かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

2023年3月の読書

3月の読書メーター読んだ本の数:16読んだページ数:4413ナイス数:498積読こそが完全な読書術であるの感想“積読こそが…”って、それどんな逆説なのよと苦笑しながら、読み始めるとこれがねえ…。読んだらきっと共感ボタンを連打する人も多いはず!?読了日:0…

『積読こそが完全な読書術である』

積読こそが完全な読書術である 作者:永田希 イースト・プレス Amazon 元本が好き!の中の人で書評家の永田希さんが執筆されたこの本の電子版を購入したのは発売後まもなくのことだったから、かれこれ3年前ほどのことだ。以来、タイトルに従って積んだままで…

『父から娘への7つのおとぎ話』

父から娘への7つのおとぎ話 作者:アマンダ・ブロック 東京創元社 Amazon 建築事務所で非正規事務職員として働くレベッカは、雇用主から正規雇用契約を打診されていたが、なかなか決心をつけられずにいた。そんな彼女の前に<サイド・スクープ>の記者を名乗…

『十一月の嵐』

十一月の嵐 (フラバル・コレクション) 作者:ボフミル・フラバル 松籟社 Amazon 7年ぶりに刊行されたフラバルコレクションとあっては読まないわけにはいかない。このコレクション、作家の自伝的要素の強い作品が続いていたので、『時の止まった小さな町』の…

『時の止まった小さな町』

時の止まった小さな町 (フラバル・コレクション) 作者:ボフミル フラバル 松籟社 Amazon 人文系専門書を中心に出版活動を続けているという京都の出版社松籟社さんの「フラバル・コレクション」第3弾は、前作『剃髪式』の後日譚。続編ではあるが、『剃髪式』…

『剃髪式』

剃髪式 (フラバル・コレクション) 作者:ボフミル・フラバル 松籟社 Amazon 本作はチェコの作家ボフミル・フラバルによる中編小説。人文系専門書を中心に出版活動を続けているという京都の出版社松籟社さんの「フラバル・コレクション」第2弾だ。ボフミル・…

『深夜プラス1』翻訳読み比べ

今回読み比べるのは菊池光訳/『深夜プラス1』ハヤカワ・ミステリ文庫(1976年4月30日発行/1996年10月15日30刷)(以下、菊池訳)と 深夜プラス1 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 18‐1)) 作者:ギャビン・ライアル 早川書房 Amazon 鈴木恵訳…

『深夜プラス1』

深夜プラス1 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 18‐1)) 作者:ギャビン・ライアル 早川書房 Amazon 例によって例のごとく津村記久子さんの 『やりなおし世界文学』からの派生読書。といっても『やりなおし…』を読み終えた時点では、この作品、読みたい本のリストの…

『厳重に監視された列車』

厳重に監視された列車 (フラバル・コレクション) 作者:ボフミル・フラバル 松籟社 Amazon 時は1945年、物語の舞台は、ナチス支配下のチェコの小さな駅だ。主人公は、交通職員見習のミロシュ。恋人との初体験が上手くいかなかったことを苦にして、自殺未…

『ミダック横町』

ミダック横町 作者:ナギーブ・マフフーズ 作品社 Amazon 時は第二次世界大戦がようやく終わろうとしている時期から終戦後の数ヶ月。主な舞台はエジプトのカイロに実際にあるという袋小路、ミダック横町。横町とその住人を蔑む、気性が荒く野心家の美しい娘ハ…

『詩と散策』

詩と散策 作者:ハン・ジョンウォン 書肆侃侃房 Amazon レビューを書きあぐねて、とりあえずイマココ!と、Twitterの埋め込み機能を使って、『詩と散策』についてのつぶやきをまとめてみることに。 吹雪の中、楽しみにしていた本が届いた。私の手元に届くまで…

『悲しみを聴く石』

悲しみを聴く石 (EXLIBRIS) 作者:アティーク ラヒーミー 白水社 Amazon せまく、細長い部屋。壁は明るい空色に塗られ、二枚のカーテンには黄色と青の空に羽ばたく渡り鳥の柄。しかし、部屋には息が詰まるような空気がただよっている。カーテンにはあちこち穴…

『私の唇は嘘をつく』

私の唇は嘘をつく (二見文庫 ク 12-2) 作者:ジュリー・クラーク 二見書房 Amazon 詐欺師のメグと彼女に復讐を誓うジャーナリストのキャット。十年前に何があったのか、はっきりとは明かされないまま、物語は幕を開ける。メグとキャット、それぞれのパートに…

『レモン石鹸泡立てる』

レモン石鹼泡立てる (散文の時間) 作者:東 直子 共和国 Amazon 好きになった本は、ふと思い出しては読み返す。読み返すたびに、心に響く部分がまるで違うことがあり、驚いてしまう。共感ボタンを連打したくなるこの一節に続けて、なぜ読むたびに感じ方が変わ…

『悪魔の涎・追い求める男 他八篇―コルタサル短篇集』

悪魔の涎・追い求める男 他八篇―コルタサル短篇集 (岩波文庫) 作者:コルタサル 岩波書店 Amazon 数年越しの積読本を読んだ。長く積んでいる本の中には、積んだ理由さえはっきりしなくなっているものも多いのだが、この本の場合ははっきり覚えている。それは…

『路上の陽光』

路上の陽光 作者:ラシャムジャ 書肆侃侃房 Amazon 先頃読んだアンソロジー『絶縁』に収録されていた書き下ろし作品「穴の中には雪蓮花が咲いている」が素晴らしかったので、読みたい本のリストの順番を繰り上げて手に取った本書は、チベット人作家ラシャムジ…

『明るい夜』

明るい夜 (ものがたりはやさし) 作者:チェ・ウニョン 亜紀書房 Amazon 心というものが取り外しのできる体内の臓器だったなら、胸の中に手を入れて取り出し、温かいお湯で洗ってあげたかった。そして隅々まですすいで水分をタオルで拭き取り、日当たりと風通…

『図書館』

『図書館』ゾラン・ジヴコヴィチ著/渦巻栗訳(書肆盛林堂) はじめてゾラン・ジヴコヴィチに出会ったのは、忘れもしない2011年に東京創元社が刊行した21世紀東欧SF・ファンタスチカ傑作集 『時間はだれも待ってくれない』でのことだった。ここから…