かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

#文學の実効 を読む その3

#文學の実効 を読む その1

#文學の実効 を読む その2

第13章:あらゆる謎を解決する 信仰と深く結びついてきた「謎」に立ち向かおうと「帰納法」を打ち出したベーコン、そこから一歩も二歩も進めて生み出された探偵の技。ポーの描いた設計図を確認すべく『モルグ街の殺人』を読みふけるなど。
第14章:自分を高める 自己批判のアウグスチヌスと自己愛のルソー、二つの『告白』に感銘を受けたフレデリック・ダグラスが第二の自伝で採用したのは…!?『告白』の対比もさることながらダグラスの「心変わり」に女性参政権問題が大きく関わっていたという話が面白いな。
第15章:失敗から立ち直る 「テサロニケの信徒への手紙」からフォイエルバッハへ。感謝は誰にするべきか。フォイエルバッハに影響を受けたジョージ・エリオットは「ゴリオ爺さん」を嫌な小説と。ふむ。実は「ミドルマーチ」、読んだことがない。ゴリオと読み比べてみる?
第16章:頭をリセットする/なぜ信じるか、なぜ疑念をいだくのか。この章すごく面白い!手元にあったら444頁を開いてみて!日比谷公園大正天皇に始まってシェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』、芥川の『羅生門』、黒澤明の『羅生門』へと展開。ここだけ読んでもきっと◎
第17章:心の安らぎを手に入れる もしもウルフがもう少し後の時代に生まれていたならば…などと考えても仕方が無いことを考えてしまう。でもウルフが『失われた時を求めて』に出会えて良かった。本当に。『ユリシーズ』は読んだことがないが『ダロウェイ夫人』は再読したい。
第18章:想像力を育む マインド・ワンダリングの利点とその能力を高める文学。突っ込むのが好きで『プー』より『アリス』の私としては「そうだね、それなら」はちょっと苦手かも…とも思ったが、昨夜読んだプーと風船のくだりが心地よい眠りへと誘ってくれたことは確か。
第19章:救いの扉を開く 愛は憎しみに勝てるのか?人はどうやって自己を認識しうるのか。「独白」の効能、登場人物との一体化。そこから生まれるものはなにか?“このままにしておくべきなのか、それではいけないのか”常に問われている気がするあれこれ。
第20章:未来を書き換える ガルシア=マルケスの『百年の孤独』を軸に展開するこの章の再発見の仕組み。「手っ取り早く経験したければ、本棚を物色して数年前に読んだ小説を読み返してみるといい」あなたの脳はどう働くか!?困ったなあ『百年の孤独』読み返したく…いやいや
第21章:賢明な判断を下す 偏見を打ち砕くのに適した旅行記とは…。『ユートピア』から『ガリヴァー旅行記』、『闇の左手』へ。だが人は往々にして判断を下したがるもの、あれこれ保留のままにしておけるのか!?私のACC(脳内の前帯状皮質)は今、確かに刺激されている!
第22章:自分を信じる 神経科学における自己肯定には他人に肯定されるなど自分を力づけるあらゆる文言が含まれる。自己による自己肯定には単なる自己肯定より遙かに高い効果がある。とはいえ文学には外側から働きかける力しかないのでは…?この章は再度読み込む必要ありか。
第23章:凍りついた心を解かす 回想録でも漫画でも小説でも映画でもなんでも良いからハッピーエンドの物語を選び、登場人物を分析する精神科医になったつもりで臨床的な視点で読んでみる。-、+の感情を一つ一つ書き出してメモを取って…この実験一度やってみてもいいかも?
第24章:夢の世界を生きる 『ドン・キホーテ』は「出来の悪い空想小説と同様に、物語世界のなかのルールを守ろうとしない」が読者の脳内は「この小説は駄作などではない。学者の言っていることは正しい。実はきわめて巧妙な作品だ」と認識し…というくだりに思わず笑う。
25章:孤独を和らげる オペラからドラキュラへ。“中途半端なドーパミン”がもたらす続きを早く!と求める心は読者と小説を結びつけるだけでなく、読友までも引き寄せる効能があるのか!?それにつけても『リラとわたし』読もう読もうと思っていたあの本を今度こそ読まねば!
それにしても #文學の実効 の著者のこの、紹介されるはしから「まさにそういう本を読みたかったの!」と読者に思わせる、そのテクニックは何なの?その設計図を私も欲しい。
巻末の“翻訳、出典、参考文献”まで面白い!この先何度も、再読することになるとは思うが、とりあえず、最後のページまでたどり着いた。語りたいことは沢山あるが、問題はここからどう本が好き!に載せる「書評」を書き上げるかなんだよなあ。ちなみに★の数だけは文句なしに5つに決定!