かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

『疑惑の入会者: ロンドン謎解き結婚相談所』

 

元腕利き英国諜報部員で頭脳明晰なアイリスと、鋭い観察眼と貴族の人脈を持つ最愛の夫を戦争で亡くしたグウェン。
まだまだ戦争の爪痕が色濃く残るロンドンで、一見するとあらゆる面で対照的に見える二人が共同でたちあげたのは結婚相談所。

シリーズ1作目で殺人事件に遭遇するも、2作目ではなんとエリザベス王女から、恋のお相手フィリップ王子の身辺調査を依頼され、法外な報酬をいただいて、事業の方はオフィスも拡張、従業員も雇い入れるという堅調(!?)ぶり。

ある日、相談所にアフリカ出身の入会希望者が現れる。
この男性、流暢な英語を話す好青年だったが、これまで当たり前のように対象者はイギリス出身の白人と決めかかっていた二人は、自分たちの見識を試されることに。

グウェンの直感はこの青年ダイーレイの言葉が嘘だらけだと告げていたが、そこに偏見は含まれていないか問われると確信がゆらいだ。だがしかし、自宅付近で彼に出くわし、つけられていると感じたグウェンは、ダイーレイには結婚相手をさがす以外の目的があるのではないかと考えはじめる。

そんなとき、アフリカからグウェンの亡夫の父であるベインブリッジ卿が帰国。
このベインブリッジのご当主は、家庭内で専制と横暴を極める暴君であるだけでなく、ベインブリッジ・リミテドの大株主兼取締役で、かつて夫の死に打ちひしがれていたグウェンから息子ロニーの監護権を取り上げた張本人であるだけでなく、グウェンが相続したはずの会社の株式まで、自身の管理下に置いてしまっているのだった。

そんな彼の帰国が、波紋を呼ばないはずもなく……。

と思ったら、いきなりまたまた死体が一つ。
そしてまた、誘拐事件も!?

ロンドン結婚相談所シリーズ第3弾!
シリーズも3作目ともなれば、顔なじみやご贔屓の登場人物たちも増えてきて、あの人この人の活躍も楽しみ。
今回もたっぷりと楽しませてもらったし、次作も必ず買って読むと決めてがいるが、ベインブリッジ卿の悪役ぶりがあまりにはまっていたせいか、他の誰も彼もがいい人に見えすぎて、反社会的勢力がかっこよく持ち上げられすぎているのはちょっと気になるところ。

もっともそんなことを言っていたら、大抵の犯罪小説は読めないかもしれないが。