かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

2020-01-01から1年間の記事一覧

『「世界文学」はつくられる: 1827-2020』

「世界文学」はつくられる: 1827-2020 作者:俊一郎, 秋草 発売日: 2020/07/10 メディア: 単行本 “「世界文学」とはなにか”と題される序章からはじまる本書は、およそ380ページにわたって展開される、比較文学や翻訳研究が専門の著者による学術論文集だ。「…

2020年9月の読書

9月の読書メーター読んだ本の数:13読んだページ数:3611ナイス数:564マノン・レスコー (光文社古典新訳文庫)の感想『文学こそ最高の教養である』からの派生読書。オペラの題材として大まかなストーリーは知っているつもりだったが,読んでみるとあちこちツ…

『サブリナとコリーナ』

サブリナとコリーナ (新潮クレスト・ブックス) 作者:ファハルド=アンスタイン,カリ 発売日: 2020/08/27 メディア: 単行本(ソフトカバー) “短編の名手アリス・マンローを思わせるような作家”“デビュー短篇集にして2019年全米図書賞最終候補作”“ヒスパニ…

『言葉に命を~ダーリの辞典ができるまで』

言葉に命を~ダーリの辞典ができるまで 作者:ポルドミンスキイ 発売日: 2017/08/15 メディア: 単行本 「彼は詩人ではない。話を創作する術を持たないし、創作する気もない……。書くものはすべて実際に現実から得たものそのままだ。小説家がおおいに頭を悩ませる…

『魔宴』

魔宴 作者:モーリス・サックス 発売日: 2020/09/08 メディア: 単行本 人生の瑣末な出来事を記録することに何らかの価値があるなどと考えるのは、取るに足らない虚栄心の表れでしかない。それでも人はそれを書きとめて、内なる宇宙の法則を他者に伝えるのであ…

せんそうがやってきた日

せんそうがやってきた日 作者:ニコラ・デイビス 発売日: 2020/07/06 メディア: 大型本 最初のページを開くと真ん中にぽつんと誰も座っていない小さな椅子が現れる。そこには この本を、すべてを失い、ひとり取り残された子どもたちと、そんな子どもたちを支…

砂漠が街に入りこんだ日

砂漠が街に入りこんだ日 作者:グカ・ハン 発売日: 2020/08/01 メディア: 単行本 勤め先のマクドナルドに向かうのはやめて、バスに乗ってルオエスにあるという砂漠を探しにいくことにした一人の女性。バスの中でも、人の多い駅のコンコースでも、メトロに乗っ…

『誰にでも親切な教会のお兄さんカン・ミノ (となりの国のものがたり4)』

誰にでも親切な教会のお兄さんカン・ミノ (となりの国のものがたり4) 作者:イ・ギホ 発売日: 2020/01/24 メディア: 単行本(ソフトカバー) 以前読んだ 原州通信がとても好みだったので、同じ作者の短編集がでたと聞いて気になって、(ラノベのように長いタ…

『原州通信』

原州通信 (韓国文学ショートショート きむふなセレクション) 作者:ギホ, イ 発売日: 2018/10/31 メディア: 単行本 先日、東京に行った際、旅の記念に田舎ではなかなか入手することが出来ない本を買おうと思い立って大型書店をのぞいてみた。前々から気になっ…

『世界の文学、文学の世界』

世界の文学、文学の世界 発売日: 2020/04/01 メディア: 単行本 近頃よく「世界文学」という言葉を目にするようになった気がする。もちろん「世界文学全集」なんてものはかなり以前からあったわけだから特に目新しい言葉だというわけではないのだけれど。もし…

『星を見あげたふたりの夏』

星を見あげたふたりの夏 作者:ロード,シンシア あかね書房 Amazon 野菜や果物に食べ頃があるように本にも美味しい読み頃があると思わない?もっとも食べものと違って本の場合は真夏に冬の本を読むのもありだし「季節限定」というわけではないけれど。そして…

『夜の舞・解毒草』

夜の舞・解毒草 (新しいマヤの文学) 作者:カン,イサアク・エサウ・カリージョ,フチン,アナ・パトリシア・マルティネス 発売日: 2020/08/23 メディア: 単行本 夜の闇が忍び込み、すでに私たちを包み込んでいる。コウモリは静寂に耳を澄まし、私が夢を見始める…

2020年8月の読書

8月の読書メーター読んだ本の数:24読んだページ数:7304ナイス数:817ババア上等! 大人のオシャレ DO! & DON’T! (集英社文庫)の感想#ナツイチ 読書会に参加すべく、普段はなかなか手にしないジャンルの本を読んでみた。ファッションには疎い私だけれど、こ…

『時間』

時間 作者:エヴァ・ホフマン 発売日: 2020/06/03 メディア: 単行本 久々にエンデの 『モモ』を読んだので、その勢いで気になっていたエヴァ・ホフマンの新刊を読み始めた。もちろん時間つながり!!エヴァ・ホフマンといえば、ポーランド生まれのユダヤ人、…

『モモ』

モモ (岩波少年文庫) 作者:ミヒャエル・エンデ,大島 かおり 発売日: 2017/07/20 メディア: Kindle版 町外れの円形劇場跡に住み着いたもじゃもじゃ頭で粗末な身なりをした不思議な女の子モモ。町の人たちは大人も子どももモモに会いにやってくる。モモに話を…

『パチンコ』

パチンコ 上 作者:リー,ミン・ジン 発売日: 2020/07/30 メディア: 単行本 パチンコ 下 作者:リー,ミン・ジン 発売日: 2020/07/30 メディア: 単行本 物語は1910年、日本が大韓帝国を併合した年、韓国釜山の南に位置する小さな島・影島の漁村で幕を開け、…

『トムは真夜中の庭で』

トムは真夜中の庭で (岩波少年文庫 (041)) 作者:フィリパ・ピアス 発売日: 2000/06/16 メディア: 単行本 その夏、弟のピーターが麻疹にかかったためにトムは叔母夫婦の家にあずけられることになった。叔母さんたちの住んでいるのは元々大きなお屋敷だった建…

アメリカに生きる私(わたし)―二つの言語、二つの文化の間で

アメリカに生きる私(わたし)―二つの言語、二つの文化の間で 作者:エヴァ ホフマン 発売日: 1992/01/01 メディア: 単行本 昔読んだ本の一節を、ふとした拍子に思い出す事がある。二十年以上前に読んだこの本の場合、よく思い浮かべるのはこんなシーン。 「あ…

すべて内なるものは

すべて内なるものは 作者:ダンティカ,エドウィージ 発売日: 2020/06/25 メディア: 単行本 エドウィージ・ダンティカの本が作品社から出るのはこれが6冊目だろうか。既に読んだ本もあるが、読みたい本のリストにあげたまま未読の本もあるのでそのすべてを確…

クリック?クラック!

クリック?クラック! 作者:エドウィージ ダンティカ メディア: 単行本 エドウィージ・ダンティカは1969年、ハイチに生まれた。12歳の時、先に渡米していた両親の後を追ってアメリカに渡り、ブルックリンのハイチ系アメリカ人コミュニティで暮らすように…

『小公子』

小公子 (岩波少年文庫) 作者:フランシス・ホジソン・バーネット 発売日: 2011/11/17 メディア: 単行本(ソフトカバー) 幼い頃に父を亡くしたセドリックは愛情深い母と二人互いに寄り添いあいながらニューヨークで暮らしていたが一度も会ったことのない父方…

原爆句抄―魂からしみ出る涙

原爆句抄: 魂からしみ出る涙 作者:松尾 あつゆき 発売日: 2017/09/04 メディア: Kindle版 松尾あつゆきは自由律俳句を詠む俳人だ。長崎で被曝した体験を俳句に詠んだことで知られていて、私もその句を以前、なにかの折に一つ二つ目にしたことがあったが、そ…

光のうつしえ 廣島 ヒロシマ 広島

光のうつしえ 廣島 ヒロシマ 広島 作者:朽木祥 発売日: 2018/09/07 メディア: Kindle版 ヒロシマに原爆が投下されてから25年目の夏。灯籠流しのシーンから物語は始まる。12歳、小学校6年生だった希未は見知らぬ老婦人から声をかけられた。「あなたは、…

赤い砂を蹴る

赤い砂を蹴る 作者:燃, 石原 発売日: 2020/07/13 メディア: 単行本 人文書院の津島佑子コレクション第1巻『悲しみについて』の巻末に収録された「人の声、母の歌」を読んで以来、“石原燃”は私にとって特別な語り手になった。だから彼女が小説を書き上げたと…

悲しみについて(津島佑子コレクション)

悲しみについて(津島佑子コレクション) 作者:津島 佑子 発売日: 2017/06/30 メディア: 単行本 喪失の物語だと思っていた。8歳の息子を失った著者の実体験に基づいた母の物語なのだと。けれども読み始めてみるとそれは読者である私の勝手な思い込みのように…

2020年7月の読書

7月の読書メーター読んだ本の数:17読んだページ数:3648ナイス数:641三十五氏の感想あれこれと思い出を語る追悼文。私は昔、直木三十五の『長谷川時雨が卅歳若かつたら』を読んで、三十五最低!と腹を立てたことがあったのだけれど、長谷川時雨自身は、ふ…

薔薇はシュラバで生まれる

薔薇はシュラバで生まれる―70年代少女漫画アシスタント奮闘記― (EAST PRESS COMICS) 作者:笹生 那実 発売日: 2020/02/12 メディア: コミック 小学6年生の時、美内すずえのデビュー作に出会いたちまち大ファンになった少女は、中学入学後、毎月欠かさずファ…

総特集 三原順 少女マンガ界のはみだしっ子

総特集 三原順 少女マンガ界のはみだしっ子 作者:三原 順 発売日: 2015/04/08 メディア: 単行本 もしかしたらお若い方はご存じないかもしれないが三原順(みはらじゅん)は1970年~80年代に活躍した漫画家だ。代表作に『はみだしっ子』や『ルーとソロ…

海女たち―愛を抱かずしてどうして海に入られようか

海女たち―愛を抱かずしてどうして海に入られようか 作者:ホ・ヨンソン,許 榮善 発売日: 2020/03/24 メディア: 単行本(ソフトカバー) 白地に鮮やかな椿の花をあしらった装丁が印象的なこの本が韓国済州島出身の詩人による詩集だと知って興味を持った。済州…

いろいろな人たち(カレル・チャペックエッセイ集)

食べすぎたのか、食べたものが悪かったのか、 胃腸の具合が悪く 昨夜は就寝後、何度もベッドから抜け出して トイレに駆け込むはめに。 よく眠れなかったので 今朝はのんびり、二度寝して 自分を甘やかすことにした。 うとうととしながら、思い出して 本棚の…