かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

『殺人ゲーム』

 

 夫マットの学生時代の友人の結婚式に
夫婦そろって招待されたジェマは
その友人ルーカスが大富豪で、
式の会場が海沿いにあるお城のような屋敷だと知って
はじめて顔を合わせる面々に気後れしつつも
好奇心を隠せなかった。

式の2日前から、招かれていたのは
マットとジェマの他に
アンドリューとその婚約者チャンドラ
ニックとイザベルの双子だった。

友人たちにとっても久しぶりの再会で、
それぞれが親交を深めていたが、
どこかぎこちない力関係や
禁句とされている事柄など、
新参者のジェマには理解しがたい雰囲気が漂っていた。

そうして迎えた結婚式の朝、
ルーカスの妹アレックスが水死体となって発見される。

アレックスの死は自殺とされたが、式は中止に。


その1年後の同じ日に、
ルーカスは1年前とそっくり同じメンバーを招待し
妹は自殺したのではなく殺されのだ。
犯人はこのメンバーの中にいるはずなので、
あの日を再現した「殺人ゲーム」を行って、
真実を明らかにすると宣言するのだった。

マットをはじめ集まった面々がなぜ
ルーカスのいうがままになるのか
ジェマには理解が出来なかったが、
否応なく「ゲーム」に巻き込まれていく。

そうこうしているうちに別の事件の捜査で警察が介入し、
さらに新たな事件が起こって……。


Twitterプレゼント企画に当選してKADOKAWAさんからいただいた本。

<英“サイコ・スリラーの女王”初邦訳!>
と聞いていたので、
おどろおどろしい展開なのか、
凄惨なシーンがあるかもしれないと、
こわごわページをめくり始めたが、
登場人物の行動や言動からその心理状態や動機を推理していく心理ゲームで、
ハラハラドキドキというよりは、
じっくり腰を据えて考えろ!という雰囲気。
といいつつ、読み始めたらやめられなくて、一気に読んでしまった。


語り手はジェマの他、
アレックスに、ルーカスの妻となるニーナと折々入れ替わる。

男たちは誰もが皆、秘密をかかえているようで、
展開にはさほど意外性はなかったが、
最終盤まで「真犯人」はわからなかった。

途中、捜査に当たる女性警察官ステファニーの
仕事と恋の間で悩む心のうちも明かされるのだが
この警察官カップルの互いを思いやる心持ちが
身勝手な人たちの心理戦の最中、唯一の救いか…と思ったら、
訳者あとがきで本作が
この女性警察官ステファニー・キングシリーズの
2作目なのだと明かされていてびっくり。
本篇を読んでいる間、全く気づかなかったなあ!
(ちなみに1作目は未邦訳とのこと)

でも確かに、
そう言われてみれば、美味しいところを持っていっていたか!