かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

2022年8月の読書

8月の読書メーター
読んだ本の数:19
読んだページ数:4604
ナイス数:488

宣陵散策 (韓国文学ショートショートきむふなセレクション)宣陵散策 (韓国文学ショートショートきむふなセレクション)感想
なにがどうとうまく言い表せないのがもどかしいし、知ったところでどうすることもできないあれこれもまたもどかしいが、それでもこの作品、そういうもどかしさや、きれいごとで終わらせないことをも含めてとても良かった。
読了日:08月31日 著者:チョン ヨンジュン
ついでにジェントルメンついでにジェントルメン感想
収録されている短篇は7つ。なんといっても文壇よりの作品が面白いので、そういう物ばかり集めた連作短篇でも良かったのでは?と思いはするが、ここはそれ、巻頭作品にある菊池寛(の銅像)の忠告に耳を貸すべきか!?「よっぽど上手くないと埋もれちゃうよ。今、めちゃくちゃ多いじゃん。連作短篇」。さすが菊池寛(の銅像)、だてにサロンでずっと聞き耳を立てているわけじゃない。聞く耳を持つ作家にはいろいろ為になるアドバイスをしてくれるらしい!?
読了日:08月29日 著者:柚木 麻子
本おじさんのまちかど図書館 (ものがたりの庭)本おじさんのまちかど図書館 (ものがたりの庭)感想
あつい板の上に、本が積まれていて、その中から、本おじさんがぴったりの日に、ぴったりの人に、ぴったりの本を選んでくれる。想像してみて!街角にこんな図書館があったならって!それだけでもうわくわくしてしまう!
読了日:08月27日 著者:ウマ・クリシュナズワミー
海を渡り、そしてまた海を渡った海を渡り、そしてまた海を渡った感想
中国残留孤児”の血脈を三代にわたって語り上げる物語。190ページと、決して長い物語ではないが、フィクションでありながらも、著者が長年に渡る活動の中で知りあった中国残留邦人とそのご家族の実体験に基づいているからなのだろう、読み応えたっぷりの一冊だ。
読了日:08月25日 著者:河内美穂
プリズムプリズム感想
20~30代、4人の男女の恋愛模様。 映像作品も手がける著者ならではか、映像が目に浮かぶようなシーンや、印象的な言い回しが多い。登場人物達がくりひろげるあれこれに、傷ついたり心ときめかしたりするには、少々歳を取り過ぎてしまった自分を少し寂しく思いつつも、あの場面この場面を思い浮かべながら読み進め楽しんだ。
読了日:08月24日 著者:ソン・ウォンピョン
楽器たちの図書館 (新しい韓国の文学)楽器たちの図書館 (新しい韓国の文学)感想
「自動ピアノ」「マニュアルジェネレーション」「ビニール狂時代」「楽器たちの図書館」「ガラスの盾」「僕とB」「無方向バス」「拍子っぱずれのD」。しゃれたフレーズとほどよい甘さにほろ酔い気分になりがら読み進めると…。「楽器たちの図書館」という本書のタイトルは、そのまま収録作品の一つのタイトルでもあるのだが、読み終えて振り返ってみるとまさに、この本そのものが様々な音を集めた“図書館”だったのだと合点した。
読了日:08月24日 著者:キム・ジュンヒョク
宝島 (光文社古典新訳文庫)宝島 (光文社古典新訳文庫)感想
あまりにも有名な物語なので、すっかり知っているつもりになっていたけれど、きちんと読むのは初めて、これもまた例によって例のごとく 『やりなおし世界文学』からの派生読書。魅力的な登場人物がいっぱいで、この際だったキャラ立ちが、この作品の最大の魅力とも言えるかも。海洋冒険物にありがちな植民地主義的な色彩や、人種的偏見が濃くないことにも好感が持てるし、物語の結末はある程度約束されているにもかかわらず最初から最後まで、面白くて目が離せない。長く読み継がれてきたのも納得の“やりなおし”甲斐のある一作だった。
読了日:08月22日 著者:スティーヴンスン
夏 (新潮クレスト・ブックス)夏 (新潮クレスト・ブックス)感想
アリ・スミス四季四部作最終巻は『夏』。 これまで同様、いくつかの断片がちりばめられて、読者がそれを一つ一つ読み解いていくと、いつの間に一つの長編を読み終えている、というコラージュのような物語だ。 そうして秋冬春夏とすべて読み終え、改めて周りを見回してみると更に、スケールの大きな作品に取り囲まれて、ちょうどそのど真ん中に自分が立っていることに気づく。 これはもう、圧巻と言うしかない。 読み終えたばかりの『夏』を一旦脇におき、再び『秋』を迎えに行く必要がありそうだ。
読了日:08月19日 著者:アリ・スミス
放蕩子爵のやっかいな約束 (ラズベリーブックス)放蕩子爵のやっかいな約束 (ラズベリーブックス)感想
『侯爵と内気な壁の花』の続編。今度のカップルは、ケレイブの妹エミリーと彼の親友マルコム。お約束の展開ではあるけれど、やっぱり一気読みしてしまうのもまたお約束。
読了日:08月18日 著者:クリスティーナ・ブリトン
モーメント・アーケード (韓国文学ショートショートきむふなセレクション)モーメント・アーケード (韓国文学ショートショートきむふなセレクション)感想
“モーメント・アーケード”は見知らぬ誰かが体験した記憶のデータをショッピングできる場所。「会社員のお昼休みに体験したモーメント」「人気女優のモーメント」「ノミの心臓を持つビビリのホラー映画鑑賞モーメント」等々。短く編集されたあらゆる人生の“瞬間(モーメント)”が売り出されている。語り手の「私」はそんなモーメント・アーケードのユーザーだ。短篇の中に、ずしりと重い物が詰まった作品であると同時に、私ならどんな“モーメント”を売りに出すだろう?などと、思わずあれこれ想像してしまう軽やかさも兼ね備えた作品でもある。
読了日:08月17日 著者:ファン・モガ
ジーキル博士とハイド氏 (光文社古典新訳文庫)ジーキル博士とハイド氏 (光文社古典新訳文庫)感想
津村記久子さんの『やりなおし世界文学』からの派生読書。 子ども向けヴァージョンや映画でしか知らなかったこの作品、実は初読みだ。二重人格を題材としていることで有名な作品だと認識していたが、読んでみるとこれは怪奇&探偵小説なんだなあと改めて。
読了日:08月16日 著者:ロバート・ルイス スティーヴンスン
水曜日の手紙 (角川文庫)水曜日の手紙 (角川文庫)感想
#カドブン夏フェア2022 初めましての作家さん。読みやすく、ちょっとほろっとさせられるいい話。後味も悪くない。ひねくれた読者としては少しばかりあざとさを感じてしまうのだが、それはやっぱり好みの問題か…。
読了日:08月15日 著者:森沢 明夫
白い汽船 (10代の本セレクション)白い汽船 (10代の本セレクション)感想
先日読んだユン・フミョンの『白い船』からの派生読書。ソ連時代にキルギスの作家によって書かれた物語たち。それにしてもなんという美しさだろう。そしてまたなんて残酷なんだろう。なかなか入手できずに図書館で他館からかり出してきてもらったのだが、読んで良かった。
読了日:08月12日 著者:Ch.アイトマートフ
白い船 (韓国文学ショートショートきむふなセレクション)白い船 (韓国文学ショートショートきむふなセレクション)感想
1946年生まれの作家、ユン・フミョンが1995年に発表した本作は、同年李箱文学賞を受賞している作品で、語り手である作家が、ソ連崩壊後の中央アジア韓民族の同胞を訪ねる物語。歴史も今もいろいろな問題をはらんだ物語ではあるのだが、なんと言っても印象的なのは、冷たい水をたたえた湖と雪をかぶった天山山脈の美しさ。その描写は、見たことのない風景に憧れを抱くには十分で、いつか私も……と、思わず旅情をかき立てられる。
読了日:08月10日 著者:ユン・フミョン
椿姫 (光文社古典新訳文庫)椿姫 (光文社古典新訳文庫)感想
津村記久子さんの『やりなおし世界文学』をきっかけにはじめて読んだ『椿姫』。冒頭からなんとなく知っていると思っていた筋と違っていてびっくりも。いろいろな意味で読んで良かった1冊。
読了日:08月08日 著者:アレクサンドル デュマ・フィス
和製椿姫和製椿姫
読了日:08月06日 著者:大倉 燁子
こいごころ (しゃばけ)こいごころ (しゃばけ)感想
ちょっと意外な「こいごころ」、「妖百物語」は想像しただけで確かに怖い!?大いなるマンネリと思いつつも、ふふっと楽しみ、ところどころでついついほろっとしてしまうのもお約束。
読了日:08月05日 著者:畠中恵
目で見ることばで話をさせて目で見ることばで話をさせて感想
手話を母語とする少女の心温まる成長譚…かと思ったら、それだけにとどまらず、スリルもサスペンスもたっぷりのなかなかハードな冒険譚で!?いろんな意味で盛りだくさんで、読み応えたっぷりだ。
読了日:08月03日 著者:アン・クレア・レゾット
ニューヨーク製菓店 (韓国文学ショートショートきむふなセレクション 15)ニューヨーク製菓店 (韓国文学ショートショートきむふなセレクション 15)感想
「ニューヨーク製菓店の末っ子」として生まれ育った作家が語るのは、幼い日の思い出、故郷のこと、そしてパン屋を切り盛りしていた母のこと。その場所に立ち戻っても既に店はなく、あの頃に戻りたくても戻ることはできない。それでも思い出が、作家の心に小さな灯りをともすとき、読者もまた、自分の原点に思いを馳せて、小さな灯火で暖をとる。ここではないどこかに、無性に帰りたくなる1冊だ。
読了日:08月01日 著者:キム・ヨンス(金衍洙)

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