かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

『ほんやく日和 vol.1』

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Twitterでみかけて、とても気になっていた『ほんやく日和 19-20世紀女性作家作品集 vol.1』をようやく読んだ。

 

関西圏で活動する翻訳者が集まって結成された『同人倶楽部 ほんやく日和』による同人誌で、この第1号は2019年11月に初版が発行されている。

 

上京の折にでも御縁があれば……と思ってはいたが、入手できないまま、あっという間に完売に。

(残念だなあ)と思っていたら、第2集の発売を期に重版したというので、今回からオンラインショップでも取り扱ってくれるという「タカラ~ムの本棚」さんに頼んで早速送って貰った。

 

ブックレットサイズの冊子なので、仕事鞄にしのばせるなど気軽に携帯できるのがいい。
全部で8作品、短い作品ばかりなので、隙間時間に読むことも出来る。
寝る前にちょっとだけ~のつもりで読み始めて、疲れて寝落ちしてしまったとしても、痛い思いをすることがないのもいい。
但し、作品によっては、ゾクッと眠気が吹っ飛ぶものもあるので要注意!?

 

以下、【訳者/作品名/著者】で、収録作品の紹介と簡単な感想を。
(※敬称は省略させていただく)

 
●小谷祐子訳/「窓の下」/ケイト・グリーナウェイ詩・絵
可愛らしい挿絵に添えられた詩に、子どもの頃、愛読したマザー・グースの絵本を思い出す。
一見簡単そうにみえて、こういう詩の訳が一番難しそうだなあ~と思いながら、思わず声に出して読んでみた。
読んでみると(ここに息継ぎの為のスペースがあったらいいなあ)(ここにひと文字プラスされれば、より読み上げやすくなるんだけれどな)などと思うところが幾つかあった。
もっともそれは、私が音読して感じただけのことなので、原文と照らした場合、NGなのかもしれない。

 

●やまもとみき訳/「動物の子ども図鑑 その1」/イーディス・ブラウン・カークウッド文/M・T・ロス絵
やーこれは、動物好きにはたまらない。
思わず“スプリングボック”を調べてしまった。
私なら、あの動物をどう紹介するかしら~などと、考えるのもまた楽しい。

 

●岡本明子訳/「不法侵入」/ルーシー・モード・モンゴメリー
さすがモンゴメリー、完成度の高い短編だが、そこはモンゴメリー、正直なところ私はこの「正しさ」がちょっと苦手かも。

 

●井上舞訳/「気高い犬」「染めもの屋の犬」「セミ・デタッチドハウスの怪」/イーディス・ネズビット
はじめてのイーディス・ネズビット、訳者が本書とは別に「怪奇短篇集」も出していると聞いていたので、ちょっと腰を引き気味にこわごわ読んでみたところ、さほど怖くなく、三作ともそれぞれ違った雰囲気ながら、いずれもキリッと引き締まった面白さが。短篇集も読んでみたい。

 

●まえだようこ訳「川の渡り」/ガートゥルード・アザートン
いやしかし、これは……さあ。
言えないよ。言えやしないよ。
言えやしないけれど……

寝付きの良いのが自慢な私が……。
くー、まんまとしてやられた!?

 

●朝賀雅子訳「ひとり目の妻の結婚指輪」/ジュリアナ・ホレイシア・ユーイング
おとぎ話のエッセンスをこれでもかとつぎ込んで、いったいどうやって収集をつけるのか!?と思ったら、ちゃんと収まるさすがのトリ!

 

うん。面白かった。
続いてvol.2も読むぞー♪