かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

『シロクマが嵐をこえてきた!』

 

いつだって苦悩を抱えた子どもたちの元へと
旅するシロクマ、ミスターP。
シリーズ第4弾の本作では、嵐の夜、
ボートに乗って海辺の町にやってくる。

今回の主人公はマヤという名の女の子。
パパは沿岸警備隊の隊員で
ママは「ライトハウス・ホリディ・コテージ」を経営している。
ガラス工房で働くお兄ちゃんのマックスと
夏休みで帰省中の大学生のお姉ちゃんアイリスと一緒に暮らしているが、
どうやらマヤは、生まれたときからこの家族の一員だったわけではないらしい。

新しい家族に迎え入れられたマヤに
言葉や読み書きを教えたり、
泳ぎやサーフィンの手ほどきをして、
ぽっかり空いた穴の対処法や
思い出の保存方法などを伝授してくれたのは
近所に一人で暮らしているおばあちゃんだった。

その大好きなおばあちゃんがの様子がおかしいと
ママやパパは心配しているのだが、
物忘れがひどくなったり、
時々記憶が混乱したりするおばあちゃんに
不安を覚えながらも、
マヤはそうした変化を受け入れられずにいた。

そんなときやってきたのはミスターP。
シロクマの存在はマヤとおばあちゃんの二人だけの秘密だったが、
隠しおおせるわけもなく、
噂は次第に広まって、
ミスターPのことを知らないママやパパは
おばあちゃんの妄想がひどくなったと思い込む。

やがてピンチが訪れたとき、
例によって例のごとくミスターPが大活躍。
大団円を迎えるも、
以前とすっかり同じというわけにはいかなかった。


ひと言も言葉を発しないにもかかわらず
いつもいつでも、
悩める子どもたちに寄り添って
周囲の大人たちの心まで解きほぐしていくミスターP。
いつもいつだって大好きだったけれど、
今までのお話の中で一番、私はこの話が好きかも!
シロクマファンはもちろん、ロウジンスキーにもお薦めだ。