かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

2022年4月の読書

4月の読書メーター読んだ本の数:18読んだページ数:4723ナイス数:441サリー・ジョーンズの伝説 (世界傑作童話シリーズ)の感想#福音館70周年 彼女の名はサリー・ジョーンズ。それは関税の支払いをけちった商人が、生まれたばかりの赤ん坊にみせかけて乳母車…

『サリー・ジョーンズの伝説』

サリー・ジョーンズの伝説 (世界傑作童話シリーズ) 作者:ヤコブ・ヴェゲリウス 株式会社 福音館書店 Amazon 物語は今から100年前、熱帯の嵐の夜にはじまる。曽野と、アフリカの熱帯雨林の奥深くでゴリラの女の子が生まれた。月はもちろん、星ひとつまたた…

『ファシズムとロシア』

ファシズムとロシア 作者:マルレーヌ・ラリュエル 東京堂出版 Amazon 図書館の新着棚で見つけた本。邦題に目を惹かれて手に取ったところ、よく見ると薄く“Is Russia Fascist?”の文字が。原題は“Is Russia Fascist?: Unraveling Propaganda East and West”2…

『永遠のファシズム』

永遠のファシズム (岩波現代文庫) 作者:ウンベルト・エーコ 岩波書店 Amazon ウンベルト・エーコの政治的・社会的発言集。湾岸戦争、ネオナチの台頭、難民問題など、執筆当時の時事問題を取り上げつつ、ファシズムの危険性を説き、メディアのかかえる問題を…

『ほんやく日和 vol.3』

関西圏で活動する翻訳者が集まって結成された『同人倶楽部 ほんやく日和』による同人誌の第3弾。 これまで同様、19世紀~20世紀にかけて活動していた女性作家の短編を集めた翻訳アンソロジーだ。 巻頭を飾るのは、安心安定の面白さ、やまもとみきさん翻…

『山羊と水葬』

山羊と水葬 作者:くぼたのぞみ 書肆侃侃房 Amazon 北海道に生まれて育った偶然を「運命」と読んでいいのかどうか、わからないまま東京に移り住んで長い時間が過ぎたという著者が、三人称を用いて語るのは、北の大地で育った子ども時代、ジャズに魅せられた青…

『春』

春 (新潮クレスト・ブックス) 作者:アリ・スミス 新潮社 Amazon 『秋』『冬』につづく、四季四部作の三作目、待望の『春』だ。凍てつく大地を突き破って、いの一番に顔を出すクロッカスの新芽。初々しい緑を見つけて喜ぶのはつかの間、よく見れば周りには、…

『きんいろのしか バングラデシュの昔話』

きんいろのしか バングラデシュの昔話 (日本傑作絵本シリーズ) 作者:アーメド ジャラール 福音館書店 Amazon 福音館書店70周年お祝い読書会に参加すべく、なにか良い本はないかな…と探していたときに、再会したとても懐かしい本。初版1968年、子どもの…

『生まれつき翻訳: 世界文学時代の現代小説』

生まれつき翻訳: 世界文学時代の現代小説 作者:レベッカ・L・ウォルコウィッツ 松籟社 Amazon 本書はレベッカ・L・ウォルコウィッツの『生まれつき翻訳--世界文学時代の現代小説』(2015)の日本語版だ。「邦訳」ではなく「日本語版」であることが“味噌”で、…

『ぼくはただ、物語を書きたかった。』

ぼくはただ、物語を書きたかった。 作者:ラフィク・シャミ 西村書店 Amazon 1971年3月、3分の1がぎっしり書き込まれたノートで占められているスーツケースを持って、作家はフランクフルトの空港に降り立った。もう二度と祖国には戻れないと覚悟して。…

『ぼくたちに翼があったころ』

ぼくたちに翼があったころ (世界傑作童話シリーズ) 作者:タミ・シェム=トヴ 株式会社 福音館書店 Amazon アンジェイ・ワイダ監督の『コルチャック先生』(原題:Korczak)を観たことはあるだろうか?あるいは戯曲『コルチャックと子どもたち』の舞台を?もし…

『「その他の外国文学」の翻訳者』

「その他の外国文学」の翻訳者 白水社 Amazon たとえば、図書館に行ったとしよう。あなたがまず足を向けるのはどの棚だろうか?私の場合、まず向かうのは新着コーナー、ここでお目当ての新刊を手に入れた後、おもむろに文学の単行本が並ぶ棚へ。図書の分類法…

『私が本からもらったもの 翻訳者の読書論』

私が本からもらったもの 翻訳者の読書論 作者:駒井稔,鈴木芳子,貝澤哉,永田千奈,木村政則,土屋京子,高遠弘美,酒寄進一,蜂飼耳 書肆侃侃房 Amazon 「光文社古典新訳文庫」の創刊編集長の駒井稔氏を聞き手に、8人の翻訳者が本にまつわる数々の思い出を語った…

『あなたの自伝、お書きします』

あなたの自伝、お書きします 作者:スパーク,ミュリエル 河出書房新社 Amazon それは20世紀半ば、そう、より正確に言えば1949年のことだった。フラーは早急に仕事に就く必要に迫られていた。あちこちの書店にツケがたまっていたのだ。友人の紹介で見つ…