かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

2021年10月の読書

10月の読書メーター読んだ本の数:16読んだページ数:3323ナイス数:490ビアトリクス・ポターの物語 -キノコの研究からピーターラビットの世界へ-の感想あのピーター・ラビットの作者が実は、“担子菌類の胞子を発芽させた最初のイギリス人のひとり”だった!い…

『ビアトリクス・ポターの物語 -キノコの研究からピーターラビットの世界へ-』

ビアトリクス・ポターの物語 -キノコの研究からピーターラビットの世界へ- 作者:リンゼイ・H・メトカーフ 西村書店 Amazon ビアトリクス・ポターといえば、ピーター・ラビット。湖水地方の自然を愛し、農場を経営する一方で、自然保護に努めナショナル・トラ…

『密告者』

密告者 作者:フアン・ガブリエル・バスケス 作品社 Amazon ジャーナリストのガブリエル・サントーロは、父の古くからの友人で第二次世界大戦中に家族と共にコロンビアへ亡命したユダヤ系ドイツ人女性ザラの半生を描いたノンフィクション『亡命に生きたある人…

『物が落ちる音』

物が落ちる音 (創造するラテンアメリカ) 作者:フアン・ガブリエル・バスケス 松籟社 Amazon はじまりはカバの話だった。かつての麻薬王の私設動物園で飼育されていたカバが逃げ出して、野生化してしまったという。そのカバが捕らえて射殺される。私のような“…

『だれも死なない日』

だれも死なない日 作者:ジョゼ・サラマーゴ 河出書房新社 Amazon 翌日、人はだれも死ななかった。こんな書き出しで始まるのは、ポルトガル語圏初のノーベル賞受賞作家サラマーゴが2005年83歳の時に発表した作品だ。とある国で1月1日を境に人が死なな…

『白の闇』

白の闇 新装版 作者:ジョゼ・サラマーゴ 日本放送出版協会 Amazon 最初に失明した男がそれと気づいたのは、運転中のことだった。赤信号で止まったはずだったのに。目が見えない、目が見えないと絶望的にくりかえす男の視界は、まっ黒な闇ではなく、まっ白だ…

『リカルド・レイスの死の年』

リカルド・レイスの死の年 (ポルトガル文学叢書12) 作者:ジョゼ サラマーゴ 彩流社 Amazon ポルトガルの詩人ルイス・デ・カモンイスの名前を知らなくても、ここに地終わり海始まるという一節を聞いたことがあるという人は多いだろう。この一節をタイトルに…

『シロクマが嵐をこえてきた!』

シロクマが嵐をこえてきた! 作者:マリア・ファラー あかね書房 Amazon いつだって苦悩を抱えた子どもたちの元へと旅するシロクマ、ミスターP。シリーズ第4弾の本作では、嵐の夜、ボートに乗って海辺の町にやってくる。今回の主人公はマヤという名の女の子…

『 ちっちゃな回想録』

ちっちゃな回想録 (ポルトガル文学叢書) 作者:ジョゼ サラマーゴ 彩流社 Amazon ポルトガルの作家ジョゼ・サラマーゴの回想録。祖母との思い出、両親のこと、幼くして亡くなった兄のこと近所に住んでいた人々とのあれこれ、学校でのエピソード、女の子たちへ…

『我らが願いは戦争』

我らが願いは戦争 (韓国文学セレクション) 作者:チャン・ガンミョン,張康明 新泉社 Amazon 黄色地に黒があしらわれた危険物を思わせる装丁に過激なタイトル。朝鮮半島を舞台にした近未来ディストピア小説だときけば、少々厄介な物語であろうことは想像に難く…

『韓国が嫌いで』

韓国が嫌いで 作者:チャン ガンミョン ころから Amazon 正直に言うと、初めてTwitterでこのタイトルを見たとき(これって嫌韓本?また随分と挑発的なタイトルだなあ。)と思った。でもちょっと待って!どうやらそうではないらしい。なんでも“韓国の男性作家…

『最後の挨拶 His Last Bow』

最後の挨拶 His Last Bow 作者:小林 エリカ 講談社 Amazon 小林司と東山あかねという共にホームズ物の翻訳家で筋金入りのシャーロキアンでもある2人を両親にもち、4人姉妹の末っ子でもある著者による私小説。脳出血で倒れた父を担架で運ぶために大の大人が…

『見知らぬ島への扉』

見知らぬ島への扉 作者:ジョゼ サラマーゴ アーティストハウス Amazon 男が城の扉をたたきながら叫んでいます。船を一艘ください。 王様の住む城にはほかにもたくさん扉がありますが、この扉は願いの扉でした。 こんな書き出しで始まるのは、ポルトガルの作…

『複製された男』

複製された男 (ポルトガル文学叢書) 作者:ジョゼ サラマーゴ 彩流社 Amazon ジョゼ・サラマーゴの新刊が出たと聞いては、放ってはおけない。以前 『あらゆる名前』になかなか手こずったにもかかわらず、性懲りもなくまた手に取ってみた。相変わらず、ほとん…

『あらゆる名前』

あらゆる名前 (ポルトガル文学叢書10) 作者:ジョゼ サラマーゴ 彩流社 Amazon はじめてこの本を手にしたのは、タイトルと羊が描かれた表紙絵に惹かれてのことだった。パラパラとページをめくってはみたものの、ぎっしりと詰まった活字に閉口して、そのまま書…

『オリオンと林檎』

オリオンと林檎​ (韓国文学の源流 短編選2) 作者:朴泰遠,李孝石,金裕貞,李箕永,朴栄濬,朴泰遠,玄徳,李泰俊 書肆侃侃房 Amazon 書肆侃侃房の「韓国文学の源流 短編選」は、古典作品から現代まで、その時代を代表する短篇の名作をセレクトする全10巻刊行予定…

『ぼくのがっかりした話』

ぼくのがっかりした話 (シリーズ再生の文学) 作者:セルジョ・トーファノ 英明企画編集 Amazon 小学校の卒業試験に3回も落第したベンヴェヌート少年に手を焼いた両親は、家庭教師をつけて勉強させようとするのだが、来る人来る人すぐに根を上げて辞めてしまう…

『イェレナ、いない女 他十三篇』

イェレナ、いない女 他十三篇 (ルリユール叢書) 作者:アンドリッチ,イボ 幻戯書房 Amazon 人間が生きる本能に駆られて築き、建てたものの中で、私が見るところ、橋よりも優れ、価値あるものはない。と詩人は言う。だれのものでもあり、だれに対しても平等で…

『蝶として死す: 平家物語推理抄』

蝶として死す: 平家物語推理抄 (ミステリ・フロンティア 108) 作者:羽生 飛鳥 東京創元社 Amazon 『平家物語』は読んだことがないのだけれど……と思いつつも手に取ってみたのは、第15回ミステリーズ! 新人賞受賞作「屍実盛」を含む、平清盛の異母弟・頼盛が…

『私のおばあちゃんへ』

私のおばあちゃんへ (韓国女性文学シリーズ) 作者:ユン・ソンヒ,ペク・スリン,カン・ファギル,ソン・ボミ,チェ・ウンミ,ソン・ウォンピョン 書肆侃侃房 Amazon 思えば私も子どもの頃は、自分も大人になったら、結婚し子どもを産んで母になり、やがては祖母に…

『おばけと友だちになる方法』

おばけと友だちになる方法 (世界傑作絵本シリーズ) 作者:レベッカ・グリーン 福音館書店 Amazon あの岸本佐知子さんが絵本の翻訳を手がけられたという。『エリック』みたいな例もあるから、それだけならまあ、そうおどろくこともないのだろう。でもなんだか…

『きみの声がききたくて』

きみの声がききたくて (文研ブックランド) 作者:オーエン・コルファー 文研出版 Amazon ブリーダーと最初の飼い主から虐待をうけ、ゴミ捨て場に捨てられていたところを保護された小犬は夏休みの間、母さんと二人で、おじいちゃんの家で過ごすことになった少…

『ヒョンナムオッパへ:韓国フェミニズム小説集』

ヒョンナムオッパへ:韓国フェミニズム小説集 作者:チョ・ナムジュ,チェ・ウニョン,キム・イソル,チェ・ジョンファ,ソン・ボミ,ク・ビョンモ,キム・ソンジュン 白水社 Amazon あるいはもしかすると“フェミニズム小説”という文字を目にした時点でこの本を手に…

『ぼくは幽霊作家です』

ぼくは幽霊作家です (韓国文学セレクション) 作者:キム・ヨンス,金 衍洙 新泉社 Amazon 以前読んだ『四月のミ、七月のソ』が面白かったのと、出版社が共同で製作したキム・ヨンスを特集するパンフレットを読んでさらにこの作家を追ってみたくなって手にした…