かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

2021年11月の読書

11月の読書メーター読んだ本の数:20読んだページ数:5026ナイス数:435保吉の手帳から読了日:11月30日 著者:芥川 竜之介あばばばば読了日:11月30日 著者:芥川 竜之介お時儀読了日:11月30日 著者:芥川 竜之介後宮の烏 6 (集英社オレンジ文庫)の感想烏…

『もう死んでいる十二人の女たちと』

もう死んでいる十二人の女たちと (エクス・リブリス) 作者:パク・ソルメ 白水社 Amazon 訳者解説によるとパク・ソルメは、2009年のデビュー以来、常に際立った注目を浴びてきた作家で、「個性的」「前衛的」「果敢」と評されることが多いのだという。本…

『ほんとうのことしかいえない真実の妖精』

ほんとうのことしかいえない真実の妖精 作者:マット・ヘイグ 西村書店 Amazon ずっと、すーと、はるか遠くの北の果てに、一年中雪でおおわれた土地がある。そこで暮らすのは、トロルやゴブリンやエルフや妖精たち。中でも私のお気に入りは『クリスマスをとり…

『クリスマスをとりもどせ!』

クリスマスをとりもどせ! 作者:ヘイグ,マット 西村書店 Amazon その村の名は“エルフヘルム”。どこにあるかを説明するのはちょっとばかり難しい。まあ「フィンランド」だと思ってくれても良いけれど実際にはラップランドを超えてもっとずっと北にいったその先…

『ウォーターダンサー』

ウォーターダンサー (新潮クレスト・ブックス) 作者:タナハシ・コーツ 新潮社 Amazon 2015年に全米図書賞ジャーナリズム部門を受賞した 『世界と僕のあいだに』を読んで衝撃を受けて以来、アフリカ系アメリカ人の文筆家タナハシ・コーツの動向には常に注…

『クリスマスを救った女の子』

クリスマスを救った女の子 作者:ヘイグ,マット 西村書店 Amazon もちろん、魔法の力に満ちたオーロラの中を進んだとしても、サンタクロース……つまりファーザー・クリスマスになったニコラスが、エルフたちがせっせと作ったおもちゃがぎっしり詰まった底なし…

『クリスマスとよばれた男の子』

クリスマスとよばれた男の子 作者:ヘイグ,マット 西村書店 Amazon ニコラスは木こりの父ちゃんとねずみのミーカという二人と一匹で暮らしていた。母ちゃんは数年前、クマにおそわれたときの事故で死んでしまったのだ。ニコラスの家はフィンランドで2番目に…

『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』

私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない 作者:イ・ミンギョン タバブックス Amazon びっくりするほどものすごく、実践的な本なのです。ある意味、ハウツーものと言えるかもしれません。例えば、こんな風に言われたことありませんか?あるいは相手…

『島とクジラと女をめぐる断片』

島とクジラと女をめぐる断片 (河出文庫) 作者:タブッキ,アントニオ 河出書房新社 Amazon ポルトガルという国は西の果てにあって、だから「西洋は終わりだ」という地点を目にしようと思ったら、ポルトガルの海を見に行けばいいのだと思っていた。けれども海岸…

『インド夜想曲』

インド夜想曲 (白水Uブックス―海外小説の誘惑) 作者:アントニオ タブッキ 白水社 Amazon 初めて彼に会ったのは30歳の頃だった。当時の私は、残業や休日出勤は当たり前の仕事中心生活で年に1、2回の長期休暇を楽しみに気ぜわしい日々を送っていた。(次の…

『夢の中の夢』

夢のなかの夢 (岩波文庫) 作者:アントニオ・タブッキ 岩波書店 Amazon 灌木の茂みの下から、隠しておいた羽根と鑞を取り出したのはイカロスの父、ダイダロス。居酒屋でしこたま飲み食いする様子をじっと見ていたキリストに、“私の絵を描くように”と言われた…

『遠い水平線』

遠い水平線 (白水Uブックス―海外小説の誘惑) 作者:アントニオ タブッキ 白水社 Amazon スピーノはとある港町の寂れた病院の遺体安置室に勤めている。彼は、遺体の側で過ごしながら生者と死者のあいだの距離は、そもそも、そんなに大きいのだろうか。と考える…

『いつも手遅れ』

いつも手遅れ 作者:アントニオ・タブッキ 河出書房新社 Amazon いとしいきみへ、親愛なる友へ、愛するきみへ、ぼくのかわいい、苦しむ人へ、そんな書き出しで始まる18篇の手紙思い出を語って郷愁に浸り思いの丈を綴って変わらぬ愛を誓いあったかもしれない…

『マレー素描集』

マレー素描集 作者:アルフィアン・サアット 書肆侃侃房 Amazon シンガポールがイギリス領の一部だった19世紀末に時の総督フランク・スウェッテナムは『Malay Sketches』を執筆した。もちろん英語で。その本は、イギリス人統治者が支配下にあるマレー人の文…

『時は老いをいそぐ』

時は老いをいそぐ 作者:アントニオ・タブッキ 河出書房新社 Amazon 本書は、2012年3月に亡くなったアントニオ・タブッキの連作短編集だ。原著は2009年に出版されているので、遺作ではないのだが、テーマの一つに<老い>が掲げられていることと、タ…

『ジェイコブの部屋』

ジェイコブの部屋 作者:ヴァージニア・ウルフ 文遊社 Amazon どこでどう聞きかじって、どう誤解したのかはわからないが、私はこの作品を文字通り「ジェイコブの部屋」を舞台にした物語だとばかり思っていた。けれどもその部屋には、ジェイコブはいなくて、そ…

『逆さまゲーム』

逆さまゲーム (白水Uブックス―海外小説の誘惑) 作者:アントニオ タブッキ 白水社 Amazon フランス人は隣を見てスペイン人を田舎者だと見下して、スペイン人は隣を見てポルトガル人を馬鹿にするポルトガル人は隣を見るが、目に映るのは海ばかり仕方がなく、彼…

『供述によるとペレイラは…』

供述によるとペレイラは… (白水Uブックス―海外小説の誘惑) 作者:アントニオ タブッキ 白水社 Amazon 供述によると、ペレイラがはじめて彼にあったのは、ある夏の日だったという。 少し堅苦しそうなこんな書き出しで始まる物語は、第2次大戦前夜、1938年…

『レクイエム』

レクイエム (白水Uブックス―海外小説の誘惑) 作者:アントニオ タブッキ 白水社 Amazon タブッキの『レクイエム』に耳を傾けようとするならば灼熱の太陽が照りつける暑い夏の日が最良ということは百も承知ではあったけれどタブッキの邦訳最新刊『イザベルに』…

『イザベルに: ある曼荼羅』

イザベルに: ある曼荼羅 作者:アントニオ タブッキ 河出書房新社 Amazon その男の名はタデウシュ。彼はイザベルを探している。ポケットにカエルを詰め込み周囲の注目を浴びながら共に歩いたという幼なじみを訪ね目に入れても痛くないほどのたっぷりの愛情を…

『ポルトガル、西の果てまで』

ポルトガル、西の果てまで 作者:福間 恵子 共和国 Amazon フランス人は隣を見てスペイン人を田舎者だと見下して、スペイン人は隣を見てポルトガル人を馬鹿にするポルトガル人は隣を見るが、目に映るのは海ばかり仕方がなく、彼らは海に向かって愁いを帯びた…

『20世紀ジョージア(グルジア)短篇集』

20世紀ジョージア(グルジア)短篇集 作者:ミヘイル・ジャヴァヒシヴィリ,コンスタンティネ・ガムサフルディア,ギオルギ・レオニゼ,ノダル・ドゥンバゼ,グラム・ルチェウリシヴィリ,ゴデルジ・チョヘリ 未知谷 Amazon 本書はジョージア(グルジア)語の翻訳…

『僕とおばあさんとイリコとイラリオン』

僕とおばあさんとイリコとイラリオン 作者:ノダル ドゥンバゼ 未知谷 Amazon きっかけはロシア、ポーランド、ハンガリー、チェコ、ルーマニア、セルビア、グルジア、イラン、インド、フランス、アメリカ、イギリス、アイルランド、ドイツ、イタリア、スイス…

『象の旅』

象の旅 作者:ジョゼ・サラマーゴ 書肆侃侃房 Amazon 16世紀、正確には1551年、ポルトガル国王ジョアン三世は、従弟のオーストリア大公に結婚祝いとして、自らが所有するインド象を贈ろうと思い立つ。この小説に基づいてより正確に記するならば、思いつ…

『野生のアイリス』

野生のアイリス 作者:ルイーズ・グリュック KADOKAWA Amazon 2020年にノーベル文学賞を受賞したアメリカの詩人、ルイーズ・グリュック(Louise Glueck)氏の詩集。原書『The Wild Iris』は1993年にピュリッツァー賞詩部門も受賞している。左側のペー…

『廃墟の形』

手錠をかけられた男が警察車両に乗り込む映像をTVのニュースで目にしたことを思い起こす場面から始まるこの小説は、小説家である「私」を語り手とした細かい字がぎっしり詰まった500ページ弱の長編小説だ。小説ではあるけれど、語り手の「私」は著者本…