かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

2025年6月の読書

6月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:1735
ナイス数:254

地球の文学地球の文学感想
東京外国語大学と関わりのある地域研究者や世界各地・各ジャンルの文学の専門家26人による、さまざまな国や地域の文学に関するエッセー集。「翻訳」「モダニズム」「詩」「政治」「歴史」という大きな主題の枠組みでまとめあげた文章は、短いながらも中身の詰まった論稿で、覚えておきたい内容や気になる部分をメモしておきたいと思っても、全部を引き写さなくてはならなくなりそうなくらい濃厚だ。
読了日:06月30日 著者: 
視線から始まる (角川文庫)視線から始まる (角川文庫)感想
#角川文庫夏フェア2025 の読書会に参加すべく、読メでもらったポイントも利用してBOOK☆WALKERで電書を購入。元は小説家になろうで発表されたWEB小説だということだが、書籍化に伴い加筆されたというなろう発表当時にはなかったエピローグが物語の雰囲気を反転させる。これがあるのとないのでは「視線」の意味が大きく変わってくるのでは……。どちらが好きか、好みが分かれるところではあると思うが、最後の最後でそれまで見ていた景色を一変させる仕掛けにはおどろかされた。
読了日:06月26日 著者:クレハ
6月の本 (12か月の本)6月の本 (12か月の本)感想
“ひと月”をテーマに古今東西の文学作品を集めた国書刊行会のアンソロジー“12か月の本”。『5月の本』に続いて、『6月の本』も読んでみた。前回はタイトルに「5月」と入っている作品が多かったが、茨木のり子の「六月」と北原白秋の「六月の花」のみ。安部公房岡本かの子ランボー宮本百合子遠藤周作等々全部で26作、うち翻訳ものが6作だ。詩ありエッセイあり、小説あり、どこから読んでもいいのは前回同様。このシリーズは装丁もきれいなので読んだ後、誕生月の親族にプレゼントすることにしている。
読了日:06月23日 著者:堀辰雄,谷崎潤一郎,西崎憲,北園克衛,安部公房,マーク・トウェイン,石川欣一,中谷宇吉郎,茨木のり子,フーゴー・フォン・ホーフマンスタール,宮本百合子,二葉亭四迷,ヴワディスワフ・レイモント,岡本かの子,泉鏡花,アルチュール・ランボー,M・R・ジェイムズ,遠藤周作,山川方夫,中野重治,北原白秋,岡本綺堂,石垣りん,尾崎翠,石井桃子,シャルル=ルイ・フィリップ
君に贈る15ページ (メディアワークス文庫)君に贈る15ページ (メディアワークス文庫)感想
#角川文庫夏フェア2025 の1冊は、メディアワークス文庫創刊15周年を記念して、レーベルでお馴染みの作家15人が「1人15ページ」というルールで紡いた15編の物語を収録したアンソロジー。そういう縛りならそれぞれの作品は短いだろうし、実績ある執筆陣なら品質も保証付き、隙間時間に読むのには丁度良いかと軽い気持ちで手に取ったのだが、思っていた以上に重いテーマの作品が多くてちょっと驚く。とはいえ、そこはメディアワークスらしいといえばらしいかも。
読了日:06月19日 著者:三秋 縋,佐野 徹夜,松村 涼哉,斜線堂 有紀,一条 岬,綾崎 隼,村瀬 健,青海野 灰,古宮 九時,天沢 夏月,入間 人間,時雨沢 恵一,高畑 京一郎
割れたグラス (アフリカ文学の愉楽 1回配本)割れたグラス (アフリカ文学の愉楽 1回配本)感想
コンゴ共和国にあるバー“ツケ払いお断り”を主な舞台に、《割れたグラス》と呼ばれる男が、一冊のノートに人々の話や自分の目にしたあれこれを書きとったという形式の酔っぱらいたちの物語。ピリオド(句点)がひとつもない独特の文体で書かれ、そこかしこに文学作品のタイトルやその内容が引用符なしでちりばめられている、ひと癖もふた癖もある酔っぱらいたちの奇妙な物語には、争いごともあれば、これでもかというほど下ネタも多い。
読了日:06月16日 著者:アラン・マバンク
私の小さな日本文学私の小さな日本文学感想
文庫サイズの上製本で、品があって手触りもいい、夏葉社らしい美しい本は、いずれおとらぬ読み応えの近代日本文学16作品+αを収録して読み応えもたっぷりという充実した1冊。編者のチェ・スミン氏は作家であり翻訳家であるだけでなく、ソウルでひとり出版社を立ち上げて自ら翻訳した日本文学のリトルプレスを出版し、さらには独立系書店をも営んでいる方。収録作品のうち既読はなんと4作だけだったということもあってどの作品よりも長い編者あとがきを含めて十二分に楽しめた。
読了日:06月09日 著者:チェ スミン
ずっとお城で暮らしてる (創元推理文庫)ずっとお城で暮らしてる (創元推理文庫)感想
あの人は嫌みだし、この人はきっと何かを企んでいる。集団の中で歯止めがきかなくなった人々の悪意も恐ろしい。だがなによりも怖いのは……。いつも出だしで挫折していた長年の積読本をようやく読み終えた。読んでみたら、奇妙な話なのにすごく自然体で、怖いけれど、切なくて、なんだか妙に忘れがたい物語だった。
読了日:06月02日 著者:シャーリイ・ジャクスン

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