かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

2023年4月の読書

4月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:3335
ナイス数:386

西の果ての白馬西の果ての白馬感想
イギリスの南西のはしにある半島の先端近くの小さな村を舞台にした5つの物語には、自然の厳しさや人と自然が共存することの難しさが含まれていて、独特の苦みがあるのだが、同時にそうした現実的なあれこれの中に、ノッカーと呼ばれる小鬼や魔女や幽霊が当たり前のように溶け込んでいて、きっとあの村にいけば、今でもきっと……という気持ちになってくる。丸々一冊読み終えたあとの読後感は、決して苦すぎることなく、むしろ優しい口当たりが心地よい。モーパーゴの素晴らしさを改めて実感できる1冊。
読了日:04月26日 著者:マイケル・モーパーゴ
五月 その他の短篇五月 その他の短篇感想
いずれの物語も書き出しからは予測不可能。思いも寄らぬ方向へと読者を導いたあげく、思いがけないところで放り出す。その意外性がやみつきに!?
読了日:04月24日 著者:アリ・スミス
文學の実効 精神に奇跡をもたらす25の発明文學の実効 精神に奇跡をもたらす25の発明感想
自分の読書観を変えるほどの衝撃を受ける本とは、そうそう出会えるものではない。それなりに長くなった私の読書人生の中でも、指折り数えて片手で足りるほど。けれどもこの本はきっと、私の今後の読書人生を大きく変えることになるだろう、そんな予感がする。
読了日:04月20日 著者:アンガス・フレッチャー
ヘンリー・ライクロフトの私記 (光文社古典新訳文庫)ヘンリー・ライクロフトの私記 (光文社古典新訳文庫)感想
かねて気になっていた本をようやく読んだのは、またまた『やりなおし世界文学』の影響だ。美しい自然描写だけでなく、既に筆を置いたという設定のライクロフトの個人的な日記だからこそ言えるあれこれ、食い扶持の心配なしにのんびり暮らせる金銭的ゆとりに加え、長患いすることなくぽっくりと逝ったことまでもが、世界の文豪たちがこぞってこの作品を愛読した理由かもしれないなどと思ったり。
読了日:04月18日 著者:ジョージ ギッシング
十三号キャビンの女 エマ・グリフィン FBIミステリーシリーズ十三号キャビンの女 エマ・グリフィン FBIミステリーシリーズ感想
#やまねこ新刊 小さな田舎の町にやってきたのは若きFBI捜査官エマ。だがしかし、たった一人で潜入捜査にあたる彼女は、その腕をみこまれて送り込まれてきたわけではなさそうで…。今回の事件そのものの展開は、ある程度読み進めれば予測可能で意外性があるとはいえないが、行方不明になったあの人この人の足跡を追ううちに、断片的に明かされる両親や恋人を失ったエマの過去が、物語に一層の不穏さと深みを与えていて一気に読まずにはいられない。シリーズ第1作というだけあって、エマをめぐる謎の行方が気になってしょうがない。 
読了日:04月17日 著者:A.J. Rivers
私たちが記したもの (単行本)私たちが記したもの (単行本)感想
作家本人を思わせる作品の他、高齢の姉妹をとりまくあれこれ、働きながらの子育てをする母親の悩み、コロナ禍における10代の恋など、様々な女たちが描かれた作品が収録された読み応えたっぷりの短編集。
読了日:04月12日 著者:チョ・ナムジュ
文と本と旅と-上林曉精選随筆集 (中公文庫 か 95-1)文と本と旅と-上林曉精選随筆集 (中公文庫 か 95-1)感想
読み終えるのが惜しい気がして、少しずつ行きつ戻りつしながら、じっくりかみしめるように味わって、先日とうとう最後の頁までたどりついてしまった本。とにもかくにも隅々まで面白く、これを機に上林暁、もうちょっと追いかけてみたくなってきた。
読了日:04月10日 著者:上林 曉
モルグ街の殺人事件モルグ街の殺人事件感想
『文學の実効』からの派生読書。序文だけ確認しようと思って読み始めるも、結局通して読んでしまった。なるほど確かに、なんでチェス、なんでホイスト?と首をかしげる序文にうなる。
読了日:04月08日 著者:エドガー・アラン ポー
終りなき夜に生れつく (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)終りなき夜に生れつく (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)感想
『やりなおし世界文学』からの派生読書。十代半ばに読んで以来の再読だった。ミステリを読むつもりで読み始めた本は、確かにミステリではあったのだが、でもちょっと、なにか違うものを読んだ気もして、そんなところも面白かった。 
読了日:04月07日 著者:アガサ・クリスティー
その昔、N市ではその昔、N市では感想
戦後ドイツを代表する女性作家マリー・ルイーゼ・カシュニッツ(1901-1974)の作品を集めた日本オリジナル短篇集。200頁ちょっとと比較的薄めの本にもかかわらず、いずれ劣らぬ読み応えの作品が15篇も!とりわけお気に入りは、「白熊」「船の話」「ルピナス」「四月」あたり、あ、でも「いいですよ、わたしの天使」も…。あれもこれも捨てがたい、やっぱり、全部、お気に入り!?
読了日:04月05日 著者:マリー・ルイーゼ・カシュニッツ
無垢なる聖人無垢なる聖人感想
舞台は1960年代後半のスペイン南部。貧困にあえぐ貧しい人たちと、遊んで暮らす金持ちがいて、心優しい人たちと、わがまま放題の人たちがいる。それでも、誰一人幸せになることのない残酷なラストは、新しい時代の幕開けを予感させる。
読了日:04月03日 著者:ミゲル・デリーベス

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