かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

『男も女もみんなフェミニストでなきゃ』

 

『アメリカーナ』をはじめ、これまで数作を読んだ経験から、チママンダ・ンゴズィ・アディーチェの作品は全部読みたい!ただ読むだけではなくできうる限り丁寧に何度でも読みこみたい!と思っているのだが、正直なところこの本についてはすこしばかり購入を躊躇した。


なぜならこれは彼女の書いた小説ではなく、2012年12月にTEDxEuston(毎年大規模な世界的講演会を主催している非営利団体TEDのよるアフリカに焦点を当てて毎年開かれている会議)で行なったスピーチ「We Should All Be Feminists」のテキストを翻訳したものだと知っていたからだ。


このスピーチの内容が非常に興味深いものであろうことは容易に想像できた。
なにしろこれは、ビヨンセがアディーチェの声をサンプリングした曲を発表したり、ディオールがTシャツをつくったり、スウェーデン政府が16歳のすべての子どもにテキスト全文を配布したりと、様々な取り上げられ方をして、世界中で話題になってきたというしろものなのだから。


けれどもTEDのスピーチはネットを検索すれば無料で聴くことができるし、日本語字幕をつけて公開しているサイトもある。
決して安いとは言えない値段で売り出されたこの本をあえて買う意味はどこにあるのか。
そんな風に迷いつつも地元書店に注文した本だったが、読みおえたあと後悔はしていない。
この少し小ぶりの本を私はきっとこの先、なんども繰り返し開くことだろう。
そしていつか、同じようにこの本を読んだ誰かと、あれこれしみじみ語り合いたいと思ったりもする。


少しだけ残念に思ったことをあげるとするならば(それが★をひとつ減じた理由でもあるのだけれど)、この本が若い世代へのプレゼントにも良さそうな素敵な装丁であるだけに、邦題にもうひと工夫欲しかったということと、少し文字を詰めてでも英文も併記して教材的な要素も加味すれば、より広範な層に手にとってもらえたのではないかということ。そういうことも十分検討の上での、出版なのだろうとは思いつつも。

            (2017年04月26日 本が好き!投稿