かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

図書新聞 第3469号 

今号の読みどころはなんといっても巻頭記事

フランス革命の影の主役――死刑執行人・サンソンの苦悩の生涯
対談 西川秀和×安達正勝
オノレ・ド・バルザック著『サンソン回想録――フランス革命を生きた死刑執行人の物語』(国書刊行会)をめぐって

 

安達さんが訳されたバルザックの『サンソン回想録』は、先日書評サイト本が好き!の献本にもあがっていたから、私の周りにも注目している方が多いことと思うが、西川さんの方も最近『サムソン家回顧録』の個人翻訳を手がけられてネット販売もされているとのことだったので、その違いにも興味があった。

 

両者の違いについては、『サンソン回想録』はバルザックが4代目当主シャルル・アンリ・サンソンに成り代わって書いたものであるのに対し、『サンソン家回顧録』の方は6代目当主によって書かれた一族の話だとのこと。

『サンソン家回顧録』の原著は全6巻と長く、西川さんの翻訳はその約3分の1に縮約した英語版を元にしたものだそう。

一族の話ではあるが、やはり、4代目のシャルル・アンリ・サンソンについての記述が多いとのことで、この部分はフランス語の原著から省略なしに全訳したとの説明だった。

お二人の対談を読むと『サンソン回想録』への期待がますます高まる。
回顧録の方も興味はあるのだけれど、私家版にまで手を出すときりがないかと躊躇してしまうのが正直なところ。

 

その他の注目記事はというと、まずは岡和田晃氏による『「世界文学」はつくられる』評。

 

「世界文学」はつくられる: 1827-2020

「世界文学」はつくられる: 1827-2020

 

 岡和田氏もやはり、ソヴィエトの「世界文学全集」をとりあげたところに注目していて、そうそうそうなの!そこが本当に面白いの!と膝を打つ。

 

鳥羽耕史氏が紹介する『戦争をいかに語り継ぐか』(NHK出版)も気になったし、宇野木洋氏が読み解く、閻連科『丁庄の夢』(河出書房新社)がなぜいま新装版で登場したのかという理由も興味深かった。


澤田直氏が紹介するエリック・ヴュイヤールの『その日の予定』(岩波書店)も、気になってはいたのだけれど、と読みたい本のリストに改めて入れた。

もちろんジョディ・カンター/ミーガン・トゥーイー『その名を暴け』(新潮社)も、読まなきゃいけないとわかっている。

 

本が好き!とのコラボ企画で紹介されているのは、休蔵さんの『魔宴』レビュー。

次選としてRokoさんの『本のリストの本』とごんべえさんの『分裂国家アメリカの源流』があがっていた。

 

絶対読むと決めているものの、財政難の折、図書館にリクエストするべきかそれとも…と迷っていたあの本やっぱり買うべきか……。