かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧

2022年9月の読書

9月の読書メーター読んだ本の数:15読んだページ数:3950ナイス数:448呑み込まれた男の感想奇才エドワード・ケアリーが描くもう一つの“ピノキオ”物語は、“生きる糧”についての物語でもある気がした。読了日:09月29日 著者:エドワード・ケアリー夜がうたた…

『呑み込まれた男』

呑み込まれた男 作者:エドワード・ケアリー 東京創元社 Amazon 私が蠟燭の光のもとで他人の日誌にこの文章を書いているところは、魚の腹のなかなのだ。私は食べられた。食べられたのに、まだ生きている。 こんな書き出しで始まるのは、『堆塵館』以来、奇想…

『夜がうたた寝してる間に』

夜がうたた寝してる間に 作者:君嶋 彼方 KADOKAWA Amazon 四角い窓に、夜を眠らせて閉じ込めた。こんな書き出しで始まる物語の主人公は、高校二年生の冴木旭。“時間を停止させることができる”という特殊能力を持っているが、ごくごく普通の高校生活を送ろう…

『世界の果て、彼女』

世界の果て、彼女 (新しい韓国の文学) 作者:キム・ヨンス(金衍洙) クオン Amazon 待ちに待った三十回目の誕生日を迎えたその日、化粧を落とすどころか、服もろくに脱がずにベッドに倒れ込むようにして眠りについたというのに、三時間後に父の電話で起こされ…

『父さんのゾウ』

父さんのゾウ (文研ブックランド) 文研出版 Amazon かわいらしい表紙に惹かれて手にした本は、クイーンズランド文学賞児童書部門の大賞を受賞し、各国で翻訳されているという作品だ。パラパラとページをめくると、表紙と同じやさしいタッチのイラストも沢山…

『願望機』

願望機 作者:ストルガツキイ,アルカージイ,ストルガツキイ,ボリス 群像社 Amazon A&B・ストルガツキイ(アベエスィ)は、アルカージイ・ストルガツキイ(1925年8月28日 - 1991年10月12日)とボリス・ストルガツキイ(1933年4月14日 - 2012年11月19日)と…

『ストーカー』

ストーカー (ハヤカワ文庫SF) 作者:アルカジイ ストルガツキイ,ボリス ストルガツキイ 早川書房 Amazon 来訪から13年後、ある学者が記者の質問に答えて力説する。“もっとも重要な発見は「来訪の事実」そのものだ”と。“連中がどこからなんの目的でやってき…

『モスクワ妄想倶楽部』

モスクワ妄想倶楽部 作者:ストルガツキイ,アルカージイ,ストルガツキイ,ボリス 群像社 Amazon 以前読んだ『月曜日は土曜日に始まる』はとても面白かったし、この作品はブルガーゴフの『巨匠とマルガリータ』へのオマージュにもなっていると聞いたので、かな…

『男と女を生きた作家: ウィリアム・シャープとフィオナ・マクラウドの作品と生涯』

男と女を生きた作家: ウィリアム・シャープとフィオナ・マクラウドの作品と生涯 作者:有元志保 国書刊行会 Amazon ジョージ・エリオットの名で知られるメアリアン・エヴァンズやブロンテ姉妹をはじめ、19世紀半ばに見られるイングランドの女性作家による男…

『月曜日は土曜日に始まる―若い科学者のための物語』

月曜日は土曜日に始まる―若い科学者のための物語 作者:ストルガツキイ,アルカージ,ストルガツキイ,ボリス 群像社 Amazon プログラマーであるぼく(ブリワーロフ)は休暇中だった。レンタカーを借りて友人と落ち合うためレニングラードから地方都市へ向う途中…

『飛べないハトを見つけた日から』

飛べないハトを見つけた日から (児童書) 作者:クリス・ダレーシー 徳間書店 Amazon ある日、12歳の少年ダリルは、親友のギャリーと遊んでいた公園でつばさが折れて、飛べないハトを見つけた。助けてやりたくて、家に連れて帰る。母さんならどうすればいい…

『引き出しに夕方をしまっておいた』

引き出しに夕方をしまっておいた (セレクション韓・詩) 作者:ハン・ガン クオン Amazon 引き出しに夕方をしまっておいたいろんなことを思い浮かべるにはこのタイトルだけでも十分だという気がしていた。夕焼け空を永遠にとどめておきたいとか。夜を足止めし…

『アイダホ』

アイダホ (エクス・リブリス) 作者:エミリー・ラスコヴィッチ 白水社 Amazon 周囲には他に住む人もないアイダホの山中に、夫ウエイドと二人で暮らすアン。彼女は時折、夫に気づかれぬようこっそりと家を抜け出して、少し離れた場所に停めてある古いトラック…

『菜食主義者』

菜食主義者 (新しい韓国の文学 1) 作者:ハン・ガン cuon Amazon #はじめての海外文学 vol.2フェア応援読書会の時からだから、この本のことを知ったのは6年ほど前のことだ。何年も前に李箱文学賞大賞も受賞しているというこの作品は、ちょうどその年、ブッ…

『その丘が黄金ならば』

その丘が黄金ならば 作者:C パム ジャン 早川書房 Amazon 中国系アメリカ人作家のデビュー長篇だということは知っていたが、タイトルからその内容をうかがい知ることはできなかった。手に取ったのは、訳者が藤井光さんだったから。完全に“訳者読み”だ。爸(…

『黄金の壺/マドモワゼル・ド・スキュデリ』

黄金の壺/マドモワゼル・ド・スキュデリ (光文社古典新訳文庫) 作者:ホフマン 光文社 Amazon 『黄金の壺』の主人公・大学生アンゼルムスは自他共に認める“いつまでたってもどじな万年学生”。おろしたての服にしみをつけたり、邪悪な釘の頭にひっかけていま…

『ベイルート961時間(とそれに伴う321皿の料理)』

ベイルート961時間(とそれに伴う321皿の料理) 作者:関口 涼子 講談社 Amazon ベイルートについて1冊の本を書く”という条件付きの、ベイルート国際作家協会が運営するライター・イン・レジデンスの招聘を受けた著者が、2018年4月~5月にかけて約1ヶ月…