かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

『黒猫を飼い始めた』

 

「黒猫を飼い始めた。」
冒頭の一行は皆同じ。

潮谷 験/紙城境介/結城真一郎/斜線堂有紀
辻 真先/一穂ミチ/宮西真冬/柾木政宗
真下みこと/似鳥 鶏/周木 律/犬飼ねこそぎ
青崎有吾/小野寺史宜/高田崇史/紺野天龍
杉山 幌/原田ひ香/森川智喜/河村拓哉
秋竹サラダ/矢部 嵩/朱野帰子/方丈貴恵
三津田信三/円居 挽

26人の作家が二行目以降を思い思いに展開するショートショート集めた1冊は、一気に読むというよりは、隙間時間に一つ二つと読み進めるのがお薦め。

シリアス系の短篇から、ミステリ、ホラー、サスペンス……ファンタジーもあるがダーク寄りだ。

これがもし「猫を飼い始めた」で始まっていたならば、おそらく多くの作品にどんな猫かを紹介する記述がプラスされただけでなく、ほのぼのとしたアットホームな物語など、もう少し、幅が広くなったのではなかろうか。

あるいは「三毛猫を飼い始めた」だったなら、ハートフル度が増し増しになったかも。

そういう意味では、作家が「黒猫」の持つイメージに引きずられている感じがあるが、「黒猫」に惹かれた読者もそういうものを期待しているのだから、それが正解なのかも。