かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

2022年11月の読書

11月の読書メーター
読んだ本の数:19
読んだページ数:5009
ナイス数:486

兎の島兎の島感想
ああこれは、確かに“怖い”。この“恐ろしい”とは別の怖さではないかという気も。この怖さはおそらく、理解できないことがもたらす怖さ。足元がぐらつき、慌てて伸ばした手がつかんだものもまた不安定にゆれて、信じていたものすべてが、消えてしまいそうな不安。そのくせ、読んでいると、物語がもたらす不安にとらわれて、少しの間、現実に目の前にある不安から目をそらすことができる。そんなちょっとやみつきになりそうなヤバい怖さがあった。
読了日:11月30日 著者:エルビラ・ナバロ
わたしのペンは鳥の翼わたしのペンは鳥の翼感想
紛争地域の作家育成プロジェクト〈UNTOLD〉による企画編集で、3年をかけてイギリスとアフガニスタンでやりとりをしながら、「小説を描きたい」という女性たちを広く募り、2022年2月に一冊の本として英国で刊行された18人のアフガニスタンの女性作家たちによる短編集の翻訳版。全部で23篇。短い物語の中に、家父長制、女性嫌悪、貧困、テロ、戦争、死など様々なテーマが描きだされている。異なる社会、異なる環境にあっても、こんな風に共感し、連帯することができるのだと確信する一方で、とりまく環境の違いに言葉を失うことも。
読了日:11月28日 著者:アフガニスタンの女性作家たち
あやかし恋古書店~僕はきみに何度でもめぐり逢う~ (TO文庫)あやかし恋古書店~僕はきみに何度でもめぐり逢う~ (TO文庫)感想
Kindle Unlimited  なんというか、いろんな意味で甘かった。
読了日:11月26日 著者:蒼井紬希
鬼の花嫁二~波乱のかくりよ学園~ (スターツ出版文庫)鬼の花嫁二~波乱のかくりよ学園~ (スターツ出版文庫)感想
Kindle Unlimited なるほどね。確かに一度完結したつもりだった話を更に広げようと思えば、妬みやらライバルやらが必要にはなるよね。なんだかんだの大学生活。この後結構長そうだけれど、続きはいったいどうなるか?あやかし最強のヒーローとくれば、後は神が登場するしかないような気も。三巻以降は読むかどうかは保留かな。
読了日:11月26日 著者:クレハ
波が海のさだめなら波が海のさだめなら感想
希望は翼をもったもの。あなたに翼はありますか? もしも誰かにそう問われたら、あなたはなんと答えますか?
読了日:11月25日 著者:キム・ヨンス
鬼の花嫁~運命の出逢い~ (スターツ出版文庫)鬼の花嫁~運命の出逢い~ (スターツ出版文庫)感想
Kindle Unlimited 読友さんのお気に入り本と聞いて読んでみた。なるほど!ここかしこに王道ポイント(!?)が。なかなか面白かったので、2巻も読んでみようかな。
読了日:11月24日 著者:クレハ
家の本 (エクス・リブリス)家の本 (エクス・リブリス)感想
掌編の積み重ねで構成されているという点では、ラヒリの 『わたしのいるところ』に似ているかもしれない。過去と今とこれからの境がどこか曖昧で、夢と現実にどれほどの違いがあるのか分からなくなりそうなのにとても切ないという点では、 タブッキに似ているのかもしれない。けれどもそのどちらとも、今まで読んだどの物語とも違っている。なにより一つの建物でも土地でも時でもない、「家」という空間で人生を捕らえるというその語り口に驚かされて、私は思わず自分の家の歴史をもふりかえる。不思議な読み心地の本だった。
読了日:11月23日 著者:アンドレア・バイヤーニ
ザ・ナイン ナチスと闘った9人の女たちザ・ナイン ナチスと闘った9人の女たち感想
第二次世界大戦中のフランスで、レジスタンス活動に身を投じた女性たち。密告、拷問、行方不明の夫、刑務所での出産……。愛する夫や生まれたばかりの娘、家族や恋人と引き裂かれた彼女たちだったが、収容所で虐待に耐え、つねに固い友情とユーモアをもち、支え合い励まし合い続けて、生きる希望を失わなかった9人。これは感動の物語だ。だが感動だけで終わらせず、読者の目を様々な「真実」に目を向けさせるべく、用意された枝葉が見事に息づいている優れたノンフィクションでもあった。
読了日:11月21日 著者:グウェン・ストラウス
エミリときどきマーメイドエミリときどきマーメイド感想
#やまねこ本 ママと2人ヨットで暮らすエミリはごくごく普通の中学一年生だった。ある水曜日の午後までは。ところが生まれて初めてプールにはいると入ると……。え?まさか!うそでしょ!?ほんとうに!!かわいらしいイラストもたっぷり。ともだちのこと、かぞくのこと、じぶんじしんのこと、じぶんの居場所。いろんなことをかんがえながら、真実をもとめて冒険にのりだすエミリを思わず応援したくなる!そんな1冊。
読了日:11月19日 著者:リズ・ケスラー
自由論 (光文社古典新訳文庫)自由論 (光文社古典新訳文庫)感想
またもや『やりなおし世界文学』からの派生読書。この本の中で論じるのは、いわゆる意思の自由ではない。市民的な自由、社会的な自由についてであり、逆にいえば、個人に対して社会が正当に行使できる権力の性質、およびその限界を論じたい、とミル。これはアタリだった。あれこれどっさりメモを取った。
読了日:11月17日 著者:ミル
ロシアのなかのソ連: さびしい大国、人と暮らしと戦争とロシアのなかのソ連: さびしい大国、人と暮らしと戦争と感想
これはお勧め!いつ読むの?やっぱり、今でしょ!こんなに読みやすくていいのか!?と思うぐらい読みやすいが、戦況報道だけではわからないロシアの今と、世界のこれからを考える上でも重要な1冊!!
読了日:11月15日 著者:馬場朝子
ぼくはソ連生まれ (群像社ライブラリー)ぼくはソ連生まれ (群像社ライブラリー)感想
ソビエト連邦はもはや存在しないから、かの国を訪問するたった一つの方法は記憶だけだ、と著者はいう。子ども時代のあれこれにノスタルジックな思いを抱く気持ちは万国共通。初めて聞く話や、本でしか読んだことがないはずのあれこれがなぜだかとても懐かしく思えてくる不思議。だが本書に含まれているの郷愁だけではない。原書が出版されたのは2006年だが、昨今のウクライナをめぐるあれこれの根底にあるものを考える上でも参考にかと手にしたこともあって、明るく軽いタッチの筆遣いながらものすごくいろいろなことを考えさせられる本だった。
読了日:11月14日 著者:ヴァシレ・エルヌ
統一協会の何が問題か:人を隷属させる伝道手法の実態統一協会の何が問題か:人を隷属させる伝道手法の実態感想
花伝社が「統一協会」問題でブックレットを出した。執筆者が全国霊感商法対策弁護士連合会代表世話人でもある札幌の弁護士郷路征記氏だと聞いて早速読んでみた。とりわけ、第1章の講演録は、安倍元首相襲撃事件の容疑者の家族を例にとって、詳細に解説しているという点で、多くの読者の目を引くであろう内容となっている。長年にわたり、文字通り命も人生もかけて、取り組んできた弁護士活動に、思わず頭がさがった。
読了日:11月12日 著者:郷路 征記
囚われのアマル囚われのアマル感想
舞台はパキスタンパンジャーブ地方の小さな村の比較的豊かな農家の長女アマルは12歳。家の手伝いをし、妹たちの面倒をみながら学校に通っている。勉強が大好きで、大きくなったら教師になりたいと思っていた。けれども、残虐非道の乱暴者と悪名高い大地主の息子ジャワッドとのトラブルをきっかけに、父親の借金のカタに大地主の家の使用人になることに。父さんはすぐに迎えに行くと言ったけれど……。物語の向こうにいるであろう、たくさんのアマルのことを思う。いつかは、そんな時代もあったけれど…と、過去の話になる日がくることを願う。
読了日:11月09日 著者:アイシャ・サイード
終わりの始まり (韓国女性文学シリーズ)終わりの始まり (韓国女性文学シリーズ)感想
ぜひとも追いかけていきたいと思っている書肆侃侃房の韓国女性文学シリーズの最新刊を、書評サイト本が好き!を通じて頂いた。この物語の主な登場人物は三人で、それぞれが交錯しながら、三人三様の春が描かれている。春は別れの季節だなんて、言い出したのは誰だったのか。桜の花が咲き始める。それは確かに終わりの始まりだったかもしれない。だが花が散ったその後に、始まるものも確かにあった。
読了日:11月08日 著者:ソ・ユミ
ノーサンガー・アベイノーサンガー・アベイ感想
『やりなおし世界文学』からの派生で○○年ぶりに再読。正直なところ読む前は、オースティンをやり直すなら他にもっと面白い作品があるのに、と思っていたのだが、読んでみたらこれがなかなか面白かった。オースティン、本当にのりのりで書いたんだな。きっと。
読了日:11月07日 著者:ジェーン オースティン
ペドロの作文ペドロの作文感想
絵本のもつ力を改めて、認識させられる傑作
読了日:11月05日 著者:アントニオ スカルメタ
優等生は探偵に向かない (創元推理文庫 Mシ 17-2)優等生は探偵に向かない (創元推理文庫 Mシ 17-2)感想
これはお勧め!ただし、必ず前作『自由研究には向かない殺人』から順番に読むべし!!続きが待ち遠しい。
読了日:11月03日 著者:ホリー・ジャクソン
小さなことばたちの辞書小さなことばたちの辞書感想
“英語のすべてを記録する”オックスフォード英語大辞典(OED)の編纂事業という歴史的な事実を軸に、辞典に採録されなかったことばを拾い集め記録したという、架空の女性の一生を描いた物語。平行して語られるのは、女性の参政権、女性の社会的身分、第一次世界大戦。本編約500ページに著者のあとがき、訳者のあとがき、どこも読み飛ばすことができないぎっしりと中身の詰まった1冊。
読了日:11月01日 著者:ピップ・ウィリアムズ

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