かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

『優等生は探偵に向かない』

 

『自由研究には向かない殺人』の続編。

シリーズもののミステリには、途中から読んでもさして問題なく話に入っていけるものもあるが、このシリーズの場合は必ず『自由研究には向かない殺人』からを読むべきだろう。

とにかく登場人物も多いので、前作を踏まえていないとなかなかついていけない部分もあるだろうし、前作のあれこれを引き継いでいるため、前作のネタバレもたっぷりある。
どちらかといえば、続編というより、第二幕という方がしっくりくる感じさえする作品なのだ。

一幕も、二幕も、自信を持ってお勧めできる読み応えなので、続けて読んでも問題ない。
もっとも、なかなかヘビーな面もあるので、続けて読むと、メンタル的にはしんどいこともあるかもしれない。

ちなみに『自由研究…』は読んだけれど、細かいところは忘れてしまった…という、読者でも大丈夫。
とりわけ前半の導入部は、前作の復習も兼ねているので、読んでいるうちに、ピップたちが暮らすあの町にもどっていくことができるはずだ。

さて物語はというと……。

主人公のピップは、前回の件で、真相にたどりつきはしたものの、自分も自分のまわりも多くの痛手を負うことになり、二度と探偵のまねごとはすまいと考えていた。

ところが、リスナーの多いボッドキャストを駆使して、失踪した兄ジェイミーの行方を捜して欲しいと友人コリーに頼み込まれて、断ることが出来ずに引き受けてしまう。

リスナーに情報提供を呼びかけて、調査状況を配信し、ジェイミーの足取りを追う。
結果、いくつかの意外な事実が浮かび上がるも、ジェイミーの行方は不明のまま。
時間ばかりが過ぎていく……。

ピップのまわりには、積極的に協力してくれる友人たちもいるが、前回の事件が尾を引いて恨みや憤りをもつ者もいる。
そしてまたすっかり有名になったピップを妬む者もいて……。

ピップが直面するあれこれは、青春ミステリというには重すぎて、この先、ピップが背負っていかなければならないだろうトラウマが、彼女の進路にどういう影響を与えるのか、心配になってもくる。

だがしかし、ここまで読んだからには、なんとしてもその先を見届けなければとおもったら、これって三部作構成で、既に最終章の刊行も決まっているのだそう!

うわー。それは読まなきゃ!絶対読まなきゃ!早くも次作が待ち遠しい。