かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

2020-01-01から1年間の記事一覧

2020年12月の読書

12月の読書メーター読んだ本の数:10読んだページ数:2669ナイス数:306ニッケル・ボーイズの感想前作『地下鉄道』同様フィクションではあるが、今回の物語はフロリダ州のドジアー男子学校で実際におこった事件が元になっているのだという。(こんなことが、…

『ニッケル・ボーイズ』

ニッケル・ボーイズ 作者:ホワイトヘッド,コルソン 発売日: 2020/11/19 メディア: 単行本 あの 『地下鉄道』の著者が、2度目のピュリッツァー賞を受賞した。しかも今回の翻訳は藤井光さんだ。これはなんとしても読まなくては!と、期待に胸を膨らませて手に…

『地下鉄道』

地下鉄道 (早川書房) 作者:コルソン ホワイトヘッド 発売日: 2017/12/15 メディア: Kindle版 全米図書賞、アーサー・C・クラーク賞等、アメリカで数々の賞を受賞している話題作と聞いてはいた。普段はあまり文学賞に興味を示さない私だがピュリッツァー賞受賞…

『舎弟たちの世界史』

舎弟たちの世界史 (韓国文学セレクション) 作者:イ・ギホ,李起昊 発売日: 2020/08/01 メディア: 単行本 聞いてくれたまえ。 これは、この地の救済不能の独裁者のひとり、全斗煥将軍が国を統べていた時代の話だ 。 ということは、三十年余りの歳月を経た話と…

『ノーザン・ライツ』

ノーザン・ライツ 作者:ハワード・ノーマン 発売日: 2020/10/20 メディア: 単行本 マニトバ州の北部にあるその家は、一軒だけでバドゥラ・レイクという村のすべてだった。母のミナと年下のいとこのシャーロット、そして物語の語り手である14歳の少年ノアが…

『サンソン回想録:フランス革命を生きた死刑執行人の物語』

サンソン回想録:フランス革命を生きた死刑執行人の物語 作者:オノレ・ド・バルザック 発売日: 2020/10/18 メディア: 単行本 パリの死刑執行人を代々務めたサンソン家の4代目当主シャルル‐アンリ・サンソン。ルイ16世やマリー・アントワネット、ロベスピエ…

『ハッピーライフ』

ハッピーライフ 作者:北大路公子 発売日: 2020/09/29 メディア: 単行本 『生きていてもいいかしら日記』などのエッセイやツッコミ鋭くユーモア溢れるツイートでお馴染みの北の大地が生んだ(?)ユニークな文筆家北大路公子さんが手がけた連作短編で、タイト…

2020年11月の読書

11月の読書メーター読んだ本の数:15読んだページ数:3627ナイス数:445美術館って、おもしろい! : 展覧会のつくりかた、働く人たち、美術館の歴史、裏も表もすべてわかる本の感想チェコのモラヴィア美術館が制作した大判絵本。美術館の歴史に始まって、美術…

ほんやく日和vol.2

関西圏で活動する翻訳者が集まって結成された『同人倶楽部 ほんやく日和』による同人誌の第二弾。 前回同様、19世紀~20世紀にかけて活動していた女性作家の短編を集めた翻訳アンソロジーだ。 巻頭を飾るのは、vol.1ですっかりお馴染みになった感のある、…

『桜の木の見える場所』

桜の木の見える場所 (児童単行本) 作者:ペレッティ,パオラ 発売日: 2019/11/20 メディア: 単行本 子どもはだれだって暗やみがこわい。 暗やみは、ドアも窓もない部屋みたいなもの。子どもをつかまえて食べてしまう怪物がひそんでいる。 でも、わたしがこわい…

『本当はごはんを作るのが好きなのに、しんどくなった人たちへ』

本当はごはんを作るのが好きなのに、しんどくなった人たちへ 作者:コウケンテツ 発売日: 2020/09/17 メディア: Kindle版 レビューを書くとき、私は大抵、キッチンの端に置いてあるデスクトップに向かっている。そうしてそんなときは並行してコンロに鍋をかけ…

『秋』

秋 (新潮クレスト・ブックス) 作者:スミス,アリ 発売日: 2020/03/25 メディア: 単行本(ソフトカバー) そういう意味じゃない、と母が言う。あたしはもう、ニュースに疲れた。大したこともない出来事を派手に伝えるニュースに疲れた。本当に恐ろしいとをすご…

『サークル・ゲーム』

サークル・ゲーム 作者:マーガレット・アトウッド 発売日: 2020/05/14 メディア: ペーパーバック マーガレット・アトウッドが現代カナダ文学を代表する作家で日本でも『侍女の物語』をはじめ人気も評価も高い作家であることは知っていたが実をいうとこれまで…

ぼくだけのぶちまけ日記

ぼくだけのぶちまけ日記 (STAMP BOOKS) 作者:スーザン・ニールセン 発売日: 2020/07/17 メディア: 単行本 原題は“The Reluctant Journal of Henry K. Larsen”カナダのYA作家スーザン・ニールセンさんの2012年の作品で、翻訳を担当したのはやまねこ翻訳ク…

『ダフォディルの花』

ダフォディルの花:ケネス・モリス幻想小説集 作者:ケネス・モリス 発売日: 2020/09/18 メディア: 単行本 翻訳家の中野善夫さんが飯野浩美さんと共訳した新刊が、例によって例のごとく国書刊行会から出て、装画も林由紀子さんだと知った時、これもまたきっと…

『食べることと出すこと』

食べることと出すこと (シリーズ ケアをひらく) 作者:頭木 弘樹 発売日: 2020/08/03 メディア: 単行本 “絶望名人”でお馴染みの頭木弘樹さんの本を読んだ。今回はアンソロジーや名言集ではなく、潰瘍性大腸炎を患った著者自身の体験をもとに書かれている本だ…

2020年10月の読書

10月の読書メーター読んだ本の数:14読んだページ数:4136ナイス数:506彼女の名前は (単行本)の感想 『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者チョナムジュが、2017年の1年間に新聞や雑誌に書いた短いフィクションやエッセイに手を入れてた28篇を収録した…

図書新聞 第3469号 

今号の読みどころはなんといっても巻頭記事 サンソン回想録:フランス革命を生きた死刑執行人の物語 作者:オノレ・ド・バルザック 発売日: 2020/10/18 メディア: 単行本 フランス革命の影の主役――死刑執行人・サンソンの苦悩の生涯対談 西川秀和×安達正勝オノ…

『彼女の名前は』

彼女の名前は 作者:チョ・ナムジュ,小山内園子,すんみ 発売日: 2020/09/23 メディア: Kindle版 本書は 『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者チョナムジュが、2017年の1年間に、新聞や雑誌に書いた短いフィクションやエッセイに手を入れてた28篇を収録…

『ほんやく日和 vol.1』

Twitterでみかけて、とても気になっていた『ほんやく日和 19-20世紀女性作家作品集 vol.1』をようやく読んだ。 関西圏で活動する翻訳者が集まって結成された『同人倶楽部 ほんやく日和』による同人誌で、この第1号は2019年11月に初版が発行されている…

『私のなかのチェーホフ』

私のなかのチェーホフ (群像社ライブラリー) 作者:リジヤ アヴィーロワ メディア: 単行本 リジヤ・アヴィーロワは、チェーホフからもトルストイからもその力量を認められていた作家だそうだが、晩年につづった回想録『私のなかのチェーホフ』は、その内容から波…

夢を見た。

食べることと出すこと (シリーズ ケアをひらく) 作者:頭木 弘樹 発売日: 2020/08/03 メディア: 単行本 このところ “絶望名人”でお馴染みの頭木さんの本を読んでいる。 アンソロジーや名言集ではなく、潰瘍性大腸炎を患った頭木さんご自身の体験をもとに書か…

『夏物語』

夏物語 (文春e-book) 作者:川上 未映子 発売日: 2019/07/11 メディア: Kindle版 きっかけは先頃読んだ『サブリナとコリーナ』の著者カリ・ファハルド-アンスタインさんと川上さんの対談記事だった。(ほう、川上作品は英語圏でも結構、読まれているんだなあ…

サラエボの鐘

イェレナ、いない女 他十三篇 作者:イボ・アンドリッチ 発売日: 2020/10/26 メディア: 単行本 ノーベル文学賞作家アンドリッチの新刊が出る。 短編やエッセイの他、散文詩「エクス・ポント(黒海より)」も 収録されているときいて、 昔読んだこの本のことを…

『第九の波』

第九の波 (韓国女性文学シリーズ8) 作者:チェ・ウンミ 発売日: 2020/09/13 メディア: 単行本(ソフトカバー) 初めから厳しい話だとわかってはいた。なにしろこのタイトル、19世紀ロシアの海洋画家イヴァン・アイヴァゾフスキーの代表作『第九の波』( Дев…

『メイドの手帖』

メイドの手帖 最低賃金でトイレを掃除し「書くこと」で自らを救ったシングルマザーの物語 作者:ステファニー・ランド 発売日: 2020/08/13 メディア: Kindle版 この本のことはいつも豊富な話題で楽しませてくれる翻訳家の村井理子(@Riko_Murai)さんと双葉社…

『キャラメル色のわたし』

キャラメル色のわたし (鈴木出版の児童文学 この地球を生きる子どもたち) 作者:シャロン・M・ドレイパー 発売日: 2020/08/28 メディア: 単行本 「州のテストみたいな学校の正式な書類とか、細かく書かなきゃいけないものがあるでしょ。そのなかのひとつに人…

『わたしの心のなか』

わたしの心のなか (この地球を生きる子どもたち) 作者:シャロン・M. ドレイパー 発売日: 2014/09/19 メディア: 単行本 たとえば家族との会話でも、仕事のやりとりでもネットを通じての交流でも、本のレビューを書くという行為においてでさえ、どんなに言葉を…

『忘却についての一般論』

忘却についての一般論 (エクス・リブリス) 作者:ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザ 発売日: 2020/08/28 メディア: 単行本 現代アンゴラ文学ときけば、常日頃から“本で旅する世界旅行”を趣味にしている私としては見過ごすことはできない。と、いいつつも、…

『ガルヴェイアスの犬』

ガルヴェイアスの犬 (新潮クレスト・ブックス) 作者:ペイショット,ジョゼ・ルイス 発売日: 2018/07/31 メディア: 単行本 時々、翻訳小説が苦手な理由の一つに登場人物の名前が覚えられないということを挙げる人がいるけれど一度に何冊かの翻訳小説を並行して…