かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

2023年5月の読書

5月の読書メーター読んだ本の数:33読んだページ数:6560ナイス数:524結界師の一輪華2 (角川文庫)の感想いろんな事件に巻き込まれる中で、自分の能力を周囲に隠し通せなくなってきた華。双子の姉、朔の弟、二条院家の次期当主候補の双子と、あの人この人の…

『オープン・ウォーター』

オープン・ウォーター 作者:ケイレブ・アズマー・ネルソン 左右社 Amazon サウスイースト・ロンドンの地下にあるハブで、初めてきみと彼女が出会ったとき、きみたちは結ばれるにちがいないと確信した。アイズレー・ブラザースのアップテンポの曲をバックに、…

『評伝 伊藤野枝 ~あらしのように生きて~』

評伝 伊藤野枝 ~あらしのように生きて~ 作者:堀 和恵 郁朋社 Amazon 正直に言えば、つい最近まで伊藤野枝には全く興味が無かった。アナーキスト大杉栄と内縁関係にあり、関東大震災直後に憲兵によって大杉と共に虐殺されたということは聞き知ってはいたが、…

『最後の大杉』

最後の大杉 作者:内田 魯庵 Amazon 大杉とは親友という関係じゃない。が、最後の一と月を同じ番地で暮したのは何かの因縁であろう。こんな書き出しで始まるのは憲兵によって虐殺された大杉栄を偲ぶ、内田魯庵のエッセイ。一時期近所に住んでいたので頻繁に行…

『私信 ——野上彌生様へ』

私信 ——野上彌生様へ 作者:伊藤 野枝 Amazon 本当に暫く手紙を書きませんでした。この間の御親切なお手紙にも私はまだ御返事を上げないでゐました。御病気はいかゞです。私は矢張り落ち付かない日を送つてゐます。こんな書き出しで始まる文章は、野上彌生子…

『乞食の名誉』

大杉栄の「死灰の中から」と伊藤野枝の「転機」「惑ひ」「乞食の名誉」を収録した『乞食の名誉』は1920年に刊行され、1923年9月、二人が大杉の幼い甥と共に憲兵によって虐殺された十数日後に再版、その年の12月までに9版も重ねたのだという。本…

『ふもれすく』

ふもれすく 作者:辻 潤 Amazon そうだ、僕はこの雑誌の編輯者から伊藤野枝さんの「おもいで」という題を与えられていたのだった。伊藤野枝ともN子とも野枝君ともいわないで僕は野枝さんという。なぜなら、僕の親愛なるまこと君が彼女――即ちまこと君の母であ…

『伊藤野枝集』

伊藤野枝集 (岩波文庫) 岩波書店 Amazon 「作品集」でも「選集」でもなく「伊藤野枝集」と題された本書は・小説や日記など、創作物を7点を集めた第Ⅰ部・『青踏』の編集部だよりを含めた評論・随筆と、大杉栄宛以外の書簡を収録した第Ⅱ部・大杉栄との往復書…

『歩くこと、または飼いならされずに詩的な人生を生きる術』

歩くこと、または飼いならされずに詩的な人生を生きる術 作者:トマス・エスペダル 河出書房新社 Amazon 徒歩で一人旅した時程。完全に存在し、徹底的に生き、ありのままの自分でいられたことはなかった。と言ったのはルソーで魂とは、大道を歩む旅行者だと言…

『そこに私が行ってもいいですか?』

そこに私が行ってもいいですか? 作者:イ・グミ 著 里山社 Amazon タイトルと優しい色合いの表紙に惹かれて手にした本。韓国YA文学を牽引する作家によって書かれ、IBBY(国際児童図書評議会)のオナーリストに選定された作品だと聞いていたから、読み応…

『マナートの娘たち』

マナートの娘たち (海外文学セレクション) 作者:ディーマ・アルザヤット 東京創元社 Amazon 原題は“Alligator and Other Stories”(2020)、シリア系アメリカ人作家のデビュー短編集。私の訳者読みリストの上位にお名前のある小竹由美子さんの翻訳で、ち…