほど今後はこういう方向で行く訳ね!と思ったら、思いも寄らぬ大波で、続く!?チャングムか!!と一人突っ込むも、これはまた次巻も読まないわけには…。
読了日:06月24日 著者:小野はるか
(033)月 (百年文庫)(033)月 (百年文庫)感想
帯にひとすじの光が胸の底に射しこむときというキャッチフレーズが添えられているこの『月』篇の収録作品は、ルナアルの『フィリップ一家の家風』、 リルケの『老人』、プラトーノフの『帰還』の3作。『フィリップ一家の家風』で芥川を思い出し、『老人』で鴎外の翻訳にうなり、プラトーノフで、まもなく発売の新刊への期待を膨らませた。
読了日:06月24日 著者:ルナアル,リルケ,プラトーノフ
月光色のチマ (韓国文学の源流シリーズ)月光色のチマ (韓国文学の源流シリーズ)感想
現代文学賞、韓国文学作家賞、李箱文学賞等数々の受領歴を持ち、近頃では“ハン・ガンの父”という紹介文が追加されることも多くなった韓国文学の文豪による自伝的小説。母という存在の大きさを感じさせる物語でもある。
読了日:06月23日 著者:ハン・スンウォン
教室が、ひとりになるまで (角川文庫)教室が、ひとりになるまで (角川文庫)感想
#カドブン夏フェア2022 これは苦しい。結構苦しい。だが苦しいのは、特殊能力設定でもトリックでも、死体の数でもなく、私の記憶の中によみがえる同調圧力が充満する学校という名の空間だった。
読了日:06月21日 著者:浅倉 秋成
中国女性SF作家アンソロジー-走る赤 (単行本)中国女性SF作家アンソロジー-走る赤 (単行本)感想
アンソロジーといえば、すごく良いなあと思う作品もあれば、これは今ひとつ、好みでは無かったなあ、と思う作品もある、というのが一般的で、あれもこれもすべて良かった! なんてことは、そうあることではない。だからこそ、この本に収録された14人の作家による14作品すべて、さらには「序」や「編者解説」にいたるまで、どれも面白かったということは、声を大にして言いたいところ。
読了日:06月20日 著者: 
破落戸の昇天破落戸の昇天感想
左川ちか全集に収録されているモルナール・フェレンツの作品(左川訳)がなかなか面白かったので、そういえば、鴎外もこの作家のものを訳していたのでは?と思い出して読んでみた。それにしてもこの話、寝る前に話して聞かせる話にしては……結構、アレだよね。
読了日:06月19日 著者:フェレンツ モルナール
人間失格 (角川文庫)人間失格 (角川文庫)感想
桜桃忌なので。Kindle Unlimited
読了日:06月19日 著者:太宰 治
わたしは告白ができない。 (角川文庫)わたしは告白ができない。 (角川文庫)感想
#カドブン夏フェア2022 予定調和の感ありつつも、結局のところ一気に読まずにはいられなくて、今朝は少々寝不足気味。ふうっ。青春も楽じゃないよね!
読了日:06月18日 著者:櫻 いいよ
驟雨 (韓国文学の源流シリーズ)驟雨 (韓国文学の源流シリーズ)感想
美しく趣きのある装丁と“韓国文学の源流”という言葉に惹かれて手にしたのは、“朝鮮自然主義文学の祖”とも言われる1897年生まれの作家、廉想渉(ヨム・サンソプ)の後期代表作。1952年~1953年にかけて朝鮮日報に掲載された連載小説。韓国の文豪による長編小説ときいて、少々構えて読みはじめたが、構える必要などまったくなかった。生き生きとした文体は読みやすく、日本の近代文学好きの読者にもお勧めできそう。
読了日:06月16日 著者:廉想渉
他者の苦痛へのまなざし他者の苦痛へのまなざし感想
正直に言えば、一部には賛同できないと思う主張もあった。それでもなお、世界で起きていること、今、目の前で流されている映像を見ながら考えるべきことを、あらためて整理する上で大いに刺激をうけ参考になった。
読了日:06月15日 著者:スーザン ソンタグ
パープル・ハイビスカスパープル・ハイビスカス感想
いやはやこれはまたいろんな意味ですごかった。特別お気に入りの作品に巡り会ったあとに、その作家の昔の作品を読むと、ちょっと見劣りしてしまって…ということは、仕方が無いことだとはいえ時々あるものだけれど、ことアディーチェに関してはその心配は無用だったな。
読了日:06月13日 著者:チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ
シェニヤル村の子どもたちシェニヤル村の子どもたち感想
“わたしは1940年生まれなのに、あなたは1935年生まれでしょ。だからわたしの方が年上なのよ”マリネは大まじめです。だってそうでしょ?1935よりも1940の方が大きいに決まっている!お母さんだってそう言ったもの。 なぜだかとても懐かしく、あたたかな優しい気持ちになる物語たち。
読了日:06月10日 著者:エヴァ・リーシナ
恋愛中毒 (角川文庫)恋愛中毒 (角川文庫)感想
Kindle Unlimited で。 1998年刊。第20回吉川英治文学新人賞受賞作。2000年に薬師丸ひろ子の主演でテレビドラマ化された…と聞けば、そういえばそんな話を聞いたことがある…とは思うものの、実は初読み。上手いなあとは思いはしたが、予想以上に後味は悪かった。
読了日:06月08日 著者:山本 文緒
サイードから風が吹いてくると (Suzuki Yuriika Selection 1)サイードから風が吹いてくると (Suzuki Yuriika Selection 1)感想
私もまた、詩人の声を聞き、詩人が詩で描きだしたものを目の当たりにして、あれこれと思い、あの日の、そして今このときの、戦禍の中にいる人々のことを思って声を上げたい。
読了日:06月08日 著者:鈴木ユリイカ
土台穴 (文学の冒険シリーズ)土台穴 (文学の冒険シリーズ)感想
再読。『チェヴェングール』刊行の前に、改めて読んでおこうと思って手を伸ばしたのだが、相変わらず難物だった。
読了日:06月07日 著者:アンドレイ プラトーノフ
冷えきった街 (講談社文庫)冷えきった街 (講談社文庫)感想
読友さんのレビューに釣られて読んだ。仁木兄妹しか知らなかった私はいろいろとびっくり(*゚ロ゚)!こういう作品も書く作家さんだったのか!それにしても…あの人たちのことは想像がついたけれど、あの犯人は…わからなかったなあ!
読了日:06月06日 著者:仁木悦子
あの図書館の彼女たちあの図書館の彼女たち感想
ナチス占領下にあったパリのアメリカ図書館の状況など、実在の人物や史実を下敷きにして語られるフィクション。物語の舞台は1939年~40年代のフランス・パリと1980年代のアメリカ・モンタナ州のフロイド。二つの時代、二つの街をつなぐのは、オディールという女性だ。戦争の悲惨さを描きながらも、きれいにまとまりすぎているような気がしていたのだが、終盤になってようやく、きれい事のように見えていたのは、その中にオディールがあえて見ようとしなかった真実が隠されていたからだったのだと、読者も気づく。なかなかの読み応え。
読了日:06月06日 著者:ジャネット・スケスリン・チャールズ
すべての月、すべての年 ルシア・ベルリン作品集すべての月、すべての年 ルシア・ベルリン作品集感想
『掃除婦のための手引き書』があまりにも素晴らしかったから、短篇集の第2弾が出ると知ってすごく楽しみにしていた。楽しみ過ぎて、読むのが勿体ないと思うぐらいに。同時に、少し不安でもあった。初対面の感動が薄れて、どこか見慣れた平凡な印象になってしまわないかと。けれどもひとたびページをめくりはじめれば、そんな心配は全く必要がないことがあきらかに。もしかしたら、なにか悪い病気になったかもしれないと思うぐらいに、胸がキュッと苦しくて、そのくせ読むのをやめられなかった。
読了日:06月03日 著者:ルシア・ベルリン
失花 (韓国文学の源流 短編選3)失花 (韓国文学の源流 短編選3)感想
書肆侃侃房の「韓国文学の源流 短編選」は、古典作品から現代まで、その時代を代表する短篇の名作をセレクトする全10巻刊行予定のシリーズ。第1弾として刊行された本書にはシリーズでいうところの第3期、1940年前後に植民地朝鮮で朝鮮語で執筆・発表された中篇・短編小説6篇が収録されている。読み応えたっぷり。一冊でいろんな味が味わえるだけでなく、巻末の年表によって、時代の流れや日本文学の動向との比較ができるのもこのシリーズのいいところ。続刊の刊行も楽しみ。
読了日:06月01日 著者:李箱,李孝石,蔡萬植,金南天,李無影,池河蓮

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