今日マチ子さんの表紙に惹かれて新刊情報に目を留めると、翻訳は永田千奈さんだという。
ということは原書はフランス語?とよくよく見れば、世界的なミリオンセラー『優雅なハリネズミ』(L'elegance du herisson)の著者で、モロッコ生まれで日本びいきのフランス人作家ミュリエル・バルベリ氏の作品だというではないか!
しかもこれ京都を舞台にした物語なのだという。
というわけで読んでみた。
フランスで生まれ育った40歳のローズは、日本人の父親とは一度も会ったことがないばかりか、電話や手紙で連絡を取り合ったことすらなかった。
そんな彼女が京都にやってきたのは、亡くなった父が残した遺産の相続手続きのためだった。
名の知られた美術商だったという父親は、自分の死後、フランスから京都に娘を呼び寄せ、具体的な相続手続きに入る前に、自分が好きだったあの場所この場所に案内させるようにと、綿密な計画をたてて、アシスタントのポールに託していたのだった。
それが何のためかも知らされず、初めて訪れた京都で寺めぐりをすることになったローズの目と心に映った京都はというと……。
“天涯孤独のヒロインの愛と再生の物語”
古都に癒され、自分を見つめ直し、愛に目覚めて、人生の意味を見出す。
そうあらすじだけを紹介してしまうと珍しさも奇抜さもないように思えるが、物語と共にフランス人の目に映る京都が堪能できるという点がとても興味深い。
銀閣寺、詩仙堂、南禅寺……。
この本をガイドブック代わりに携えて、久々に京都に行ってみたくなった。