かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

『列車探偵ハル2 アメリカ横断列車の誘拐事件』

 

前作『列車探偵ハル 王室列車の宝石どろぼうを追え!で、すっかり鉄道ファンになったハル。

今回もまたナットおじさんが誘ってくれたカリフォルニア・コメット号でアメリカを横断する旅を何週間も前から楽しみにしていた。

それはもちろんすっかり鉄道ファンになったからではあったが、同時に、生まれて間もない妹エリーを中心に廻る家の中があまり面白くなかったせいでもあるし、もしかするとまたなにか事件に遭遇するかもしれないという期待をもっていたせいでもあった。

そんなわけで、やっぱり空より陸の旅の方がいいと思いつつ、はじめて飛行機に乗り込んではるばるイギリスからアメリカにやってきたハルは、旅行作家のナットおじさんとともにアメリカ横断の列車旅行に出発するのだった。

何一つ見逃すまいと決意していたハルは、今回、ゲームを家に置いてきた。
鉛筆とスケッチブックを抱えて、駅や列車や乗客達をくまなくスケッチするハルのするどい観察眼は、出発前からなにがしかの異変を感じ取っていた。
それがなにかは分からなかったが、何か起こって欲しいという期待だけではないような気がしていたのだ。

その予感を裏付けるかのように、途中下車した駅で、億万長者レザのひとり娘マリアンが誘拐される。

事件の直前、マリアンとちょっとした衝突をしていたハルは、列車の中で友達になったモノマネ上手の少年メイソンとマジシャン志望の少女ハドリーの兄妹とともに、マリアンを助け出そうと捜索に乗り出すのだった。

誘拐事件に産業スパイ!?
前作よりさらにスケールアップした感のある物語は、ミステリあり、友情あり、美しい景色が堪能できる列車の旅もたっぷり。

ラストには旅することのとっておきの効能も。

すっかり列車探偵が板に付いてきたハル少年。

またどこかに旅に出てくれないかしらと、読者はさらなる「偶然」に期待してしまうのだった。