かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

2022年7月の読書

7月の読書メーター読んだ本の数:21読んだページ数:5980ナイス数:465アンティゴネ (光文社古典新訳文庫)の感想とある本からの派生で読んだギリシャ神話を題材にした戯曲。昔読んだソポクレースのものとはだいぶ印象が違う気がして、読み比べしたくなってき…

『土台穴』

土台穴 (文学の冒険シリーズ) 作者:アンドレイ プラトーノフ 国書刊行会 Amazon アンドレイ・プラトーノフは1899年生まれのロシアの作家。10代前半から詩作をはじめるも、家計のために鉄道技師となる。20代後半に本格的な執筆活動を始めたが、ソ連政権下では…

『帰りたい』

帰りたい 作者:カミーラ・シャムジー 白水社 Amazon このままだと、予約した飛行機に乗り遅れるだろうとイスマは思った。大学を卒業した直ぐ後に母親が亡くなって、自分だけでなく、まだ12歳だった双子の妹弟の生活も支えなければならなかった。ようやく二…

『やりなおし世界文学』

やりなおし世界文学 作者:津村 記久子 新潮社 Amazon 芥川賞作家が語る世界文学と聞いてまず思い浮かべるのは、池澤夏樹さんの 『世界文学をよみほどく』。作者紹介や小説のあらすじに加え、作品の時代背景や文学史上の位置などにも言及するような、教養(う…

『住所,不定』

住所,不定 (STAMP BOOKS) 作者:スーザン・ニールセン 岩波書店 Amazon 主人公はもうすぐ13歳になる少年フィーリックス。彼はママと呼ばれたくない母親アストリッドと二人でバンクーバーで暮らしている。バンクーバーのどのあたりか…、○×の近くとか、誰それ…

『血を分けた子ども』

血を分けた子ども 作者:オクテイヴィア・E・バトラー 河出書房新社 Amazon トリクは人間の男に卵を産みつける。男は自分の体内でトリクの卵を温め育て、やがて出産する。一方人間の子どもは、人間が地球で生活していたときと同じように女の腹から生まれ出る…

『列車探偵ハル 王室列車の宝石どろぼうを追え!: 王室列車の宝石どろぼうを追え!』

列車探偵ハル 王室列車の宝石どろぼうを追え!: 王室列車の宝石どろぼうを追え! (ハヤカワ・ジュニア・ミステリ) 作者:レナード,M.G.,セッジマン,サム 早川書房 Amazon ハヤカワ・ジュニア・ブックス(HJB)は、小・中学生のためのミステリ、SF、ファン…

『言の葉の森——日本の恋の歌』

言の葉の森——日本の恋の歌 作者:チョン・スユン 亜紀書房 Amazon 海外文学をこよなく愛す私にとって、翻訳家の存在は欠かせない。だが改めて考えてみると、日本の文学を海外に紹介する翻訳家さんたちの仕事について、思いを馳せることはあまりなかった。この…

『ル・クレジオ、文学と書物への愛を語る』

ル・クレジオ、文学と書物への愛を語る 作者:ル・クレジオ 作品社 Amazon Quinze causeries en Chine. Aventure poétique et échanges littéraires (2019)の全訳。2011年から2017年にかけて作家が、中国で行った15の講演をまとめたものだ。巻頭には20数ペ…

『アイギ詩集』

アイギ詩集 (りぶるどるしおる) 作者:ゲンナジイ アイギ 書肆山田 Amazon ゲンナジイ・アイギは、疑いもなく、現代ロシア語詩の頂点の一つをなす詩人である。などと言えば、「日本ではまだ無名の、しかもロシア人でもないこの《辺境》出身者がどうしてまた……

『リャマサーレス短篇集』

リャマサーレス短篇集 作者:フリオ・リャマサーレス 河出書房新社 Amazon 短篇小説を読んでいると、(えっ?そこで終わり?)(それから?)と、置いてけぼりになって途方に暮れてしまうということがしばしばある。中にはそこからあれこれ想像を巡らすのが楽…

『無声映画のシーン』

無声映画のシーン 作者:フリオ・リャマサーレス ヴィレッジブックス Amazon 彼には、リスボンを訪れるときには必ず立ち寄るカフェがある。そこではポルトガルの多くの居酒屋や商店と同じように、時間は止まっているだけでなく、逆方向に流れていると彼は言う…

『狼たちの月』

狼たちの月 作者:フリオ リャマサーレス ヴィレッジブックス Amazon 「どうしてそんなに眉間にしわを寄せているの?」と尋ねられて、そんなつもりはなかったから、少し驚いて本から顔を上げた。私はただただ、本の世界に浸っていたのだ。難しい言い回しがあ…

『スモモの木の啓示』

スモモの木の啓示 (EXLIBRIS) 作者:ショクーフェ・アーザル 白水社 Amazon ビーターによると、母さんは一九八八年八月十八日午後二時三十五分ちょうどに、五十三軒から成る村を見下ろす丘にあるいちばん背の高いスモモの木の上で啓示を受けた。それは日々、…

『百年の孤独』

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez) 作者:ガルシア=マルケス,ガブリエル 新潮社 Amazon 長い歳月が流れて銃殺隊の前に立つはめになったとき、恐らくアウレリャノ・ブエンディア大佐は、父親のお供をして初めて氷というものを見た、あの遠い日の午後を思…

『黄色い雨』

黄色い雨 作者:フリオ・リャマサーレス ウイーヴ Amazon これは小説なのだろか?それとも詩?それとも、「私」の追憶?頭の中で何度も何度も繰り返される「過去」と「未来」どこからが記憶でどこからが妄想か今はもう、それを確かめるすべもない。なぜなら「…

『嵐の守り手』ついに完結!

“アイルランド出身の作者がアイルランドを舞台に、アイルランド神話をモチーフに書いたアイルランドファンタジー” 嵐の守り手 1.闇の目覚め 作者:キャサリン・ドイル 評論社 Amazon 『嵐の守り手1.闇の目覚め』 両親の故郷であるアランモア島を訪れたフィ…