かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

『暗がりで本を読む』

 

 

タイトルに惹かれて手にした本の著者は
書店で働きながら,『本の雑誌』や西日本新聞などで
書評やコラムを執筆されている方なのだそう。

本屋大賞やBOOKUOKA(ブックオカ)でも活躍されておられているようで、
Twitterで「この本、気になる」とつぶやいたところ
各方面から熱くお薦めされて、思わず積んでしまったのだった。

そんな風に、あちこちで活躍されている方が書かれたものなら
さぞや元気いっぱい、溌剌とした文章に違いないと
勝手に思いこんでいたのだけれど、
いざ読んでみると、
タイトルにも装丁にも、この“看板に偽りなし”の
靜かで落ち着きがあって
それでいてどこかあたたかみのある心地よい筆運びが印象的な1冊だった。

予想以上に沢山の本が紹介されていて
またまた読みたい本のリストがのびてしまう。

同時に読んだことも、レビューを書いたこともある本も結構あって、
なるほどこういう風に紹介されるのかと食い入るように読んでしまうことも。

エッセイを読んで嬉しいのは、私が言葉にできない思いを、
芯のある文章で情感をこめて表わす人に出会う時。


小池昌代さんの『幼年 水の町』を紹介する文章の冒頭で
著者が読者に打ち明けるように綴ったこの一節は、
そのまま私がこの本を読んだ時に感じた気持ちを表しているかのようだった。