かもめもかも

かもめのつぶやきメモ

『ロンドン謎解き結婚相談所』

 

 ケンブリッジ大で学んだ“才媛”で、戦時中は特殊な訓練を受け、お国のためになにやら人には言えないようなあれこれをしてきたらしい小柄なアイリスは、度胸も“腕”も折り紙付き。

上流階級の出身で貴族の家に嫁いだものの夫が戦死し、今は一人息子の成長だけを楽しみに、義実家で窮屈な思いをしながら暮らしている長身のグウェンは、庶民の暮らしは知らないが、ずば抜けた観察眼で人を見る目は確か。

1948年、まだまだ戦争の爪痕が色濃く残るロンドンで、一見するとあらゆる面で対照的に見える二人は共同で結婚相談所をたちあげた。

それぞれのスキルを活かして調べ観察し、顧客にふさわしい相手を紹介する仕事は、順調に軌道にのるかと思われたそんな矢先、事件が起こる。

若く美しい女性に、奥手だが誠実な会計士を紹介したところ、女性が殺され、会計士の青年逮捕されてしまったのだ。

相談所を襲う大スキャンダルで、いきなり経営危機に!?

彼が犯人とは思えない二人は、真犯人探しに乗り出すのだった。

テンポ良く、個性的な脇役もずらり、なにより、互いに打ち明けられずにいる秘密を抱え、心の傷を十分に癒やせないまま、それでもひたすら前を向いて、人生を切り拓こうとする主役の二人が魅力的。

謎解きよりも登場人物の魅力で読ませる物語。
結婚=幸せとは限らないし、結婚がゴールであるとも思わないが、この先どういう形であれ、この二人には絶対幸せになって欲しい!と、シリーズ第1作目にして、読者の心をがっちりつかむ。
次作も必ず読むと決めた!