食べすぎたのか、食べたものが悪かったのか、
胃腸の具合が悪く
昨夜は就寝後、何度もベッドから抜け出して
トイレに駆け込むはめに。
よく眠れなかったので
今朝はのんびり、二度寝して
自分を甘やかすことにした。
うとうととしながら、思い出して
本棚の奥からひっぱりだしてきたのはこの本。
訃報に接したばかりの飯島周さんの翻訳だった。
作家であると同時に新聞記者でもあった著者の短いエッセイを50余集めた本書は、
一気に読むにはしんどいが、
少しずつ、どこから読んでもかまわない1冊だ。
とりわけ私のお気に入りは、風邪をひいた作家が
退屈しのぎに読む本を選ぼうとするくだり。
いや、きみは今日はどうもお呼びでない、とても耐えられないだろう、分厚く物知りにしてくれる本よ。ぼくの脳みそは今は無気力で愚かになっているのだから。自分の無気力さと頭の悪さを思い出させないようなものを読みたいんだ。なにか軽いもの、なにか時間のかからないものを……おえっ、ぼくの目の前から消えろ、ユーモア作品よ、きみたちの野蛮な悪意に今日は我慢できそうにもない、きみたちがきずついた人間をからかうのに用いるその悪意には。ぼくも今運命に打ちのめされている。……
こんな具合に、英雄小説もだめ、探偵小説もだめ、心理学もだめ……と、
ひととおり見渡して選んだ本は……。
いいのか、それで?!私ならかえって熱が上がりそうな気がするけれど?!
鼻風邪のぐずぐずぶりから、
「女たちは秘密を守ることができない」というのは本当か、
人間と犬の微妙な関係など日常のあれこれにはじまって、
チャペックの暮らすチェコから遠く離れた日本の関東大震災に言及し、
被災地支援を訴えたかとおもうと、
政治について、民主主義についても真剣に辛辣に語りもする。
とりわけ、前半部分は、兄ヨゼフ・チャペックのユーモラスな挿絵もあって軽快だ。
後半部分は、政治的、思想的なテーマが多くなるので、
読みつけないと少し辛いかもしれないが、
チャペックの作品や人となりをより深く知る手助けとなるにちがいない。