“ひと月”をテーマに古今東西の文学作品を集めた国書刊行会のアンソロジー“12か月の本”。
『5月の本』『6月の本』『8月の本』に続いて『10月の本』を読んでみた。
12か月を通じて編者は作家で翻訳家の西崎憲氏。
国書刊行会らしい布張り箔押しで水や脂に強く耐久性のあるクロス装という高級感のある装丁も同様だ。
収録されているのは随筆、詩、短編小説とバラエティに富んだ23作品。
うち翻訳ものが6篇、翻案ものが1篇あって、サキの「開いた窓」、チェーホフの「ある娘の日記から」、夏目漱石の「文鳥」が再読だった。
そうではあるけれど、例えば漱石の「文鳥」、文鳥と昔の女を重ねて読んだ初読の時の感想とはまた違って、生き物を飼う覚悟のない人間たちに腹を立てながら、(これ、発表当時の読者はどう読んだのだろう?)ということがやけに気になる。
片山廣子の「花屋の窓」に引用されている芥川龍之介の随筆を目にしたら、なんだか妙に懐かしい気持ちに。
そういえば芥川は片山のことを「才力の上にも格闘できる女」と評していたんだっけ。
推理小説だと思って読んでいた三島由紀夫の「孔雀」には、最後の最後であっ!と驚く。
前々から気になっていた小山清の「落穂拾い」が、こんなところで読めるとは!と喜び勇んで読み始める。
最初のうちは緩慢で、期待値が高すぎたかも…と思っていたが、終盤にきてぐっと惹きつけられた。
吉田健一の「イギリスの秋に寄す」を読みながら、やっぱりイギリスと北海道は似ているのでは?と何度目か解らない感想を持つ。
短いけれど岡本綺堂の「私の机」もなかなかいい。
